第十話
最初の部分、少しくどいです
一言で済む話なので、
「!!!!!ッ」
まで読み飛ばしていただいても問題ありません
「ここは一体…」
気付いたら、周囲は暗闇に包まれていた
こうした周囲を確認できない状況では、下手に動かない方がいいのだが、やはり自身の足場すら見えず、覚束ないのはあまりにも精神的によろしくない
そう考え、ある種の切迫感に突き動かされて、取りあえず屈んで自分が立っていると思しき物に手を付いて調べてみようとする
そこで気付いた
屈もうとしても、体の動きが何かに阻まれ屈む事が出来ない
では、と足を踏み出そうとしても、ブラブラと空しく宙を蹴るだけに終わる
どうやら拘束されているらしい、無明無音の真っ只中で五感が鈍くなってしまっているのか、気付くのが遅くなった
とにかく、順番に動かせる箇所を確認しないと…
非常識な状況だが、何故か動揺もせず極めて冷静に確認作業に入る
結果として判ったことは、背後の角柱の様なものに、両腕ごと胴体を何かで縛り付けられている様だ、ということだけだ
二の腕の辺りで縛られているため、前腕部分しか腕は動かせず、縛り付けている物に触れないので正確には確認出来ない
事ここに至っても至極冷静な俺は、さて、これからどうするか、等と暢気に考えていた
更に冷静になって客観視出来れば、或いはこの状況に相応しく、取り乱して叫び声でも上げれば、その考えがどんなにずれているか気付いたかもしれない
虚空を見つめ、思考に耽っていた俺の耳に何かを引きずる音と小さな水音が聞こえてきた
一周回って敏感になったのだろうか、とても小さな音だが、確かに聞こえ、その方向さえ分かった
その方向に耳を向けるのとほぼ同時に、周囲の暗闇が払われ、突然の光に目が眩む
少しして、光に順応した目を音のした方向に向ける
先ず目に入ったのは地面、いや床と言うべきだろう、それは以前住んでいた家の居間の床だった
どうやら家具の類は無い様だ、無駄に広い居間には一人の男が佇んでいる
この男にも見覚えがあった、真正のクズ野郎、忘れる訳もない、蒸発した実の父だ
そして、父が持つ何かに目が行く
片方の手には、少し大きめの包丁が握られている、あれで俺を殺そうとでもいうのだろうか
この男なら、その様な事を仕出かしても不思議とは思わない
よく見ればその包丁には赤色の液体が付着し、滴っているではないか
既に誰か手に掛けたのだろう、変わらない、どこまで行ってもクズ野郎だ
そこでふと疑問が湧いた
一体誰を殺したのか
そこまで考えた俺は、よく父を観察してみた
そこで気付いた、父が包丁を持つ手、その反対の手には何を持っているのかを
それは一見すると、黒い球体に見える
その黒い球体から、黒く太い紐みたいな何かが伸び、それを父の血塗れの手が握りしめている
その血塗れの手に握られ、紐や球体の黒い表面を赤黒く汚れて、伝った血が床に滴り落ちている
そこで違和感を覚えた
父の手から伝って落ちたにしては、妙に血の量が多くないか
そこまで思い至った俺は、あの球体が何かに何となく気付いた
と、同時にではあれは誰なのか、という疑問に行きつく
俺が知らぬ間に拘束されている以上、俺は父に何らかの方法で連れ去られたのだろう
では、あれは、その際に不幸にも目撃してしまった人物だろうか
そう考えた時、おかしなことに気付く
今日、俺は何をしていたのか、全く記憶にない
連れ去られた、その際に気絶されられたのだとしても、それ以前の記憶はあるはずだ
それとも寝ている間に?我が家は戸締りはしっかりしている
資産家の血筋だから、警備関係もちゃんとしたところと契約していると、叔父さんは言っていた
だから、寝ている間、というのはないだろう
答えが出ない疑問に苦悩していると、父がこちらにやって来るのが見えた
とうとう俺も殺されるのか、未だに冷静さを保った頭でそう考える
俺の前に立った父は、おもむろに手に持った者を目の前まで持ち上げて見せた
言葉が出ない、とはこういう時に使うのだろう
その生首はよく見知った顔をしていた
見る人を惹きつけると、叔父さんが評価していた美しい顔
見間違えよう筈もない、実の父が掲げていたのは実の母の生首だった
理解し難く、また理解したくない光景に言葉を無くしていたが、やがて感情の激流と共に怒りと憎しみの言葉が口をついて出そうになったその時
突如として喉に包丁の切っ先が突き込まれた
言葉の代わりに血の泡が口から溢れ出る
それもやがて、泡が無くなり滝に変わる
クソ野郎のニヤケ面を殴り飛ばすことも、罵倒することすら出来ずに目の前が暗くなっていった
「!!!!!ッ」
飛び起きる、という言葉がピッタリ当てはまる、そんな起床だった
残暑でまだまだ暑く、薄いタオルケット一枚被って、扇風機の一番弱い風を受けながら寝ていた俺は、ベッドから跳ね起き、冷たい汗に塗れた全身を震わせ、息も荒げていた
「……なんだ…なんか嫌な夢を見た気がする……」
俺は、夢の内容を覚えていない性質だ
それでも、いい夢を見た時は気分が良いし、嫌な夢を見れば気分も良くない
だが、今日は特に気分が悪い、最悪と言っても大袈裟ではないだろう
いつまでも、ベッドの上に居ても仕方ないので、ベッドから降りて、側にある机の上の目覚まし時計で時間を確認する
「うぇ…まだ3時半じゃないか……」
悪夢のせいで、異常に早起きしてしまった様だ
もうひと眠り…という気分でもないので、取りあえず下着までじっとりと貼り付かせる汗を綺麗サッパリ流してしまう為に、風呂場に向かう事にする
自室のタンスから適当に下着を取り出し、洗面所の収納からバスタオルを引っ張り出して、汗で汚れた寝間着、下着を洗濯物かごに放り込み風呂に入る
「ふぅ〜……」
熱いシャワーが冷たい汗を洗い流し、何となく悪寒に震える心も温まる思いがした
ただ汗を流すだけなので、2、3分で切り上げて風呂場を出る
サッと慣れた手つきで体を拭き、これまた流れ作業の様に下着を穿きドライヤーで髪を乾かす
体を拭いて水気を吸ったバスタオルを、さっきかごに入れた寝間着の上に重ねる様に放り込んで、部屋に戻る
「はぁ…こんな時間に起きちゃって、どうしようかな……」
いつもなら、6時前に起きて着替え洗顔歯磨き朝食、そして寝る前に用意を済ませた鞄を肩に掛け出掛けるのだが、今日は2時間以上も早く起きてしまった
正直、こんな時間では母さんもまだ、スヤスヤ夢の中だ
はっきり言って何もやることがない、歯磨きくらいだ
では、もう一度寝付けるか、と問われれば、答えは否だ
最悪の夢見のせいで目が冴えてしまったし、何よりシャワーを浴びた事で完全に目が覚めた
「さて…今は4時……ここから6時前まで、どうやって時間を潰そうか」
特にすることもない、ゲームをするのは登校前という状況では憚られる
仕方ないので、昔百合に付き合わされてやった精神集中法をやってみることにした
部屋の真ん中にあぐらをかいて座り、薄目を開けるくらいまで目を閉じ、腕は力を抜き脚の上に無造作に置く、背筋も力を入れず楽にする
その状態で、呼気と吸気を意識し、一定の間隔でゆっくりと呼吸を繰り返す
そうしていると、次第に思考が弛緩し、逆に色んなものを感じられるようになってくる
時間の感覚も曖昧になるが、不思議と眠気がくる事は無く、意識は寧ろ研ぎ澄まされていく様に感じる
そうしてどれくらいの時間を過ごしただろうか
突然ベッドの側の机に置いてある目覚まし時計が喧しくベルを鳴らした
俺は少し驚いて、慌てて目覚まし時計を止めた
今日は5時50分にセットしていたので、今は丁度6時前だ、もう母さんも起きて朝食を作ってくれているだろう
ここで少し言い訳をしたい、自分に
いや、決して自分で朝食を用意出来ない訳でも、母さんに丸投げして楽している訳でもないんだよ?
ただ、ウチの母さんは何かしら思うところがあるらしく、俺の朝食は絶対に自分が用意する、と言って聞かないんだ
ホントは昼ごはんも晩ごはんも作りたいと言っていたんだけど、どちらも叔母さんに止められている
何でも、これ以上負担が増えるのは認められないんだとか
その後論争が繰り広げられたが、結局俺の昼ごはんは学食か購買で、という事に落ち着いた
そんな、何の意味があるんだか分からない言い訳をして、俺は自室を出て洗面所で顔を洗い歯を磨く
そして台所に顔を出し、母さんに
「おはよ、母さん」
と挨拶をする、我ながらよく躾が行き届いていると思う、別に嫌ではないが
「あら、おはよ、理。遅かったわね」
などと矛盾する事を言ってきた母さんに、首を傾げていると
「あんた、もっと早く起きてたでしょ。洗濯物かごに寝間着とバスタオルが入ってたわよ」
おぅふ…そうだよ、あれ出してたら起きてるって分かるだろうに、どうしてそれに気付かなかった
いや、別に早起きしたからって、不都合なんか何もないけども
「朝ごはん、出来てるからよそって食べちゃいなさい」
そう言って、皿に盛りつけられたおかずを指さした
今日は焼きサバだ、味噌汁は必ず付いている
炊飯器から炊き立てのご飯をマイ茶碗にてんこ盛りによそい、ついでに冷蔵庫からキュウリの〇ューちゃんを取り出して器に開け、味噌汁、焼きサバをトレイに載せて食卓に持っていく
「あ、箸忘れた」
どうも予定にないことをすると、何かしら抜け落ちてしまう
鍵を閉めようとした所に声を掛けられると、つい鍵を閉め忘れてしまう、なんて事もあった
気をつけないとな、等と中身のない反省をして、箸を手に食卓に戻る
「あ、塩サバだから、醤油かけないでよ」
「はいよー」
塩サバは好物だ
魚は基本的に好きなのだが、骨が取りにくい物は苦手だ
骨が小さく細い物なら、丸ごと食べてしまえ、と母さんは言うが、魚の骨自体が苦手なのだ
だから、出来るだけ取り除きたいのだが、どうにもそれが難しい魚というのはあるものだ
その点、サバは簡単に骨を取り除ける、しかも身が厚く、食べ応えも十分だ
塩サバはしっかりとした塩味がとても美味しい、魚は塩と相性が抜群だと思う
だが、サバの最高の調理方法は煮込みだ、間違いない
骨まで食べられるくらい煮込んだサバ味噌なんか最高だと確信している
そういう理由から、俺の好物はサバの味噌煮缶詰だ
通学路の途中にあるスーパーで安売りをしていたら、ついつい買ってしまうくらい好きだ
部屋の収納にはサバ缶が30個くらい積んである
好物の塩サバと、これまた好物のきゅうりのキ〇ーちゃん、そして豆腐の味噌汁、炊き立てのご飯
これで食が進まない筈が無く、朝食は直ぐに摂り終えた
食器を台所に持っていき、シンクに重ねて置き、水に浸ける
晩は俺たちが洗うが、朝は母さんが洗ってくれる
母さんの方が出掛ける時間は遅いので、自然とこうなった
俺は居間に持ってきていた鞄を担ぎ、出掛けの挨拶をする
「じゃあ、母さん。いってきます」
「はい、いってらっしゃーい」
背中に母さんの返事を聞きながら家を出る
案の定というか、例の如くというか、今日も百合は門に凭れ掛かって俺を待っていた
心なしか眠そうだ、そんなに無理してるなら、こんな早くに待たなきゃいいのに、なんて言うと間違いなく怒らせるから口には出さない
「おはよさん、眠そうだな」
「おはよ、ええちょっと予定外の事があってね」
「ふーん、大丈夫なのか?」
「大丈夫よ……(誰のせいだと思ってるんだか)」
何か小言で言ってるけど、流石に聞き取れなかった
だが、ここで聞こえなかったからと尋ねる真似はしない
それで、藪をつついて蛇を出す、なんて事になっても面倒だ
今日は生憎の曇り空だ、非常に気分が悪い
こういう天気の日は、どうしても父が失踪した時の事を思い出してしまう
―電話越しに聞く父の機嫌の良い声
―母さんの物悲しそうな顔
―玄関で靴の並ぶ中土下座する祖父母
恐らくあの日の事は一生忘れる事が出来ないのだろう
暗澹たる心持ちで登校する俺を、百合は何くれと無く慰めてくれる
明るい話題を無理に捻り出して来たり、雨が好きだからいっそ降り出さないか、などと元気づけてくれる
俺も雨は好きだ
曇り空は何だか不安を煽るが、雨はいつか止み晴れ間を見せてくれるから
終わりを感じさせない曇り空より、いつか終わると信じられる雨降りの方が心に優しい
……あと、子供みたいな理由だが、水たまりで水を跳ねさせて遊ぶのが、実はかなり好きなのだ、内緒だが……
出来事というのは、心の持ち様一つで良くも見えるし悪くも見える、とはよく言う事だ
なら、今日の沈んだ心持ちでは悪く見えてしまうのだろう
いつも通る家の前で飼い犬に吠えられれば気分を害し
一番早いバスに間に合わなければひどく落ち込み
いつも上る坂道にもいちいちイライラしてしまう
幸いなのは、隣に百合が居てくれる事だ
今日の俺はいつもと比べても相当に機嫌が悪いことだろう
最悪の夢見もこの薄暗い曇天も、起こる全てが腹立たしく気落ちさせてきて仕方がない
そんな気鬱のせいなのか
今日はいつもとは違う、大変喜ばしくない出来事が教室で待ち受けていた
「舞島さん、おはよう!今日はあまり良くない天気だね」
そう声を掛けてきたのは、俺の悩みの種、波原の野郎だ
実際には俺にではなく百合に声を掛けてきたのだが、何せ俺の苗字も同じ舞島だ
普段なら全く気にせず聞き流せる、小さな事ではあるのだが、今日は本当にイライラしていて、どうしても聞き流す事が出来なかった
「……おい」
「舞島さん、今日の朝のテストの対策はどう?良ければ僕が教えようか?」
「おい…」
無視してくれたので、慈悲の心でもう一度声を掛ける、穏やかならざる口調なのは仕方がない事だ
「今日の朝食は」
「おい!」
それでもなお無視しやがったので、今の気分と口調に相応しい荒げた声を上げる
予想だにしていない鋭い声に、波原の体がビクッと震える、驚いたのだろう
「な、なんだい急に大きな声を出して…」
「人様の名前を気安く呼ぶんじゃない」
「…え?」
「聞こえなかったのか?それとも理解できなかったのか?人様の、名前を、気安く、呼ぶんじゃない、と言ったんだ」
「そ、そんな事を君に言われる筋合いはないだろう…」
「正気で言ってるのか?それともお前は俺の名前を記憶していないのか?」
「いや、君は舞島 理だろう?勿論憶えているさ」
「今度は呼び捨てか。偉くなったもんだな、えぇ?普段あれだけ迷惑掛けてくれてるのになぁ」
「ぼ、僕が君に迷惑を掛けたって?いつの話だい?」
「……………」
恐らくこの時、俺の顔には何の表情も浮かんでいなかった事だろう
手が出そうになったが、隣に居た百合に手を掴まれた事で思い留まらざるを得なかった
「理」
百合が俺を見つめている
その僅かに濡れた目には様々な感情が浮かんでいた
「…ふぅー……波原君」
「な、なにかな?」
言葉に詰まっている、どうやら怖がらせてしまった様だ
「いや、少し感情的になってしまった。申し訳ない」
そう言って軽く頭を下げ、謝罪する
本当はしっかりと頭を下げ、ごめんなさい、とするのが正道なのだが、あまり仰々しいと逆に嘘くさく感じてしまう
「だが、大して親しくない相手に馴れ馴れし過ぎないか?少し節度を弁えた方が身のためだと思う」
以前言われた事の意趣返しも含め、しっかりと嫌味を言っておく事も忘れない
「百合」
百合の名を呼ぶ
色々と言うべき事はあるが、多くを語らずともこの一言で理解してくれるだろう
その程度の信頼関係はあると自負している
「うん」
百合も、気にするな、とばかりに俺の肩を叩き自分の席に向かっていった
「ね、ねえ…」
何やら言いたいことがあるのだろう
こちらに声を掛ける波原を無視し、俺も席に着く
幸いなことに波原はそれ以上絡んでは来なかった
席に着いて黒板の上の時計を見る
いつも通りより少し遅い時間、7時10分を指していた
バスに乗り遅れたのだから当然か
そう一瞬だけ思い、直ぐに気持ちを切り替える
いつもなら特にすることもなく思索に耽るのだが、今日はそうもいかなかった
嫌なことの連続で気が立っているのだ、この状態ではまた何かしら仕出かしてしまうかもしれない
こういう時は何か楽しい事でも考えようと、目を閉じ思考に没入する
何だか今日は時間を潰してばかりだな
気を紛らわせる為にそんな意味のない事も思考に浮かばせ、胸中に蠢く苛立ちを散らしていく
そんな時だ、教室内の生徒達が騒めいているのに気が付いた
「…なんだ?……」
流石に無視も出来ず、周囲を見回してみる
知らない内に全員登校してきたらしい、教室には見慣れた顔が揃っていた
勢揃いしたクラスメイト達は皆して校庭側の窓の外を不安や驚愕を滲ませた顔で見ていた
自分では一般的な人間だと自負している理は、集団心理に従い自分も外を見るべく顔を向ける
「なんだ…これは……」
視界には窓が映っている、より正確には窓しか映っていない
その向こう側に見える筈の景色が何も映っていないのだ
今日は曇天だ、当然薄暗く肌寒そうな校庭が見えていなければおかしい
その向こうに広がる建物も見えていなければおかしいのだ
「理…」
呼び声がしたので振り向くと、百合と木野が不安げな表情で立っていた
百合に至っては俺の腕を引き、縋りついている様に見える
「舞島くん…これは一体何なのかしら……」
「いや、解らん。取りあえず廊下側も確認してみようかと思うんだが」
「そうね、誰かが暗幕下してる、なんて可能性もあるものね」
木野はそう言うが、それなら校庭側の窓を開けて確認すれば一発だ
それをしないのは、やはり不安感からだろう
叩けば砕け散る頼りないガラスとはいえ、確かに外界と隔ててくれている
それを開け放って、外との仕切りが無くなる事を恐れているのだ
気持ちは解る、俺だって嫌だ
もし安易に開けようとするなら、意地でも止めるつもりだったのだ
「百合はどうする?俺は廊下に出るが」
「私も行く」
「木野は?一緒に来るか?」
「ええ、この状況で、僅かな距離でも離れるのは御免よ」
それが百合を指しているのは分かるが、少しいい気分になってしまうのは仕方あるまい、男の子だもの
なんて考え、席を立ち廊下へ向かおうと一歩踏み出そうとした
だが、立ち上がった瞬間、妙な浮遊感に襲われ足元に触れる床面の感触が失われた
「え?」
そう言ったのは俺か、それとも別の誰かか
視界にいる人は何も変わらないのに、景色だけが上方にズレていく
落下している
そう気づいた時には、景色は既に真っ黒に塗りつぶされていた
次回落ちると言ったな
あれは本当だ
だけど、思ったより長くなってしまい
予定していた女神様の登場は次回に持ち越しになってしまいました
あ、お父さんは真正のクズですが、流石にこれほどではありません
一応お父さんの事も設定上は考えています
出番があるかは未定ですが




