似非科学部のミスター
文学フリマ様用の編集&再投稿版です。
俺は自称発明家だ。
一部親戚や友人からは『ミスター変人』略して『ミスター』と呼ばれていたりする。
因みに俺は大学生、大学はそこそこの大学で特に説明することは無い。
誰も使わない科学室を根城とし、アパートの一室を住処としている。
と、まあ俺の説明はこれくらいにしよう。
今、俺は嘘発見器なるもの作っている。経過は順調である。性能はそこそこ、今は二分の一の確立で嘘を見抜ける。
……そこ、当たり前とか言うな。
正直言って発明は娯楽の一部である。来年最高学年になる身としてはそろそろ就職も考えなければいけない。
そんな事を考えているといきなり科学室の扉が開き、教授が入ってきた。
「ミスター、そろそろ閉めるぞ」
「あ、はい」
本名、佐川徹。彼はこの大学の先生であり科学部の顧問だ。
生徒からは教授と呼ばれていて、俺と同じく科学室を根城としている。
俺が自由に科学室を使えるのもこの教授のおかげだ。
元々この科学室は機械部の部室だったのだが昨年まで部員は三年連続でゼロ、ほぼ廃部が決定していた。
顧問として科学室を自由に使っていた教授は追い出されるのを阻止しようと俺を機械部に無理矢理入部させ、対価として俺は科学室を自由に使う権利を得た。
つまり建前上、俺は機械部たった一人の部員という事になる。これも周りの俺に対する変人認識を上げている一つの要素なのだろう。
この物語の主要人物は俺のみ、登場人物として教授と他生徒が少しだけ出てきて完結する。その筈だった。
新たな主要人物が現れたのは俺が科学室で昼寝をしていた時の事だ。