10章 パロディ
秀一はジェシーの元を訪ねた。
「頼まれていたアニメ『デムパ教師』DVDの1巻を買ってきたぞ。」
「ありがとうございます…。」
「こんなのレンタルで十分なんじゃないか?」
「『デムパ教師』に謝って下さい!」
「はぁ?」
「『デムパ教師』はDVD・BDの合算が1フラクタル(*)超えるかどうかの瀬戸際なんです!」
「1フラクタルって何だよ。」
(*)1フラクタル=DVD/BDの合算が883枚
「私みたいなアホが円盤を買ってあげないと『デムパ教師』は爆死してしまいます!そうなれば微妙な売り上げの『デムパ教師』の続編が作ってもらえなくなるんです!」
「『デムパ教師』は深夜アニメじゃないんだから円盤の売り上げは関係ないだろう。」
「『デムパ教師』は視聴率も悪いんです!後番組の『冥探偵コナソ』の視聴率の足を引っ張ってしまうくらいに視聴率も最悪なんです!」
「じゃあそんな作品のどこが良いんだよ!」
秀一はハリセンでジェシーの顔を思いっきり叩いた。
「あ~ん!!!私は好きなんです!主人公がアニメオタクっていう設定でアニメオタクに媚びるネタやパロディがてんこ盛りで面白いんです。」
「媚びるネタやパロディなんて寒いだけじゃないか?」
「そこが良いんです。インターネットのノリみたいで私は大好きです。」
「インターネットなんて使った事もないくせに。」
「このお寺はインターネット環境が整ってませんからね。」
「余計なお世話だ!」
秀一はジェシーを電撃で痺れさせた。
「いやあああああ!!!」
秀一はさらにジェシーの顔を殴った。
「『君が泣くまで、殴るのを辞めない!』」
秀一はジェシーの顔を殴り続けた。
「痛い痛い痛い!痛いです!でも嬉しいです。もっとやって下さい!」
「『だが、断る!』」
秀一は殴るのを辞めた。
「パロディネタをやってみたのだが、これのどこが面白い?」
「リアルで漫画やアニメの台詞を使うのは寒いですけれど、アニメのパロディは面白いです!」
「そういうもんですかねえ。」
「そういうものなんです!」
「ならジェシーもそういうネタでなにか描けば良いのに。」
「私絵が下手なので…。人物も背景も掛けません。アニメも漫画も作れません。」
「美大を目指したらどうだ。」
「テストも勉強も苦手なんです。」
「テストが得意な人は皆勉強しているんだ。テストで良い点を取りたいなら勉強しろ!」
「『人間の値打ちはテストの点数だけで決まるものじゃないのよ。』」
「リアルでアニメの台詞つかってんじゃないか!!」
秀一はジェシーの顔を引っ掻き回した。
「あ~ん!」
「もう疲れた。」
秀一は自分の部屋に戻っていった。