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ゲーマーが往く、異世界チート発見!  作者: ヤタガミ
第一部 家族と日常
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第一話

はじめまして

この度、よし俺も一発小説でも投稿してみるか!と思い至り、初投稿いたします

思い付きで書き綴っていますので、投稿間隔はまちまちです

物語の不整合等の指摘をいただきました場合は、活動報告にて一括して返答謝辞させてください

「いってきまーす」


台所で食器を洗っているだろう母にそう言って、俺は登校するべく家を出る


 この俺、舞島(まいしま)(さとる)の朝は早い

もともと母の意向で早寝早起きが通常なのだが、それにしたって普通の登校時間にはまだまだ時間があ

ちなみに今の時間は、午前6時30分

世の子供たちはようやく起き出した、といった時間だろう


 外に出て初めに目に入ったのは、背中の中ほどまである、艶のある黒いストレートヘアを風になびかせ、学生服に身を包んだ女子が我が家の門柱に凭れ掛かって、こちらに軽く手を振る姿だった


 ……かなり早い時間のはずなのだが、この女子、母方の従姉妹の舞島 百合は、いつもと変わらず俺を待ち伏せていた

正直、迷惑だから止めてほしい

そう何度か言ってみたが、結果は見ての通り、毎朝迎えに来て同じ所で俺を待っている

理由は解らない、尋ねても答えてくれないのだ

まあ、そこまで気になる訳でもないから、それはよしとしよう


「おはよ〜」


百合がいつものように気安い口調で挨拶する


「おはよさん」


俺もいつもと変わらない、最早テンプレと化した流れで挨拶を交わす


 そして二人並んで登校路を歩く

以前は二人とも自転車を使って登校していたのだが、百合が


「自転車だと話がしづらいから、バス通学にしよ?」


と、可愛らしく(俺はあざといとしか感じなかったが)提案して、母さんが叔父さん夫婦と結託して採決してしまったので、それ以来バス通学だ

幸いなことに高校までは、自転車25分 バス20分と殆ど変わらない

俺は金が勿体無いと思うので、最後まで反対していたのだが、母さんが


「なら、お母さんが通勤のついでに車で送ってあげるわ」


と、血迷った事を言い出したので、泣く泣くバス通学を了承した

この年齢で、母親に学校に送ってもらうなんて、恥ずかしくて絶対許容出来ない


 徒歩3分ほどの距離にバス停はある

近所に割と大きなロータリーがあり、そこから高校付近直通のバスが20分置きに出ている

当然、バスの発着時間はチェック済みなので、2分ほど待ってバスは到着する

かなり早い時間のせいか、朝の通勤お兄さん(ここ大事)が疎らに乗っているのみだ、そもそも乗り待ちのお兄さんも少ない


 そもそも、こんな早い時間に登校する必要もないのだが、

百合を出し抜こうと早い時間に出る→百合が読んでいて待っている→更に早くする→以下略、といった熱い知略戦が繰り広げられた結果、こんな馬鹿みたいに早い時間に出発する羽目になったのである

……人それを自業自得と言う


 そんな説明をしている間も、百合とは適当な話題で話が途切れず進んでいる

何時も思うが、こいつは何故俺とまともに話が出来るのだろうか?

はっきり言って、俺の趣味と百合の趣味は掠りもしていない


 俺の趣味はゲームだ、母さん曰くピコピコだ

ネットにプレイ動画を投稿したり、自前の攻略情報サイトを作って掲載しているくらいには、重症のゲーマーだ


 百合の趣味はまるで逆、空手だ、母さん曰くカンフーだ

……カンフーではないと説明しても理解してくれない、少し残念な母だ

大会でも活躍しているそうだが、生憎と空いている時間が少ない俺にはよく分からない


 まあ、それはどうでもいい

色々と考えている内に、バスは学校近くの坂道の途中のバス停に到着した

人も疎らな通学路を往き、教室に着くとともに百合とは別れ、それぞれの席に座る


 正直、学校に来てもつまらない

ろくに話し相手も居ないのだから当然だ

普段、百合や牡丹(ぼたん)とよく話す分、余計に面白味が無い


 以前は趣味の合う仲間と話していたのだが、色々あって疎遠になってしまった

今の俺は基本、ぼっちだ

これなら、携帯ゲームでも持ち込んで、攻略を進めた方がまだ建設的だろう

…勿論授業はちゃんと受けるぞ?


 などと考えていたらもう昼休みだ

出遅れてしまったので、今日は購買で済ますとしよう



 うちの高校の購買は学生食堂と同じ建物内、学生食堂入り口から少し離れた場所に併設されている

食堂入り口は昼休みには、腹を空かせた餓鬼の群れで一杯になる

当然のことながら食堂の席は完全に埋まる

そこにパーソナルスペースなど存在しない、文字通り完全に空席無しとなるのだ


 出遅れた俺はそんな喧噪を横目に、食堂ほどではないものの、やはり人いきれで少し空気が悪くなっている購買に並ぶ

うちの購買は規律に厳しい

ちゃんと並ばずに押しかけようものなら、屈強な購買のお兄さんに押し出された後、シャッターを閉じられ、その日の昼飯はお預けになる

そこから魍魎跋扈する学生食堂に突撃してももう遅い

列の横入りも許されない

購買を支配するおばちゃんが、その鋭い鷹の眼で、たとえ遠く離れた最後尾付近の横入りも見付け、屈強な(ryによって排除される、当然そいつは飯抜きだ

聴いた話だと、お兄さんはなんかの球技の選抜選手だったらしく、見た目にもその屈強っぷりが溢れ出ている

そして、そんな鉄人を従えるホークアイおばちゃんは、なんとうちの高校を運営する教育法人の理事長の奥さんだというのだから驚きだ

あの戦場を見晴るかす観察眼は、上流階級のお家芸なのだろうか…

あまり深く考えるのは止そう、益も無いしな


 そんな魔人の支配する購買は、食堂入り口の雑然とした様子とはうって変わって、皆二本の白線で地面に描かれた路の内に二列で並び、隣り合った友人との談笑で待ち時間を潰している

かく言う俺も、行儀よく並ぶべく最後尾に向かう


 そこで偶然にも百合と出会う

百合とは登校こそ一緒にするものの、クラスではあまり話さず(百合とは同じクラスだ)、お互い一定の距離を保って接している

これには諸事情あるのだが…今はそれは置いておこう


 普段の百合は弁当持参なのだが、今日は忘れてしまったらしい

叔母さんに、食べておいて、とメールしたと言っていた

ちなみに、百合の弁当は自作だ

朝俺より早く起きて出待ちしているくせに、それ以前に弁当まで拵えているというのを聞いたときは、驚くやら呆れるやら、と複雑な感情を抱いたものだ


 まあ、それはそれとして

普段、学校では殆ど関わることのない百合と妙な形で鉢合わせ、朝の気軽さもどこへ行ったのか、やや緊張感漂う空気の中、昼ご飯は何買って食おうか、などと考えながら緊張感をやり過ごす


 やがて俺たちの番が回ってきて、これ幸いと早速注文する


「「焼きそばパンとメロンパン、それとコーヒー牛乳」」


図らずも百合と注文が被る

が、よく考えれば俺も百合も好物は似通っているので、別段不思議なこともない

早々に支払いを済ませようとしたところ、となりの百合の様子がおかしいことに気付く

見るに何やら体のあちこちをまさぐっている様だ

突如発情した、という訳でもなければ、恐らくは財布を忘れてきたのだろう


「すいません、財布忘れたのでそれ止めます」


萎れた様子で、泣く泣くと言った感じを全身から滲ませて、注文を取り止める

そんな様子の従姉妹を放っておく俺ではない…よく薄情とは言われるが…

俺は財布から千円札を取り出し


「一緒に会計して下さい」


と申し出た


 百合は隣で目ん玉まるくして驚いていたが、購買の女帝陛下はいい笑みを浮かべ


「あいよ」


とだけ機嫌良さそうな声色で言って、さっさと会計を済ませ、熟練の手捌きで二つの紙袋にパンと飲み物を詰め込んで手渡してくる

このプロ技は、一朝一夕では身に着くまい

ホントになんで偉い人のご妻女が、こんなに売り子技術を身に付けているのか…謎だ


 まあ、それはいい(いい加減口癖になってきている気がする)

俺はさっさと受け取ってその場を後にする

百合も、戸惑いながら荷を受け取り、購買前を辞した

いつまでも会計に留まると、列成す餓えた成長期青少年どもから野次が飛ぶからだ


 後ろから百合が呼ぶ声がするが、今は無視する

学校で俺に関わると、また面倒くさい奴が湧いて出てくるから

だが、家に帰ったら謝らないといけないな…



 俺は、入り浸っている職員室横のの保険室にお邪魔し、昼を済ましてしまう

ここは、面倒な奴に付き纏われた俺を見かねた保健室の先生が、

「うちは何時でも開いてるから、何時でも来なさい」

と言ってくれたので、昼時だけお邪魔しているのだ


 ごきげんな昼食(美味)を平らげ、保健室の先生に挨拶して俺は保健室を出る

喰うと眠くなる、ということなのか、途端に軽い眠気を感じた俺は、この高校に二つある校舎に挟まれた中庭のベンチに移動し、ささやかな昼寝とシャレこむことにした



 昼休み終了の予鈴で目を覚ました俺は、自分の頭部、もっと細かく言えば右側頭部に違和感を感じて思考が止まる…そもそも起き抜けであまり思考は働いていないが

ごくわずかな時間、思索していると、違和感を感じる右側とは逆、左側から聴き慣れた声がした


「おはよ」


語尾にハートマークが付きそうなほどご機嫌たっぷりな、それでいて慈愛に満ちた母の様に穏やかな声で目覚めの挨拶を投げかけてくる、そいつは想像通り百合だった


「おはよさん」


そんな朝のテンプレをなぞる様な挨拶に、ついつい俺もテンプレをなぞって挨拶を返す


 思考が正常に働くにつれて自身の状況もしかと認識出来るようになり、驚いた俺は腹筋の負担を無視して飛び起きた


「ななな、なんで百合ここにお前いるんだよ!?」


言葉が滅茶苦茶な俺は、きっと顔を真っ赤っかにしていたことだろう

いくら従姉妹とはいえ、もっとも親しい女子とはいえ、いやだからこそ膝枕なんてされたら、世の男子諸君なら俺と全く同じ状態になるに違いない、状態異常[赤面]だ


「ん〜?食事終えて理のこと探していたら、中庭のベンチで寝こけてるのを見つけて。どうしようかと思ったけど、あんまりにも気持ち良さそうに眠ってるから、起こすのも可哀想かなぁ、って思って」


「話が繋がらんぞ!それで何で膝枕する事になるんだよ!?」


「いや、それはさ。昔伯母さんの膝枕を二人で獲り合ったの思い出して。じゃあ、膝枕してみようかな?と」


「そこの理論展開、明らかにおかしいからな?なんでじゃあ、になるんだよ…」


「でも、理は変わらないね〜。音には敏感ですぐに飛び起きるくせに、どんだけ体に触られても全然、身動ぎもしないんだもん。おかげで頭持ち上げて乗っけるの、楽だったけど。」


「そりゃあ、小さい頃からお前ら姉妹と雑魚寝してたんだから、ちょっとやそっと触れられただけで起きてたら、俺不眠症になるわ」


「あ〜、ひど〜い」


終始ご機嫌な口調で満面の笑みを浮かべ話す百合と、なんか脱力感が半端じゃない俺と、サクサク会話が続く

やはりこの空気、居心地がいいな

そんな事を思いながらも、俺は苦言を呈する


「百合、お前ね。学校ではあまり俺に関わるなって言ったろ?アイツに見られでもしたら面倒なんだからさ」


俺がそう言うと、今までのご機嫌キラキラっぷりが嘘のように、渋面で反論してくる


「それだって、私、納得したわけじゃあないだからね?そもそも彼に、私の交友関係に口出す権利なんかないんだから」


「いや、それは勿論分かってるけどな?アイツに絡まれると長い上に、人の話なんか聴きやしないんだから。それに、アイツのグループの連中はとにかく過激だからさぁ」


「解ってる。だからこそ我慢して、理との接触も控えてるんじゃない。」


「頼むぞ?ホントに。サイトの更新遅れたら堪らないからな。俺の攻略情報を待ってる連中は大勢いるんだから」


「アクセスカウンターいくらになったんだっけ?」


「100万」


「それだけの人に見られてるんだね〜」


「そういうこと。別に、強迫観念に駆られるわけじゃないけどさ。一度始めて、それを待ち望んでくれてる人が居る以上は、出来る限りの事はしたいんだよ。せめて俺が自由な身である内は…」


「ん。そういうとこ、本当に凄いと思う…」


「なんだよ、気持ち悪ぃな」


「あ〜、ひどい〜」


「はい、二度目のひどい〜、頂きましたー」


そういって会話を区切ったところで、五時間目開始のチャイムが鳴る


「あ」「やべっ」


反射的にそう言ったのはどちらがどちらだったのか


「俺は遅れていく!お前ダッシュで教室戻れ!」


「なんで!?一緒に行こうよ!」


「一緒に戻ったら、また面倒くさいことになるだろ!?問答している時間は無い!早く行け!!」


「〜〜!!」


百合はまだ物言いたそうにしたが、時間がないのは理解していたのだろう

回れ右して走り出すと、すぐに校舎の中に消えていった


「さて、俺はゆっくりと戻るとしようか」


そう独り言を呟き、中庭を後にした



後数話、元世界での日常を綴ります


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