幽霊少女、失踪
翌日、放課後。
教授に休み宣告をされた俺はおとなしく家に帰る事にした。
そういえば彼女は今日付いてこなかったな。
まあ、来てもやる事が無いし当たり前といえば当たり前だ。
家に付いて鍵を開ける。
隣の部屋から聞こえるアキヒロの呻き声に苦笑い。飲みすぎたな。
「ただいまっと」
「おかえり」と予想していた返事は返ってこない。
辺りを見回してみるが彼女の姿は無い。出かけたのか?
「……ん?」
机の上に二つに折られた紙が置いてあった。
『ミスターさんへ』と書かれた特徴的な丸文字は彼女の物だろう。
不思議に思いながらも俺は開いて読み進める。
『ミスターさんへ
今までありがとうございました。お話出来たことや遊びに行った事はとても楽しかったです。
でも私がいるとあなたは変な目で見られてしまいます。他の人から見れば空中に向かって話しかけるなんて変人そのものですよ。
上手く言えませんが……楽しかったです。満足しました。
最後に言ってみたかったセリフを書いてみようと思います。
探さないでください
記憶喪失の幽霊より』
「あいつ……」
濡れた手紙を真っ二つに破ってゴミ箱に捨てる。勝手な事を……
「まだ終わっていない」
俺は呟いて早足で玄関に向かう。
靴を履いて、鍵も閉めずに飛び出した。
「全く……ふざけるな」
あいつの行きそうな所ぐらい分かる。舐めるな!
俺はある場所に向かって走り出した。