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異世界でなった魔法使いが想像と違う!  作者: 桜華
第二章:異世界でなった魔法使いの旅路
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ローストワイバーン再び

今回、ちょっと長いです。

食事回、その二です。食事回は書いてて楽しいです。捗ります。そのせいか連日で投稿できました。

「なんかこう・・・落ち着くな」

「ほっとします。いろんな悪い感情が解けていく感じ・・・」

「このひとときが贅沢だなぁ」


ギルさん、ティア、そして僕は幸せのため息をもらす。ちなみにギルさんとティアは二杯目のスープだ。


「ボクは余計に食欲がわいてきたよ。この具材をはさんだパン、食べてもいいんでしょ?」


シルクはまだ食欲が勝つお年頃かな。


「サンドイッチっていうんだ。いいよ。いろんな種類があるから楽しんでね」

「え?あ、本当だ。挟まってる具がバラバラだ。どれにしようかな」


シルクが顔を輝かせながら選ぶ。


「またずいぶん手がこんでるな。これならしばらく楽しめそうだ」

「前に食べたワイバーンをはさんだパン、おいしかったんですよねぇ」


ティアは前に食べたローストワイパンを思い出してるみたいだ。確かにあれはおいしかった。


「あ、ワイバーンをはさんだヤツもあるよ。見た目じゃわかりにくいかもしれないけど」

「本当ですか!?じゃああのソースも欲しいんですけど」

「今回は最初から付けてあるんだ。あ、付けてないのも混ぜてあるよ」


そういうとティアは真剣に選び始めた。


「ティアはもっと冷静なヤツだと思ってたんだが。それともそのワイバーンの味が魅了するのか?」


ギルさんも興味ありげに選び始めた。

僕もそろそろ食べようかな。最初は~・・・コーンマヨ。コーンパンは色んなパン屋にある定番商品だ。それを真似て作ってみた。僕はこのコーンマヨが大好きなんだ。コーンはスープを作った残りで、マヨは本を見て手作りだ。


「ボクはこれ」


シルクはカツサンドを選択。これもわりとよく見る。カツももちろん手作り。ノートルは肉がおいしいと思って買ってきたんだ。説明書に聞いて豚肉に近い味のものを使ってる。


「私はこれですね。確かこんなのだったはず・・・」


ティア残念。それはハムと辛子マヨネーズだね。ハムはこの世界にもあった。味見したけど現代のハムより結構塩味が強い。そのまま食べるときついかもしれないけど、サンドイッチにするならちょうどよかったかも。


「俺はこいつだ。すっげぇうまそうな匂いがした」


ギルさんは匂いでワイバーンを当てた。嗅覚まで狼並みですか?

僕は手を合わせる。


「いただきます」


と言ってる間にみんなはもう食べ始めていた。


「んっ!」

「んん?」

「んん・・・」


みんなが口に含んでから声にならない声を上げる。器用だねぇ。と思いつつ僕もがぶり。


もぐもぐもぐ。ごくん。

あー。コーンマヨおいしい。


「おいしーっ。まずパンがすごく柔らかい!それに中の具がサクサクって食感に口の中はすごい肉汁がでてくる」

「残念。ワイバーンじゃありませんでした・・・あ、でもこれはこれでおいしいですね。この白いソースがすごく味を引き立てます」


そんな感想を言い合ってる中で、ギルさんが一人、ちょっと様子が違う。


「・・・なんだこれ」

「ギルにぃどうかした?」


ギルさんは一瞬迷ったようだったけど、少し割ってシルクに渡した。


「食ってみろ」

「う、うん・・・」

「ユウナ、もしかして?」

「うん。ギルさんの食べたのが当たり。まさか匂いで当てられるとは思わなかった」

「いいなぁ・・・」


ボソッと聞こえたティアの本音に、かわいいなって思ってくすっと笑った。


もぐもぐもぐ、ごくん。


「・・・なにこれ?味はワイバーンに似てるけどぜんぜん違う。おいしい!今まで食べてきたものの中で一番おいしい!」

「ユウナ、これはなんだ?俺も今まで食ったもんの中でぶっちぎりのうまさだ。他と次元が違う」

「ワイバーンだよ」

「嘘だ!」


即答(笑)まぁ信じられないよね。


「嘘じゃないよね。ティア?」

「ええ。あれは限りなくドラゴンに近いですがワイバーンです」


そうなんだよね。あれは強かったし、ドラゴンに似てたんだけどワイバーンなんだよね。はぁ。


「ドラゴンに近いワイバーン・・・ってまさか!」

「アナザーワイバーン、黒い暴風の肉。おいしいでしょ?」

「あれか・・・つかあれこんなにうまいのか。まだどっかにいねぇかな?」


ギルさんの目に妖しい光が灯る。あれは殺る気だ。

僕や普通の人はあんなのがぽんぽん出てたまるかって思うんだけど。


「ギルにぃそれちょうだい!」

「だめだ。こいつは俺のモンだ!」

「いーじゃん。けちー!」

「次こそは・・・!」


うーん。これはワイバーンだけ取り合いになりそうだな。仕方がない。

僕はサンドイッチの山の中からワイバーンのヤツだけを全部抜く。


「おい!独り占めか?」

「ずるーい!」

「ユウナ、それはないですよ・・・」


みんなからの非難がすごい。食べ物の恨みは恐ろしいって聞いたことあるけど本当だったんだ。


「このままじゃ取り合いになるでしょ。だからワイバーンは数を決めます」


そう言って人数分に切り分ける。オニオンソースつきと、つきじゃないのを一人一個。

そしてそれを手渡していく。ティアがものすごくいい笑顔をしている。よほど気に入ったんだね。


「おい、俺とシルクだけ一個すくねぇぞ?」

「ユウナ・・・」


あの、ギルさん、そんなに睨まないで?シルク、そんな泣きそうな目でこっちを見ないで?


「ギルさんは最初に当てたのをシルクと分けてよ。じゃないと不公平でしょ?」

「おい、こいつは俺が当てたヤツだぞ?」

「ギルにぃ・・・」

「ギルさん?」

「ギルさん」


シルク、ティア、僕がそれぞれ視線を送る。


「わかった、わかったよ!俺の負けだ!」


そう言ってサンドイッチを割る。そして大きいほうをシルクに差し出した。

ギルさんって根はやっぱり優しいね。シルクはものすごい笑顔でそれを受け取った。


「ギルにぃありがと!大好き!」

「調子いいぜ。ったく」

「まぁそれ以外のもおいしそうですし。せっかくなんですから楽しく食べましょう」

「そうしてくれると作った僕としては嬉しいよ」

「・・・だな」


ギルさんも最後は笑ってくれた。そして今食べかけのローストワイバーンのサンドイッチをほおばる。


「やっぱうめぇな!こんなうめぇもんはしけたツラで食うもんじゃねぇ!」

「おいしーっ。ねね、ユウナ、また作ってよ」

「あ、私もお願いします」

「まぁそのうちにね。限りがあるから大事に食べたいんだ」


そういいつつ僕は次のサンドイッチに手を伸ばす。僕の次の獲物はツナマヨだ。これも好きなんだよね。あ、別にマヨラーってことはないよ。そしてこれはおにぎりにも合いそうな具だから余分も作っておいた。

ティアはレタスをふんだんに使ったのを選んでた。ワイバーンは後にとっておくようだ。


「ん?こっちのワイバーンは味が落ちるな」

「本当だ。なんで?」


もう二つ目に突入したのか。早いなぁ。


「あぁ、それはソースの有無の違い」

「そういやこっちにはソースがついてないな。なんでだ?」

「ソースつきとソースなしでの味の違いを楽しんでもらおうかと思ってね」

「なるほどな。しかしソース一つでこんなに味がかわるもんか?」


その疑問はごもっとも。僕も最初疑ったもんね。


「百聞は一見にしかず。試してみてよ」


そう言って僕はオニオンソースをお皿に出す。


「なんだ?その「百聞は一見にしかず」ってのは」

「百回聞くよりも、一回でも自分の目で見たほうが確かだっていう意味かな」

「何かの例えか?だがその意見、俺は賛成だ」


そういいながらシルクと二人でソースを付けて食べだす。

ティアは僕とギルさんのやり取りを見ながらうなずいて食べていた。


「これもおいしいですね。この葉野菜、しゃきしゃきでぱりぱりで、歯ごたえがすごく楽しい。それにみずみずしくてたまりません」


気に入ってもらえたようでなによりだ。


「マジだ。このソースが特にうまいってわけじゃねぇのに・・・」

「ギルにぃ、難しいこと考えないで、「うまい!」でいいじゃない」

「お前は気楽だなぁ」


ギルさんも苦笑いだ。

そんな様子を見ながら僕もちゃんと食べている。ツナマヨウマー。

おや?ティアがサンドイッチとにらめっこしてる。


「ユウナ、このサンドイッチの中身って入れ替えてもいいですか?」

「ん?別のサンドイッチに具材を加えるってこと?かまわないよ。それもサンドイッチの楽しみ方だし」


世間ではどうかは知らないけど。

するとティアはレタスをオニオンソースつきのワイバーンにはさみなおす。あ、これはおいしそう。

そして一口。


もぐもぐもぐ、ごくん。


超絶幸せそうな顔だ。初めてローストワイパンを食べたときを思い出す。

あとは無言で食べ始めた。

・・・おいしいんだろうなぁ。だめだ。僕も食べてみたい。

ティアを真似てローストワイバーンにレタスをはさんで一口。


がぶ。もぐもぐもぐ・・・ごくん。


「うまい!なにこれ、ワイバーンはこってりしすぎないけど、こってりとあっさりのコラボレーションを実現してる!レタスなしとはまた違ったおいしさだ!」


もう二つとも食べ終わったギルさんとシルクが羨ましそうにこっちを見る。

僕は一気に食べてしまいたい欲を押さえつけて、残りを作った空間にしまう。


「ユウナ、食べないの?食べないならちょうだい!」

「あー。僕は好きなものは最後までとっておいて食べるんだよ」

「なーんだ。残念」

「おいしかったぁ。これは正解でした」


ティアはとても満足そうな顔だ。


「まだ一つ残ってますし、他にも合う組み合わせがあるかもしれません」


そういってティアは次のサンドイッチを選び始める。

ギルさんはベーコン、レタス、トマトの入ったいわゆるBLTサンドを、シルクはタマゴサンドを選んで食べてた。


「おっ?これはいろんなのが入っててうまいな。ボリュームもあって満足だ」

「これ、タマゴだよね?すっごい濃厚な味がする。ボクこの味好きー」


ワイバーン以外もおいしく食べてもらえてるようでよかった。かくいう僕はハムときゅうりとマヨネーズのサンドイッチを手に取って口に運ぶ。うん。おいしい。

その後もみんなが「おいしい」とか「うまい」といいながら食事が進む。

僕は最後にとっておいたワイバーンを食べ、ゆっくりとスープを飲みながら大満足で食事を終えた。




作ってよかった。






思った以上にローストワイバーンがひっかきまわしてくれて、サンドイッチが霞んでしまいましたorz

それに伴いサブタイトルも「サンドイッチ」から「ローストワイバーン」に奪われました。


ギルの心中「今アナザーワイバーンの肉を持ってるのはユウナだけだよな。ますます見逃せねぇな」

ユウナ「なんだろう。さっき以上の寒気が・・・風邪かな?そういえばこの世界に風邪ってあるのかな?」


作品に出てきたサンドイッチは大体僕の好きなのです。あ、サンドイッチ食べたくなってきた。

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