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「晴人君、雰囲気のいいカフェ見つけたんだ。学校終わったら一緒に行かない?」
一人の女性が現れた。橋元麗奈だ。
腕を絡ませ、豊満なアレを押し付けてくる。
俺と同い年の彼女は、かなりの美女で性格も良いと噂で確か読モしてるって話だ。俺のことを好きで もファンクラブには入らず、堂々と『晴人の彼女になる』宣言をしている。ファンクラブのメンバーは相手が麗奈なら仕方ないといった雰囲気だ。
しかし今は、美弥子をいち早く追いかけたい。
「橋元さん?見てわからない?俺は今、美弥子に絶賛プロポーズ中なんだけど、邪魔しないでくれる?」
「誤解を招くこというなー!!」
逃げていった美弥子が叫んでいる。
麗奈さん、めっちゃ邪魔してください。さっさと晴人を連れていってください。
そんな美弥子の心の声がだだ漏れで聞こえる。照れてるのか、可愛いなぁ。
「あら?彼女嫌がってるように見えるけど?」
「違う、美弥子は恥ずかしがりやなんだよ。だからあっちに行って?俺の気が変わらないうちに」
美弥子を追いかけるべく、絡ませられた腕をはずそうとすると、
「橋元麗奈さんだよね?向こうで教授が探していたよ?」
今度はスッゴいイケメンが現れた。俺とはまた違ったタイプの、中性的な顔立ちのイケメン。周りの女の子たちもうっとり見とれている。
「教授が?何かしら?」
見たことない顔に声をかけられた麗奈はほんのり頬を染め、指された方へ足取りも軽く消えていった。
「で、さっきの子が美弥子か。なるほどね。でも、俺は今の子の方がタイプかな」
キラキラスマイルを振り撒きながらこちらを見るイケメン。誰だっけ? この人……。どっかで見たような……。
「晴人、忘れたのか?俺だよ、俺」
最近巷を騒がせているオレオレ詐欺師か!
「美弥子を知っているのか?あいつ、俺以外の男と……」
「ずいぶんと久しぶりで忘れたのかい?自分の守護神に向かって」
え?今何て言った?久しぶり?守護神?意味がわからない。頭おかしい?この人……。?をいっぱい浮かべていると、思い出しました。その存在を。
「あー、思い出した。アレね」
「守護神をアレ呼ばわりするのお前くらいだぞ」
「それはそうと、美弥子を見失ったじゃないか。助けるんならもっと早くに助けに来いよ」
「あはは。だってお前ら見てんの、楽しかったもんで」
悪びれもせずケラケラ笑う美男子。
コイツが俺の守護神。小一領家を守護する<神様>の分身で、小さい頃はよく姿を見かけていたのだが……。
「しばらくみなかったけど、ホントに守護してたのか?」
「いやぁ、実はねフランスにいる神様に会いに行っていたんだよ。そしたらね、今はこんなのが流行りだーなんて言って、ジュストコールとかクラヴァットとかを一式くれたんでね、それを着て帰ったんだけど。誰もそんなもの着てないしね~。参ったよ、ハハハ」
呆れて言葉が出ない。本当にコイツが俺の守護神で大丈夫なんだろうか?不安になってきた。