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異世界でなった魔法使いが想像と違う!  作者: 桜華
第二章:異世界でなった魔法使いの旅路
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ティアの決意

更新が遅れ気味でご迷惑おかけしてます。

それでも読んでくださる皆様、ありがとうございます。

「あぁそうだ。ここには準決勝の日程の話をしにきたのだ」


ノルド様が思い出したような話した。

結構大事な話をこんなに後回しにしていいんだろうか・・・


「ティア、いつ頃なら復帰できる?」

「今日一日もらえれば、明日には」


ギルさんの問いにティアが答える。

僕から見ても大丈夫そうには見えるんだけど昨日の今日で明日大丈夫か心配になる。


「ふむ。大丈夫そうには見えるが無理をしてはいないな?」

「はい。今の時点でもほぼ回復しきっているようです。大事をとって今日一日とお話しました」

「では明日から準決勝を行っても問題ないな?」

「はい。よろしくお願いします」

「ティア、本当に無理してないんだよね?」


昨日の今日で心配しないほうがおかしい。


「大丈夫ですよ。私も万全の体調でユウナと戦いたいので」

「ふむ。信用しても大丈夫そうだな」


戦いが理由になったせいか、ノルド様とギルさんはあっさり信用した。


「僕としてはもう少しゆっくりと様子をみたいんだけど」


僕の台詞に真剣な顔をしたティアが僕を見る。


「聞いてくださいユウナ。あなたは私の憧れです。私はあなたに近づきたい。足手まといになりたくない。あなたと肩を並べて歩きたいんです。偶然にも近づけるための力を貰いました。まだ力の扱いに慣れていませんが、今の私とどれだけ力の差があるか知りたいのです。そして今回、たまたまユウナと戦う機会ができました。この先にこんな機会がどれだけあるかわかりません。だから全力で戦いたいのです。それに全力でぶつかれば新しく得られるものも多いと思っています。そんな私の覚悟にユウナはどう応えてくれますか?」

「ティア・・・」


ティアがこんな決意をしているなんて知らなかった。もちろん全力で戦うつもりだったけど、どこかゆるい気持ちがあったことは否定しない。ティアの気持ちは本物だ。だから体調のことも絶対嘘じゃない。

僕はこの気持ちに応えなきゃいけないと思う。


「もちろん。全力で応える!」


僕は真剣に返した。


「決まりだな。準決勝は明日の午後、予選と同じ時間に始める。楽しみにしているぞ」

「やべぇ。わくわくが止まらねぇ!」

「うぅ~!ボクもやりたかった!悔しい!」


ノルド様、ギルさん、シルク様がそれぞれの反応を見せる。

というか全員妙なオーラが駄々もれてる!僕たちに触発されたんだろうけど、もうちょっと抑えて!あぁほら、入り口にいる治療師の人たちが怯えてるじゃん!


しかもそんな殺気にも近いオーラをまといながら出て行くもんだから軽い悲鳴まで聞こえてきた。病人や怪我人に余計な心労かけたらだめでしょ!?


「それじゃあ僕も行くね。全力でティアと戦うために明日に備えるから」

「はい。不甲斐ない戦いをしたら容赦なく勝たせてもらいます」

「怖いなぁ。でも心配しなくていいよ。あの決意を聞いて応えなければ僕はティアに尊敬も好意も持たれる人間じゃない。僕はそんな人間になりたくない」


僕の台詞にティアはにっこり笑う。


「これ、返しますね」


渡されたのは魔法創造のカードだった。

そういえば貸したまんまだった。

僕は笑顔でそれをうけとり、診療所を後にした。





そして僕は今、ノートルの町から一時間ほど離れた林の入り口付近にいた。

やりたいことは二つ。まずは新しく憶えた魔法だ。

某ゲームでいうならラーニングとでもいうべき方法で、パワーアップ、スピードアップ、スタミナアップ、それにその上位互換のハイパワーアップとハイスピードアップ。そして意外だったのが、あの場で使ったリザレクションも憶えていたこと。これは驚いたけどすごく嬉しかった。

ただリザレクションは怪我や病気にならないと試せないから今回は検証を見送った。そして検証した結果、アップ系の強化魔法は僕の身体強化ぶーすとの下位互換で、上乗せができないという事実。これはちょっと想定外でちょっと落ち込んだ。


次は戦力の強化。できれば切り札となるようなカードを手に入れたい。

町からあまり離れていないため、そんなに強いモンスターはいないと思う。なら珍しい効果を発揮するものか、使う場面は限定されても強い効果を発揮するものがいい。ある程度余裕をもって出てきてるけど、残されてる時間は少ない。僕は早速林に入り、モンスター退治に精を出した。結果、夕方には二枚のカードを手に入れた。

・・・切り札にはなるかもだけど、これ使ったらティアに嫌われそうで嫌だ。願わくば、使わなくても勝てるように。


色々思うところはあるけれど、準備は整った。僕は町に戻ると寄り道せずに宿に戻り、晩御飯を食べてすぐにベットに入る。寝不足だったせいか、安心したせいか、その日は秒殺で意識は飲まれた。


翌日、綺麗に目が覚めた僕は支度をすませ、朝食を終えて軽く体を動かした。

うん。体調は完璧。これで体調をいいわけにすることはできないと自分に言い聞かせる。

それにしてもまだだいぶ時間がある。でもおちつかない。今日の勝負にいろいろとどきどきしている。

今頃ティアはどうしてるだろうか?どう戦うのか?なんだかまとまらない、とりとめもないことを色々考えて気がつくと、僕はコロシアムに来ていた。無意識に気が急いてるんだなぁって思う。

それにしてもまだ始まるまでずいぶん時間があるのにどんどん人が入っていく。


「あれ?あれって件のユウナさんじゃない?」


人ごみで誰かがそういうのが聞こえてハッとなる。

そして速攻取り囲まれた。


「か、かわいい。ノルド様やギル様がご執心なのがわかる!」

「ユウナさん、かっこいいー!」

「あ、握手してください!」

「今日の準決勝、がんばってください!」


何、何なのこれ!?なんだか扱いが芸能人みたいなんだけど!?

僕は雰囲気に飲まれてちょっと後ずさる。


「お前たち、そのへんにしておけ。ユウナ殿は今日これから準決勝なんだぞ」


た、助かった。


「あ、ありがとうございます。助かりました」


そういって声のほうに振り向くと、そこにいたのは昨日のダメッぷりが嘘のように凛としたシルク様がいた。


「その微妙な顔は助けた相手に失礼じゃないですか?」


やばっ。顔に出てたみたい。


「す、すいません」

「あー大丈夫だよ。シルク様の中身を知るとみんなそんな顔するから」

「そうそう。周知の事実ってやつだ」

「お、お前ら!」

「やべっ。シルク様が怒ったぞ。逃げろっ」


そういって雲の子を散らすように逃げ出す人たち。


「まったく・・・」

「シルク様は好かれてますね」

「ボク・・・私のほうが年下で、恩人の方なのです。呼び捨て、タメ口で結構です。そうでしょうか?なんだか甘く見られてるような気がして・・・」

「じゃあ僕のこともユウナでいいよ。それと僕と話す時は素でもいいんじゃないかな。嫌いな相手ならまず声なんてかけないよ。次に好きでもない相手にコミュニケーションをとろうとは思わないでしょ?」

「いわれてみれば」

「自信をもっていいと思うよ。僕も今ので確信をもって言える。シルクはいい人だ。好感がもてる。助けてよかった」

「・・・ありがとう。試合前にごめんね」

「いいよ。おかげで僕も緊張がほぐれた。おかげで万全の状態で挑めるよ」

「いいなぁ。ぱぱかギルさんはユウナと戦えて」

「・・・縁があればきっと勝負できる日はくるよ」

「本当?じゃあその日までにもっともっと強くなってないと!」


ものすごい燃え上がってる。目の中に火が見えた気がした。

・・・まずい子に火をつけたかもしれない。


「試合、がんばってね。勉強させてもらうよ」

「うん。情けないところは見せないよ」


シルクと別れ、色々とすっきりした僕は時間まで落ち着いて過ごすことができた。






「ユウナ様、時間です。お願いします」


僕がコロシアムに入ると声がいっそう大きくなった。

ちょうど向こうからもティアが入ってくるところだった。


「みんな、待たせたな!これから準決勝だ!ここにいるヤツラで知らないヤツはいないだろう。二人はシルク様を救ってくれた恩人だ!そんなことできるヤツが普通なわけがない!どんな戦いを見せてくれるのか今から楽しみだぜ!」


実況を聞きながら中央に移動する。


「よろしくお願いします」

「よろしく」

「準決勝、ユウナ対ティア、始めぇ!」

「「変身ちぇんじ!!」」


僕たちは同時に魔法少女に変身する。

そしてステッキを手にとる。

くるくるくるくるくるくる

びしっ!

ステッキをくるくる回してポーズ。


「魔法少女!マジカル☆ユウナ!!」

「魔法少女見習い!マジカル☆ティア!!」





「「推して」」「参る!」参ります!!」







余談です。

戦闘を考えてたら、

ユウナは某スーパーロボットの「流星、夜を切り裂いて」

ティアは某RPGのOP、「Starry Heavens.」

をイメージしました。皆さんはどうですか?

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