初めてのおつかい。そして期待してた魔法が斜め上をいく。
ようやく魔法を使います(笑)
4/26、読みやすいように行間をあける訂正をしました。
呆然状態から立ち直った僕は、もう一度掲示板を見ていた。
注意はありがたいけど、僕には神様お墨付きの魔法もあるし大丈夫でしょ。
改めてEクラスの採取の依頼をいくつか確認していく。採取なら一人で行けるし誰にもみられないですむし。
モンスターの部位とかは無理だから、僕にできそうなのは癒し草の採取とヨモギの採取。
どっちもこの町を東から出て南東にある森で採取できるみたい。
・・・ヨモギって僕の知ってるのと同じなのかな・・・
「ササキさん、ギルドカードできましたよ。」
受付のお姉さんに声をかけられたので受け取りにいこう。
「はいどーぞ」
「ありがとうございます。あ、質問があるんですが。FクラスでもEクラスの依頼って受けられますか?」
「同じブロンズクラスなので可能ですよ。ただお勧めはできません。先ほどの「鋼の牙」の方々が言われたように、Fクラスから力と体力をつけるべきだと思います。」
鋼の牙?
「あぁ、パーティ名ですよ。」
なるほど。
さて、このまま無理に受けてもいいけど何だか罪悪感がある。ここは言える所は正直に話そう。
「実は僕、魔法使いなんです。採取のついでに人に被害が出ない場所で魔法を使ってみたくて。」
「まぁ。そうでしたか。分かりました。ただし気をつけてくださいね。」
「ありがとうございます。」
ふう。何とかEクラスの依頼を受けられそう。
受ける依頼は癒し草とヨモギの採取の2つにした。
それから僕はギルドカードと依頼書を受け取って冒険者ギルドを後にした。
外に出られることは決まったので、僕は武器と防具、あと道具を見に行った。
武器はショートソードにした。もちろん説明書にいいものを選んでもらった。短剣とショートソード以外は重くて振り回す自信がなかったのは秘密だ。
杖やスタッフもいいかなぁって思ったんだけど、なんとなく武器って気がしないからやめた。なんか剣とかの方が安心するし。
防具は決める前に今着てるブレザーを説明書に聞いてみたら、どうやら神様が作った「神衣」とかいう最高クラスの防具と判明。このままでいっちゃおうと決めた。
あとはポーションに毒消し、携帯食に水筒、念のために大きめの毛布、買った道具や採取したものをを入れるリュックを買って準備完了。しめて金貨5枚。防具が節約できたおかげで出費は大分抑えられた。ただ残りのお金も少ない。大事に使おう。
東の入り口まで行き、兵士に身分証明のギルドカードを確認してもらって。いざ外の世界へ。
さぁ、冒険の始まりだ。
街道はきれいだけど、今は人通りはない。でもここじゃあまだ目立ちそうだからまだ魔法は使えない。森に入ってからかな。
しばらく歩くと左手側に森が見えてきた。説明書でも確認したから場所は間違いないね。
まずは依頼の採取からはじめよう。ある程度森の中に入ったら、説明書に採取するものが分かりやすいように、視界に入るものを判断できるフィルターをかけてもらった。
すると目の前で青や赤に点滅しだす草がいくつかある。早速それをいくつか摘んでみた。
あ、やっぱりヨモギは知ってるのと違った。
説明書に癒し草とヨモギの使い方を聞きつつ、採取を続けた。
癒し草はポーションの材料に、ヨモギはポーションや毒消しなどの回復薬の材料になるらしい。じゃあちょっと多めにとっておこう。
採取も終わったので、おまちかね、ようやく、やっと魔法を使ってみることができる。早速ダイヤモンドを取り出して呪文を唱えた。
「変身!」
すると激しい光が僕を包む!
力がみなぎる!
体の中を何かが駆け巡る!
意識が広がり、物の存在をより強く感じる。!
あぁ!もうなんか言葉では言い表せない!
光が収まり、僕はゆっくり目を開いた。すると下を見ていた僕の目線の先、つまり胸の辺りが微妙に盛り上がっている。嫌な予感をおぼえつつ、変身というくらいだから、服が変わったのかなぁと思い自身を見回す
うん。これスカートだ。しかも短い。服もゴスロリを基調としたピンクのフリフリ。露出大め。ダイヤモンドを持っていた右手には白とピンクの翼をモチーフにしたステッキ。胸も何か詰め物かと思ったら本物の胸だった。
・・・・つまり今の僕は女の子で、いわゆる魔法少女の格好をしている。
なんじゃこりゃああああああああああああ!!!!!!!
「あはははははははははははは!あはっ!あはっ!あはっ!げほっ!げほっ!げほっ!」
「なっ!誰だ笑ってるの!ってこの声は神様!?」
「そうそう。ひぃ、ひぃ、あー可笑しい。」
「これはいったいどういうことですかっ!?」
「あはっ。えっとね。君のお母さんが魔法使いで天才だったって、くふっ、話をしたよね?」
いつまでも笑ってる神様に軽い殺意を覚えながら「はぁ」と相槌をうつ。
「実は彼女、まっ、魔法少女だったんだよ。あはははっ!きっ、君はその才能をごっそり引き継いだ魔法少女のエリートなの。」
「・・・マジですか・・・」
「マジマジ。マジで魔法少女って・・・あははははははははは!きっ、君は僕を笑い殺すつもりなのかい!?」
うん。屈辱。怨念でこの神様消滅させられたらなぁ・・・
「はぁ、はぁ、楽しそうになるって確信した僕の考えに間違いはなかったよ。」
あーそんなこと言ってた。こんな理解の仕方はしたくなかったけど。
「やっとおちついてきた。あ、とりあえず安心してよ。能力は本物だから。たぶんその世界で最強に近いと思うよ。」
「それくらいないと納得しませんよ!」
「あー笑った笑った。じゃあそろそろ行くね。その力は自由に使っていいけど、この世界を滅ぼすようなことはできれば避けてね。んじゃねーい。」
何しにきたんだ神様!・・・って笑いにきたのか。暇だな神様!
はぁ。これからどうしよう。とりあえず今の状況は置いといて、使える魔法を確認しよう。
変身のワードが頭に浮かんだときと同様に、使える魔法が浮かんでくる。
身体強化
・・・あれ?これだけ?嘘でしょ?涙が出ちゃう。
この結果に声がでなかったからか。変身することによって身体能力があがったからか。
どこからか剣戟が聞こえる。これは・・・街道のほうからだ!
耳を澄ませる。
「一人も逃がすな!皆殺しだ、殺れぇ!」
「くっ!このままでは・・・ぐぁぁっ!」
誰か襲われてる!助けなきゃ!
・・・この格好で!?でも迷ってる暇はなさそう!とにかく助けなくちゃ!