表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でなった魔法使いが想像と違う!  作者: 桜華
第二章:異世界でなった魔法使いの旅路
54/57

切り札

祝。総合評価400突破。たくさんの人に感謝です。

活動報告でも感謝を書いてますので、ここでは簡単な報告と感謝だけさせてもらいます。


そしてそんな中、シルクの一人称が「私」から「ボク」に変更していたのをすっかり忘れていたボケ作者です。修正報告と同時に、謝罪させていただきます。

「うわっと!」


突進してくるモンスターを華麗にかわす僕は、現在戦闘中。

向かってきてたのは、エナジーイーターってモンスターだ。

とにかく攻撃がいやらしいらしい。睡眠、麻痺、気絶、影縛りなどなど、とにかく相手の動きを止めて、精気を奪う。で、ついた異名が「悪夢」。この世界にいるかどうかわからないけど、獣版サキュバス、インキュバスって感じ。でも方法があのバクみたいな長い口を相手の口に突っ込んで吸収するっていうから、説明書から説明を聞いたときは軽く鳥肌が立った。うぁ、ちょっと想像しちゃったじゃん。


「キュォオオオオオオオ!」


僕との距離をつめたエナジーイーターが長い前足を振り上げて襲ってくる。たぶんダメージはたいした事ないって思うけど、あの爪だけはかすっただけでも危ない。とはいえその状態は、


「ボディがお留守だぜっ!」


どこかの格闘ゲームの主人公のような台詞をついつい叫びながら、ギルさんの見本を頭に置いて胴にステッキを叩き込む。


「ギュルゥッ!」


おー。思った以上に吹っ飛んだ。僕の攻撃力が想像以上だったのか、拙くてもこれが技術の違いなのか。

エナジーイーターはまだ息がある。変わったモンスターだし、面白いカードが手に入るかも。

僕は「魔法創造」のカードを取り出して、ステッキに差し込む。


「封殺!」


脳天に一撃。そしてモンスターがカード化する。

さて、どんなカードになったのか楽しみだ。ワクワクしながらカードを拾って確認。


「吸収Lv5」


僕の頭の中:国民的格闘漫画に出てきた科学者「今だぁー!」


・・・ハッ!?今僕の頭の中で何かが吸収された!?

ま、まぁそれは置いておいて、なかなか便利そうなカードが手に入ったかな。

ただ・・・そこはかとなくエッチな気がするのは僕にやましい気持ちがあるからだろうか。


「ユウナ、どんなカードが手に入ったんですか?」

「てぃ、てぃてぃてぃてぃあ!?」

「?なにをあわててるんです?」

「べっ、別に慌ててなんてないよ?」


変なことを考えてたせいか、急に声をかけられて超怪しい態度になってしまった。うん。自覚はある。

ティアはすごく不思議そうに首を傾げる。そしてこんなタイミングでも、しぐさがかわいいと思ってしまった。


「で、どんなカードが手に入ったんですか?」

「う、うん、これ・・・」


や、やましい気持ちなんてないんだ!

僕は自分にそう言い聞かせながらカードを見せた。


「これはまた攻守そろったカードを手に入れましたね」


ティアはニコニコしながら話す。今はあの笑顔が怖いよ。


「どれどれ。・・・なぁ、これって一体何を吸収するんだ?」


覗き込んだギルさんが質問してくる。その疑問はもっともだ。早速説明書に確認。


(Lvによって吸収できる方法と対象、威力が増えます。Lv5なら、ステータス異常の必要はなく、特定の場所を作成してそこにいる限りと、数秒間接触することによって使用可能です。使用対象は動物等、動く物限定、吸収対象はHP、MP、スタミナ、気力、栄養です。)


「ってことらしいです」

「・・・まじか」

「すごい効果ですね。まさしく切り札となるカードですよ」

「そんな効果をもつカードを作り出せる魔法少女っていうのはとんでもない存在だな」


僕も冷静になって考えると、すごいカードを手に入れたと思う。


「ごめんみんな、ちょっと手伝って!」


突然シルクの声が届く。

みんなすぐに戦闘態勢に入って声のほうを見る。

シルクを追いかけてるのはサイにトリケラトプスの体を足したようなのだった。ずんぐりむっくりな見た目なのに足はしっかり速い。そういえば人間にも太ってるくせに足は速いヤツとかいるからおかしくはないのか。そういうのが小学校の時に同じクラスにいた。ちなみにあのモンスターはアーマーソードホーンというらしい。説明書情報だ。


「また面倒なのが出てきたな」

「あれ、冒険者ギルドでAランクパーティの討伐対象にもなるアーマーソードホーンですか?」

「ああ。あの頭から背中まである剣の鎧のような皮膚は武器はおろか、魔法抵抗力すらある」

「くるよ!」

「シルク!その突進をうまく捌けるか?」

「やってみる!」


シルクは立ち止まると振り返り、短剣を縦と横に持ってクロスさせる。そしてすぐに迫った角を防ぐ。瞬間、ソードホーンは角を振り上げ、シルクを弾き飛ばす。


「シルク!」

「いや、大丈夫だ!」


シルクは高速回転しながらソードホーンの背中を転がる。よく見ると剣を立てて背中を突き刺そうとしてる。


カキカキカキカキカキカキカキィーン!!


何かがぶつかる、こすれあうような音が響く。


クルクルクルクルクルクルストン!


回転しながらシルクは華麗に着地した。


「できた・・・ギルにぃ、威力を利用したカウンターができたよ!」

「おう!かなりいい出来だったぜ!」


シルクは異様に喜んでる。課題か何かだったのかな?

ソードホーンは高速で走り抜けると速度を落としながらこっちへ方向転換してくる。


「さて。俺も一つ試してみるかな」


そう言ってギルさんがとった構えは・・・僕が一度見せた「牙突きばづき」の構えだった。


「これはユウナが俺との決闘で見せてくれた技を俺なりにアレンジした技だ」


・・・やっぱり。でもギルさん、姿勢が妙に様になってる。


「疾風牙!突!」


瞬時に見えなくなった。


「ガァウウウウウウウウウ!」


途端にソードホーンがもつれながら、倒れ込みながら突っ伏した。

よく見ると片足がない。


「ふぅ。とりあえず形にはなったな。他の技への転化も早そうだし、隙のない技にできそうだ」


どうやら片足を吹き飛ばしたであろうギルさんは技を完成させつつあるようだ。

さて、まだ息のあるソードホーンはどうしようか。


「みなさん、この子、私が貰ってもいいですか?」


そういえばこのモンスターからならいいカードが作れそうだな。


「僕に発言権はないよ。なにもしてないから」

「ボクも同じく。むしろ巻き込んじゃった身としては、希望に沿いたいけどね」

「俺はかまわねぇよ。こっちとしてはそこそこ強力な相手に技を試せて満足だ」


みんな異論はないようだ。


「では」


ティアはステッキに二枚のカードを入れる。


「確実に行きます」


そう言ってジャンプ。あ、これって・・・


「流星脚!」


狙いはむき出しになってるお腹のようだ。


「封殺!」


バスゥン!


何かがはじけるような音と共に砂煙に包まれる。それが晴れてくると、本当に小さなクレーター?穴?の中心でカードを手にしたティアが立っていた。


「やりました!」


ティアが笑顔でカードを掲げる。

こうなるとどんなカードになったのか気になるな。


「どんな効果なの?」

「「鎧化」です」

「ほぉ。唯一の弱点の補強か」

「たぶんそれだけじゃあないと思います。うまくいけばユウナのような攻守そろった効果がだせるでしょう」

「うわぁ、味方なら心強いけど、敵ならこれほど怖い相手はいないよ」

「俺は次にやりあう時が楽しみになったぜ」

「今ならお二人ともいい勝負ができそうです」

「いうじゃないか。早速勝負といこうじゃないか!」


なんだか話が妙な方向へ進みだした。僕にはその気ないって。


「二人とも落ち着いて。あれ?そういえばシルクは?」

「あいつならたぶん今の感覚を忘れないように反復してると思うぞ」


姿を探してみると、いた。猪みたいなのに向かってさっきの技を使ってる。あ、倒したみたい。

あの攻撃も結構強力だと思う。


「まぁ、なんにしてもだ。今日の収穫は大きい。俺もユウナもティアもシルクもな」

「うん」

「はい」





今日僕らは、それぞれに切り札と呼べそうなものを手に入れた。






ユウナの心中「吸収・・・エナジードレイン・・・だぁぁぁぁ!何考えてるんだ僕は!」

吸収のLvが低いと色々な制限がつきます。たとえば吸血に近い方法や、某ポケットのモンスターの技のように寝てる事が必須とか、サキュバスインキュバスのような方法になるんです。逆に高Lvにレベルドレインなんかもあります。


余談

ユウナとティアがカード化するときに叫んでる「封殺」ですが、台詞に特に効果はないです。発端はユウナ。無言じゃ味気ないと思って発した言葉をティアが真似し始めたのが始まりです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ