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むしもなし

薮蚊もブヨも小バエもなし。


魚はいたし草木は生えてる。循環的な営みがあるか微妙なラインだが、生き物は確かに存在していた。


恐らく、基本的に害獣とか思われる生き物が居ないのは、この世界の仕様なのだろう。


今後、遭遇しないとは限らないしが、その絶対数は地球の日本より圧倒的に少ないと思われる。


猫犬みたいな、よく知る生き物と日常的に出会うようになる確率は、かなり低く年単位の覚悟は必要と思う。


そして、人々が誘蛾灯に誘われように向かうは、タワーか塔と呼ぶべき建造物なのだが、あれを目標としている人間が、毎日歩き続けられるものだろうか。


リュックには、早い段階でそれらを出来るだけたくさん詰めて持ち歩くようにしてきたのだ。


荷物整理をしていると、それらの中で気になったらしき物を手にしながらカトケ口を開いた。


「ユウノさん。なんで20日大根と小ネギ種なんてどうする気なんですか?」


「菜園すよ」


サニーレタスとかも一応あるんだが、ズボラな素人が育てられる野菜って以外に少ないんだぞ?


「まさか、そのリュックの中みんな種なんじゃ…」


「まさか、種は二割も詰めてない」


「元は農家かなんかですか?」

「いや、建築関係だったが今後もしかしたら必要になるかもしれないと考えたもんでな」


いや、実際コンビニは商品満載で設置はされてるけど、誰が補充してくれんの?


一週間ばかりいたが、配送いないしトントラどころか車なんか影もない。

現状、一体どれくらいの数の人間が塔に向かっているか全くわからないが、人口が密集すれば、コンビニの中の消費は当然増える。

出遅れも出遅れな状態に、あの塔の周辺にコンビニがない可能性もある。

コンビニで食料補充出来ないかもしれなくなったとしたら、どうやって食料確保していくんだ?


もし、本格的な攻略部隊が出来たとしたら、所帯を維持する食料は確実に近隣から集めるだろうし、補充されない現状では、近い将来必ず物資が不足しくるはずだ。


そうでなくとも、少なからず先に向かった連中からの規制みたいのがあるかも知れないし、既に不足しだしていて隣町へ西へ東へ足を延ばし始めているかも知れないじゃないか?


もし、千人もいたら街のコンビニ一瞬だぜ?ひと月ありゃ、隣町まで軽く消費されてそうだ。

カーストが出来上がってたりしたら、新参者は飯確保出来るかもわからねぇしな。


「よくあるだろ、奴隷落ちとかそんな話も」


「奴隷はないと思いますけど…」


みんなアバ体の可能性あるんだぞ。その上、数の暴力で来られたとしたら、勝て見込みがあるとお思うか?


「先行して、コンビニから離れた場所での食料確保に至れれば、生産者として優位に立てる可能性もあるしな」


「ネギと20日ダイコンにどれだけの需要があると…」


「それでも、ないのと有るのとじゃ大違いなのよ?」


家庭菜園で一品増やすとか、夏場の野菜の繁茂力をなめんなよ?


三株ずつ揃えたら、食卓が野菜だらけ。プチトマなんかは、見たくもなくなるレベルだぞ。


ネギとダイコンならまだ、早く育つだけ間に合わせくらいにはなるからな。


まぁ、この二種類の土いじりが趣味なだけだけどよ。


「ウチは、はつかでゃーこんのーかだでよ」


「ユウノさんの冗談マジ分かり難い」


―泣

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