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で、現世と妖魔ヶ谷の狭間に行くはずが、なぜかコンビニのトイレに来ている。ここのトイレいつも使用禁止の貼り紙がしてあったところよね。
ホントにコンビニに来ちゃったよ、と頭のどこかで突っ込んでみるけど……。
「ここが妖魔ヶ谷の入口なんだよ」
「ここってトイレじゃないんですか?」
「ここを開けたらすぐ……」
晴彦おじさんがトイレのドアを開けると、そこには森が広がっていた。
一瞬、外にでたのかなって思ったけど、その森の異様さはなんとも言えなかった。
まるで来るものを拒むかのように薄暗く、空の色は禍々しいほどに赤く染まっていた。夕焼けとは違う、血のような赤い空。
鳥の囀りなど聞こえるはずもなく、シンと静まり返っていた。
「美弥子ちゃん、ここから約3km先までが現世と妖魔ヶ谷の狭間で、私たちがついてこれるのはここまでなんだ。後は宜しくね」
えっ、ちょっと何、その説明。大雑把過ぎて不安になるじゃないか。
「剛老ノ滝はあの森の中にあるんだ。それと、妖魔ヶ谷の向こうが妖魔の棲む魔界だ。妖魔は