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異世界でなった魔法使いが想像と違う!  作者: 桜華
第二章:異世界でなった魔法使いの旅路
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次の目的地

祝。ブックマーク100件突破。たくさんの人に読んでもらえて嬉しいです。

みなさん、ありがとうございます。

「さて、これからどうしようか」

「そうですねぇ」

「・・・」


翌日、今この部屋には僕、ティア、ケンさん、ライムの四人がいる。

昨日の感動と疲れのせいか、今朝の寝起きはとてもよかった。

みんなが起きたのを確認できたら、ライムちゃんも含めて四人で朝食をとった。

食後にティアとこれからのことを相談しようと話していたら、ケンさんが、


「俺もいろいろ情報を持っている。力になれるかも知れねぇ」


といって食後そのまま相談タイムとなった。


「まずは西は不穏な動きがあるからやめておいたほうがいいっていう情報ですね。ケンさん、改めてありがとうございます」

「気にすんな。俺の受けた恩の一部にもなんねぇよ」

「はは。それで、これからなんですけどね。僕はマインが行動した場所を見てみたい。そこでできることがあればやってきたいと思うんです。」


今回のことで思ったのは、マインはまだたくさんの負の遺産的な何かを残してると思う。僕はそれをなんとかしたい。それをちゃんとしないと落ち着いて住みやすい場所探しなんてできないしね。


「ふむ。そういうことなら力になれると思うぜ。ヤツを殺すためにずいぶん情報を集めたからな」

「その情報はいただけるんですか?」

「もちろんだ。ぜひ役立ててくれ。ティア譲?どうかしたか?」


ふとティアを見ると、何か考えてたのか少しだけ俯きながら固まってた。

そして意を決して顔を上げる。


「ユウナ、道中でかまいません。私に力をつける機会をください」

「・・・それはかまわないけど、どうしたの?」


なんか雰囲気がいつものティアじゃない。


「私、今回のことで自分がいかに無力かを知りました。ユウナがマインからお父様を救ってくれたとき、そして今回ケンさんと対峙するとき。私は守られてばかりで何もできませんでした。せっかく神様に魔法少女の力までもらったのに、私何も変わってませんでした」

「そんなことない!ティアはマインの悪事を暴いた!それにたくさんの交渉もしてくれた!ティアはいつも僕を助けてくれてるよ!」


ティアはそんなこと思ってたんだ。でもティアはちゃんと僕を守ってくれてるじゃないか。


「違うんです。ユウナの危機にちゃんと助けられる力が欲しいんです。私は戦闘で守られるんじゃなくて、ユウナの横で一緒に戦いたいんです」

「ティア・・・」


ティアが僕を守りたいっていってくれるのが嬉しかった。でも極力危険なことは避けて欲しい。


「ティア、気持ちは嬉しいんだけどきけ「いいじゃねぇか」」


ケンさん!?


「そういう心意気、俺は好きだぜ。互いが互いを庇い、認め、研磨していく。いい関係じゃねぇか」


あぁそうか。ケンさんは僕が男だって知らないんだっけ。


「はい!そこでケンさんの情報と私の情報を刷り合わせて二人の目的が達成できるように予定を立てましょう!」

「よし。っつっても強さなんて一朝一夕でつくもんじゃねぇ。ティア譲はどれくらい戦えるんだ?」

「・・・実は接近戦は苦手です。修道院にいた時期があるので回復魔法一般は使えます」


話がどんどん進んでいく・・・

それにしてもティアが色んな回復魔法を使えるのはそういう理由だったんだ。


「あと、ユウナと同じようにカードを使っていろんなことができます。まだ五枚しか持ってませんけど」

「え?僕の持ってるカードとは別にティアもカード持ってるの?」

「はい。神様にいただきました。三枚はモンスターをカード化するカード。これはマインの使ってた魔法を再現したようです。一枚は私でも攻撃ができるようにマジックアローのカード、最後の一枚はユウナの得意技、流星脚です」


神さまの笑ってる姿が目に浮かぶ。流星脚なんて絶対面白そうで渡したに違いない。


「ほぅ。気になっていたがやはりカードを使って何かしていたんだな」


ケンさんが興味深そうに聞いてきた。


「はい。カードにはそれぞれ能力があって、それをステッキで使うことでその能力を使うことができるんです」

「変わった能力だな。だが恐ろしい。くれぐれも間違った使い方や、町を巻き込むような戦いはするんじゃねぇぞ?

「私がそんなことするように見えますか?」

「そうだな。わるい。とりあえずその能力を伸ばせばいいんじゃねぇか?」

「それは僕も思います。とりあえずカードの種類を増やせば戦略の幅も広がるし、頭を使って戦うのはティアには合うと思うんだ」


僕はケンさんに相槌をうちながらティアに顔を向ける。


「ケンさんありがとうございます。ユウナもありがとう。じゃあとりあえずは私たちでも倒せるそこそこ強力な敵がいるエリアを通りつつマインの残した悪意を消していく方向でいいですね?」

「そうだね。僕たちはしばらくその方針で旅をしよう」

「おう。その条件なら北のノートルだな。堅牢国家ジオーネとの交易の関係で交通整備された町だ。・・・そしてグランヴェリアからノートルまでの区間、その近くにあった村や小さな町はマインによっていくつか消滅している」


改めて聞くと気が滅入る。マインはなぜそんなことを平気でやったのか。異世界から来た人間の僕だったら間違いなく躊躇う。その地にいけば少しはマインの気持ちも理解できるんだろうか・・・?


「ノートルの近くの森には結構強力なモンスターが生息している。そこでカードを作ればいいモンができるだろうよ。それに経験も積むといい。「経験に勝る知識なし」ってぇのは言いえて妙だと俺は思う」

「なんだかお話を聞いてると強くなれる気がしてきました」

「僕もです。いい言葉ですね。やる気がでてきました」


しんみりした気持ちが切り替わったけど、それはそれこれはこれで。

強くなりたいって気持ちは男なら当然だよね?


「じゃあ決まり。目的地はノートルだ」

「無茶すんなよ」

「「はい」」

「で、ケンさんはどうするんですか?」

「そうだな。町のどっかに住める場所作ってしばらくはライムのリハビリだろうな。本当は俺のようなヤツが近くにいるよりシルヴェルトに預けたほうがいいんだろうが・・・リハビリだけはたぶん俺じゃなきゃ無理だろうからな」

「そうですね。僕もそんな気がします」

「ライムちゃん、よくなるといいですね」

「ありがとな。リハビリには時間がかかるだろうからしばらくは王都にいるつもりだ。また何か相談したり、情報がほしかったりしたらいつでも頼ってくれ。力になろう」


こうしてお互いやることも決まった。相談で時間はもうお昼だ。ご飯を食べてからメイドさんにお礼を言って屋敷を出る。ケンさんとライムちゃんとはここで別れて僕たちは今度は北門を通ってノートル目指して歩き出した。


「最初に思ったよりいい人でしたね」

「そうだね。ライムちゃんよくなるといいんだけど」


北門を出てだいぶたつ。僕たちはとりとめのない会話をしながらどんどん進む。

岩場に差し掛かった頃、岩のダンゴムシみたいなのがのっそりと出てきた。

そういえばこういうモンスターと対峙するのってはじめてじゃないかな?


「ユウナ、せっかくなので私にやらせてください。カードを作ってみたいと思うんです」

「どうやって作るの?」

「私が封印のカードを使って止めを刺せばよいみたいですよ。」

「わかった。危なくなったら助けに入るからやってみて」

「はい」


そしてティアは嬉しそうにステッキを振り回して敵へ突撃していった。

・・・楽しそうで何よりだけど・・・




嬉々としてステッキ(鈍器のようなもの)を振り回して敵を殲滅していくお嬢様かぁ・・・





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