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隣人の疑問

 同日、夕方。

 家の扉の前で鍵を探していると隣の扉が開いた。

「ん、おうミスター」

「また酒飲みか? アキヒロ」

「まあな」

 隣の部屋のアキヒロ、彼は数少ない俺の友人だ。

 彼は自分の部屋の鍵を閉めて

「そうだミスター、お前最近どうした?」

 アキヒロの言葉に首を傾げる

「ん? 何のことだ?」

「最近独り言が多いように感じるぞ」

 忘れていた。ここの壁は隣のテレビの音が微かに聞こえる程に薄いのだった。

 全部では無くとも多少大きな声でした会話は聞こえていたのだろう。

 とりあえず誤魔化そう。

「最近寝つきが悪くてな……色んな時間に寝てみるのだが悪夢を見るのだ」

 アキヒロは「ふうん」と俺を見て

「ま、何かあったら言えよ。 今度他の奴も呼んで飲み会でもしよう」

「ああ、ありがとな」

「じゃ」

 アキヒロは片手を上げて酒飲みに向かった。

「……ふう」

 溜息をつきながら鍵を見つけ、俺は部屋に入った。

「……ん?」

 扉を閉めて気づく。彼女は何処行った?

「おい、どうした」

 言いながら扉を開けると予想通り彼女はそこにいた。

 彼女は俺の存在に今気づいたように顔を上げて

「あっ……すいません、少しぼーっとしてました」

 と苦笑いを浮かべた。

「とりあえず入れ」

「……はい」

「うむ……」

 何だか様子がおかしいな……


 時間経過、夜。


「ごちそうさまでした!」

「ごちそうさん」

「今日も美味しかったですねー」

 そう言いながら彼女が俺の分の皿も運ぶ

「お、すまんな」

「別にいいですよー、今日は私が洗っちゃいますね」

 返事を待たずに食器を洗い始めた彼女の後ろ姿を見て、俺はいつの間にか言っていた。

「まるで同棲みたいだな」

「えっ!?」

 彼女が驚いて食器を落としかける。彼女はゆっくりと皿を置いて俺の方を見る。

「そんな事言ったら彼女さんに怒られますよー」

「大丈夫だよ」

 怒られやしないさ。

「遠距離だからって調子に乗っていると後悔するかもしれませんよ」

「大丈夫だって」

「例えば今彼女さんが入って来たらそれこそ修羅場ですよ」

「確かに修羅場だ」

 彼女の冗談に少し笑う。

「それはそれで、いいんだがな」

 小さく呟いて玄関の方を見るが、人が来る気配は微塵も感じなかった。

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