9章 悪霊
秀一はロサの元を訪ねた。
「見て!綺麗な赤い壺を見つけたんですの!」
「バカッ!」
秀一はロサの腹にパンチした。
「ああん!!」
「これは悪霊を封印してある壺なんだぞ!」
「悪霊~?あなた、そんなもの信じてるんですの~?」
「信じているも何も僕は…。あ!壺に貼って当たった封印のお札がない!」
「あらら、あの汚い紙きれなら邪魔だから剥がしてしまいましたわ。」
ドカッ!!!
秀一はロサの腹に膝蹴りを食らわせた。
「あは~んっ!」
「喜ぶな!封印の札を剥がしたなら悪霊が出てきてしまっているという事じゃないか!」
「気にしすぎですわ。悪霊なんていませんわよ。」
「塩だ!塩をまいておけ!悪霊の力は長い封印で弱まっているはずだからそれで成仏させられるはずだ!」
「わたくしそういうの信じない主義ですの!」
「寺に住んでおいて何を言っているんだ。とにかく塩を撒け!塩を!」
「はいはい、分かりましたわ。神主さま~。」
ロサは調味料をしまってある棚から取り出し、周りに撒いた。
「そうだ。それでいいんだ。それで。」
秀一は自分の部屋に戻っていった。数時間後、突如ロサの悲鳴が響き渡った。
「きゃああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
「ロサ!どうした!?」
秀一はロサの元へ駆けつけた。ロサの部屋はポルタ―ガイスト現象が起き、物が当たりを飛び回っていた。ロサの顔面に真っ赤な水晶玉が何度も激突していた。
「痛い!痛い!!痛い!!!痛い!!!痛い!!!!痛い痛い痛い!!!!!!」
「これはどういうことだちゃんと塩を撒いたはずなのに!?悪霊の霊力が強まっているだと!?」
「痛い!!!痛いですわ~!!!!助けて神主さま~。」
「確かに塩が撒かれて…んっ?」
ペロッ!
「こ…これは砂糖!!!!?」
「砂糖と塩を間違えたみたいですの~!あん!痛い!痛い!!痛い!!!!」
「漫画じゃあるまいし砂糖と塩を間違えるな~!!」
ビリビリビビリ!
秀一はロサにいつもより強めの電撃を喰らわせた。
「きゃああああああああ!!!!!痛い痛い痛い!!!ごめんんさ~い!謝るからお助け下さって!」
「これだけ霊力が強まって居ちゃもう塩では退治できないぞ~。」
(猫又に変身できればこんな悪霊簡単に成仏させられるのにぃ…)
「いやああああああああああああああ?体が動きませんわ~!!金縛りにでもかかったようですわ…。」
「おっ!?悪霊がロサに乗り移ったぞ?!これはチャンスだ。悪霊をロサの身体から追い出せば悪霊をこの寺から退散させられる!」
「早く追い出して下さい~!」
「悪霊を追い出すのには取り憑かれた人間に苦痛を与え続ける事だ。」
「え?」
「いやあああ!!!!痛い痛い!!!痛い痛い!!!!痛い痛い!!!!!痛い痛い!!!!!!」
秀一はロサの顔を縦横斜めに満遍なく引っ掻き回し、顔面に向かって水晶玉を投げつけて、さらにロサの顔を蹴り飛ばし、岩に顔面から激突させる。これを何度も繰り返した。
「痛~い!!!こうなんども岩に激突させられたんじゃわたくしの美貌もその内……。」
「もっと苦しめ!そうしないと悪霊を退散させられないぞ!」
秀一は何度も何度も同じ方法でロサを痛めつける事を繰り返したが一向に悪霊は退散しない。
「糞。なぜ、悪霊を追い出せないんだ…!?」
「いつもあなたがやっている突っ込みと変わらないからですわ。」
「そうか。お前の苦痛の裏には愉悦が隠れているんだな。この変態め。」
「あなたに痛めつけられるなら本望ですわ!」
「ならばいつもとは違うやり方をしてやる!」
秀一はロサの毛先を掴み、ロサを鞭のように振り回した。
「痛ああああああああああああああ!!!おやめになって!大切な髪が抜けてしまいますわ!!!」
「黙れ!!!」
秀一はロサの毛先を掴んで振り回し、ロサの顔面を鞭の先のように地面に叩きつけた。
「いやあああああああああ!!!!!!」
秀一はロサを振り回して、何度も顔面を地面に叩きつけさる。
「もうひと押しだ!」
秀一はロサの髪の毛を掴んで走り回り、ロサの顔面を地面に擦り付けるように引きずりまわした。
「もうやめてぇえええええ~~~~!!!!」
秀一はロサの髪の毛を掴み、ロサの顔面で弧を描くように回転して引きずり回した。
「もうだめ………。」
ロサは気絶してしまった。ロサが気絶すると同時に悪霊がロサの身体から抜け出し悪霊は寺から退散した。
「ロサ!ロサ!!しっかりしろ!!」
「んっ……。」
「大丈夫か?!」
「大丈夫じゃないですわ。」
「悪霊は無事退治できたぞ!」
秀一はロサの乱れた髪の毛をブラッシングした。
「あら……。」
「もう大丈夫だ。よく耐えたな。」
「あなたに自慢の髪の毛をブラッシングして貰えるなんて嬉しいですわ。」
「お前の綺麗な髪の毛を滅茶苦茶にしてしまったからな。お前の髪の毛は本当に美しい。」
「ありがとうですわ…。もっと褒めて下さって!」
「お前は本当に美しいよ。髪だけは。」
ロサの美しい顔は傷だらけでボロボロになってしまっていた。