エロシンから情報を聞き出す。
ブックマークありがとうございます。
この場を借りてお礼を言わせていただきます。
4/26、読みやすいように行間をあける訂正をしました。
僕は今、リュックを抱えてラフィンドの町に向かう馬車に乗っている。
リュックは変身した際、小さくてかわいいデザインに変わっていた。おもわず「かわいい」ともらした後に軽く自己嫌悪におちたけど。中は大きさも入れたものも元のままだった。どうなってるんだろ?
ラフィンドの町はティアさんのお父さんである伯爵の領地で、ティアさんたちはもともとそこに向かっていたらしい。
正面には意識をうしなった執事さんとティアさん。足元にはいまだ起きる気配がない簀巻きアサシン。
・・・なにこの状況。
そんな今の状況を整理してるとティアさんが話しかけてきた。
「そういえば魔法使い様はなぜあのような場所に?」
「あぁ。冒険者ギルドの依頼で採取をしてたんですよ。」
「そうでしたか。そうとは知らず強引にお誘いしてすみませんでした。期限のは大丈夫ですか?」
実はちょっと心配してる。いちよう一週間あるから大丈夫だとは思うんだけど・・・
「そうですね。長居をしなければ大丈夫でしょう。」
「もし受けた依頼がグランヴェリアでしたら、帰りに馬車を用意させましょう。」
・・・グランヴェリア?それどこ!?お願い説明書!
(この国クラレイト王国の王都です。)
ついさっきまでいたのに初めて知った。
にしてもどこかのゲームで出てきそうな名前の王都だなぁ。王様の名前はやっぱりパ○スかな?
「どうかされましたか?」
「あ、あぁいいえ。ちょっと考え事を。」
ばかばかしいことを考えてましたなんていえない。でも馬車はありがたいな。ぜひお願いしよう。
「ではよろしくお願いします。」
「はい。」
「ん。ううん・・・」
「あ、アサシンが目覚めたみたいですね。」
「本当ですか?」
僕とティアさんが見つめる中、アサシンはゆっくりと目をあけた。
「ここは・・・そうか。俺は捕まったんだな。」
そう言うと顔を僕のほうに向けて・・・固まった。とたんに顔がふやけた。
僕は怪訝そうな顔になる。なんだろう。嫌な予感がする。
「魔法使い様。スカートですよ。スカート。」
「スカート?ひぇっ!!」
あわてて足を閉じてスカートを押さえる。このスカート短すぎるんだよ!
「えへへへへへへへへへへへへへ」
イラッ。こいつ蹴ってもいいよね?正当防衛だよね?
「こっちみんなばかぁぁぁぁぁぁぁ!!」
あ。顔面にきれいに入った。でもいちよう手加減はしたから大丈夫でしょ。
蹴られて逆方向を向いた顔がこっちに向き直る。めっちゃいい笑顔だ。っていうか手加減はしたけどこいつ、さっきより丈夫さ上がってない!?
「ナ、ナイスストライプ!」
「うるさいっ!このっ!このっ!忘れろっ!忘れろぉぉぉぉぉぉ!!」
「魔法使い様。情報を聞き出すまでは止めを刺さないようにしてくださいね。」
ティアさんめっちゃ冷静につっこみをいれる。
今の僕にそんな余裕はない!真っ赤になりながら無我夢中で蹴り続けた。こいつのさっきの記憶を消す!絶対に消す!!
アサシンはまた気を失ったようだ。主に僕のせいだけど。僕も少し落ち着いてきて蹴るのを止める。
もうこいつアサシンじゃなくてエロいからエロシンだ!だいたい下着に興奮する人種って日本人だけじゃないの!?前の世界じゃ日本以外で下着泥棒はほとんどないって聞いたことあるよ!?
そんな取り止めのないことを考えているとエロシンが再び目を覚ます。復活早いな!
僕はスカートを押さえながらエロシンを睨みつけた。
「ここは・・・そうか。俺は捕まったんだな。」
さっきと同じ台詞を繰り返す。どうやら無事記憶を消去できたようだ。
「夢をみていた。どんな内容かは覚えていないが、とても幸せだった気がする・・・」
まだ消えきってない!
僕は再び足をあげる。それを制したのはティアさんだった。
「魔法使い様。それ以上されますと大事なほうの記憶まで消えてしまいます。ここは必要な情報を手に入れるまで抑えてください。」
遠まわしに必要な情報さえ手に入ったら問題ないって聞こえたよ!?なにこの子怖い。
「悪いな。これでもプロだ。何も話すつもりはない。」
すごいきりっとして話してるんだけどさっきので台無しだ。
「いえ、あなた以外の方からのお話で、戦争強硬派のレイナム家とダール家からの刺客で、私を人質にすることによって戦争反対派の最大派閥であるシルヴェルト家を黙らせるっていうことまではわかりました。」
・・・え?そんな話したっけ?
「何?ダールも加わっているのか!?」
「やはりレイナム家でしたか・・・」
「なっ!図りやがったな!」
「いいえ。あなたが勝手に喋ってくれたんですよ。それであなたが来たということは盗賊ギルドは彼らの見方、私たちの敵でしょうかね。」
エロシンは微動だにしない。
「いえ、違いますか。裏で何か大きな組織とつながりがあるとみるべきでしょうね。」
「さぁな」
あ。目が泳いだ。
「やれやれ、清濁併せ呑むことも大事とはいえ、そこまで堕ちていたとは。何かもう一手考えないといけませんね。」
「・・・ちっ」
完全にティアさんの手のひらの上だなぁ。
「裏の組織やあなたの立場も気になりますが、今はレイナム家を何とかするのが先ですね。とりあえずあなたはしばらく屋敷の地下ですごしてもらいます。生きてるだけましだと思ってください。」
「もう好きにしろ」
そういうと目を瞑った。どうやら寝始めたようだ。丈夫な上に神経が太い。この人アサシンより向いてる職業いっぱいあるんじゃ・・・
「さて、他の情報は屋敷でゆっくり聞くとして、私たちはのんびりしましょうか。」
「は、はぁ。」
「そういえば命の恩人である魔法使い様のお名前をまだ聞いてませんでしたね。教えていただけますか?」
「えっとユウ・・・ユウナです。」
あぶない。本名出すところだった。正体は隠しておきたいからね。主に僕の心の平和のために。
「ユウナ様ですか。ユウナ様は強い上に回復魔法まで使えるなんて素敵ですね。誰かに師事されたのでしょうか?」
「え、ええと・・・」
この後、僕の能力についての話や化粧品、食べ物や流行の話など、ラフィンドの町までぼろを出さないようにするのに必死だった。
うぅぅ。早くもとの姿に戻りたい・・・