6章 磯野アキリサ
秀一はひきこもり娘の一人磯野アキリサの元へ訪ねた。
磯野アキリサも鮮血のように真っ赤で身長より長い髪を持つ美女である。
「はい、シャンプーとトリートメントとコンディショナーを持ってきたぞ。それと頼まれていたたこ焼きの具も買ってきたぞ。」
「ありがとう、お兄ちゃん」
アキリサは秀一をお兄ちゃんと呼ぶ。アキリサはたこ焼きが大好きな女の子である。
「これでチーズのたこ焼き・キムチのたこ焼き・納豆のたこ焼き・カレーのたこ焼き・あさりのたこ焼き・エビのたこ焼き・餃子の餡のたこ焼き・シイタケのたこ焼きが作れるわね。」
「アキリサは本当にたこ焼きが好きだな。タコ焼き屋でも開いたらどうだ?」
「無理よ~。タコ焼き屋を開くには営業許可証が必要だもの。アキリサにはそんな大変な事できないわ。」
「そういう事だけはよく知っているなぁ。」
「新しいたこ焼き焼いてみたの。食べてみて。」
「僕は猫舌なんだ。割って冷ましながら食べるよ。」
たこ焼きの中身を割ってみると中には松茸のようなキノコが入っていた。
「この山の雑木林に生えていたのを見つけたから入れてみたの。バカマツタケのたこ焼きよ!。」
「…………………………………毒きのこじゃないだろうな……。」
「あら~。大丈夫よ。ちゃんとチラシを見て調べてたもの。チラシの松茸にそっくり!」
「…食べてみるか。」
「お上がりなさい!」
「………うん、嫌ではない……。」
「それってお兄ちゃん流のおいしいって事?嬉しいわ!こっちも食べて!」
「じゃあこれも割ってから。」
たこ焼きの中身を割ってみると中にはマイマイが入っていた。
「てめー、なんてものを喰わせようとしているんだ!!!」
秀一は電撃でアキリサを痺れさせた。
「いやああああああああ!!!カタツムリは食べられるのよ!山で見つけたから取ってきて入れたの。」
「食べられるカタツムリはエスカルゴだろ?衛生管理がしっかりしているから食べられるんだ、野生のカタツムリなんて食べられるか!野生のカタツムリは寄生虫がいたりして危険なんだぞ、触ったらかならず手を洗わなければならない!」
「まぁ、そうだったの。」
「生兵法は大怪我のもとだな。中途半端な知識で中途半端な事すんな!」
「ごめんなさい…。」
「ったく……。」
「ごめんなさい!嫌わないで!アキリサにはお兄ちゃんしか居ないの!アキリサの家族はアキリサの赤い髪のせいで村八分にされてパパは心労で病死…ママは後追い自殺……アキリサにはお兄ちゃんしかいないの!」
「分かっているよ。こんなことぐらいじゃ嫌わないさ。」
そういって秀一は最後のひきこもり娘の部屋に向かった。