異世界人、襲来。
更新がおそくなりました。ごめんなさい。
今回わりとシリアスです。
後半はティア視点です。
「おい、誰かこっちにくる!」
襲撃者たちの誰かが叫んだ。それによって襲撃者たちの意識が一斉にこっちを向く。
囮役の僕としては好都合。ジャンプして相手に向かって急降下。
「流星脚ぅぅぅぅぅぅ!」
キックする足元が青色に光りながら、暖かい幕が僕を包む。これが神様の言ってた補正効果っていうのかな?
ズドォォォォォォォォォォォォォオン!!
襲われてる人たちを巻き込まないように手加減したんだけどどうだ?
小さなクレーターを作った先には警戒していた二人が倒れていた。そして馬車に乗り込もうとしてた一人と倒した護衛を見張ってた一人が体勢を整えつつ警戒しながらこちらにゆっくり近づいてきた。
よし。敵の目は引き付けた。
そう思った瞬間
「えぇぇぇぇぇぇい!」
声のしたほうを見ると、ティアが僕の真似をしたキックで商人っぽい人を脅してた人に突っ込むところだった。
ティア!角度がまずい!見えちゃう!スカートの中が見えちゃう!!
ガスッ。
そんな僕の心配をよそにティアのキックは見事の命中。結構吹っ飛ばされた。
「大丈夫ですか!?」
ティアが庇うように近づき、声をかける。
「た、助かった。いや、まだだ。助けてくれ!盗賊に襲われてるんだ!」
「大丈夫です!私たちに任せてください!」
僕はそれを耳にしつつ、二人に対峙してた。一人が声をかけてくる。
「チッ!お前、こいつ等の仲間か?」
「いや、だけど襲われてる人を見て放ってはおけないでしょう?」
「邪魔するならお前らも仲間だ!」
そう言って二人が襲ってきた。僕は宝石をステッキに変えて相手をじっくり観察する。油断さえしなければ問題ない相手だ。なんなく攻撃をかわして相手を吹っ飛ばした。
「がはぁっ!」
「げふっ!」
これで全員倒したかな。ティアが商人に「もう大丈夫ですよ」って声をかけてる。
そして僕も事情を聞こうとそっちに歩き出したとき、そいつは現れた。
トン。
そんな軽い音が聞こえたかと思ったとたん、後ろからものすごいプレッシャーを感じた。
例えるなら上司の悪口を言ってたら実は後ろにいましたーって言うのを気づいたあの感じを何万倍にもしたそんな感じ。
「これをやったのはおめぇさんたちかい?」
渋い声が聞こえた。背中から嫌な汗が流れる。震えがとまらない。ティアが僕の後ろから目を離さないで震えてる。商人っぽい人は気絶してるようだ。
僕は怯える心を叱咤しながらゆっくりと振り返る。
そこには着物を着た昔ながらの任侠って感じのお人が日本刀らしきものをもってこっちを見ていた。
見た目も怖いぃぃぃぃぃぃぃぃぃい!
僕たちが怯えているとプレッシャーをばら撒いてる人は眼光を鋭くして再び問いかけてきた。
「もう一回聞くぜ?これをやったのはおめぇさんたちかい?」
プレッシャーが一段階あがった!怖い!怖いけど何もしないときっと状況はもっと悪くなる!
「・・・そうです」
僕はやっとそれだけしゃべることができた。
「・・・お譲ちゃん、同郷かい?それなら納得がいく」
「やっぱり。日本人・・・ですね?」
「あぁ。日本人だ」
ちょっとずつだけど会話をしていく。嫌な予感がする。もしかすると、ううん、たぶんこの人が襲った人たちの親分だ!
「お譲ちゃん、こいつらの仲間か?」
さっきのやつと同じことを聞かれる。
「違います。でも襲われてる人がいたから助けただけです!」
「りっぱな正義感だな。だがこれ以上クビを突っ込むな。怪我じゃすまねぇぜ?」
さらにプレッシャーが増す!この人どんだけ威圧感あるんだ!もう逃げてもいいかな!?
「お譲ちゃん。そこをどきな」
そういわれた時、後ろにティアがいることを思い出した。
・・・どけるわけないじゃないか。
「どきません」
「どけ」
「どきません!」
「・・・女、子供は怪我させたくねぇんだがしかたねぇか」
男はゆっくりとこちらに歩き出した。
「身体強化!!」
身体強化して身構える。
男が鞘から日本刀を抜く。
「峰打ちだ。勘弁してくれよな」
そういうと僕の目の前まできて刀を袈裟切りに振ってきた。
見える!
ギィィィィィィィィン!
一撃が重い!
「俺の一撃を受け止めるか。しかも武器も折れねぇ。いい素材をつかってやがる。だが無駄だ」
空いた手で僕の腕をつかむと空に放り投げた。
びっくりしたけど空を飛べる僕には効かない攻撃だ。
男はそのままティアと商人っぽい人に向かって歩き出す。
チャンスはここしかない!
「フライ!」
僕は空中で体制を立て直すとそのまま男に向かって突っ込む!
「流星脚!」
さすがにこれはとめられない!
そんな不意打ち気味の一撃なのに男はこちらに気づいてるようにこちらに向き直る。
「流水」
一言話すと刀のついてないほうに僕の足を乗せる。威力をそのまま遠心力に使われて回転、僕は吹き飛ばされて岩に叩きつけられた。
「がはっ!」
息ができない!そんな!マインに吹き飛ばされた時だってこんなダメージなかったのに!
だめだ!意識が遠くなる・・・
くそっ、このままじゃティアが!
薄れ行く意識の中で、僕は一縷の望みをかけて一つの能力を使った。
「さてお嬢さん、そこをどいてくれねぇか?」
「・・・どきません」
私は男から商人を庇うように立ちふさがる。
でも怖くて動けないだけかもしれない。
この人、すごく怖い。この威圧感もそうだけど、底が知れない。
それに吹き飛ばされたユウナが心配だ。
本当なら私を守るために吹き飛ばされたユウナに駆け寄りたい。
でもここを離れたらきっとこの人後ろの商人さんを殺す。
私自身、人を殺すことが悪いことだとは思っていない。
非情だって思われるかもしれないけど、裁かれるべき罪は裁かれるべきだと思うし、自分に悪意を持つものを放置してると、いつかその悪意で身を滅ぼすことになるから。
だけど目の前で善良そうな人が殺されそうになるのを黙ってみてるわけには行かない。
私は神様に力をもらった。好きな人の足手まといにならない力を。人を守れる力を。
私はこの力で好きな人を守りたい。好きな人みたいに守れる存在になりたい。
だからどけない。どきたくない。
「仕方がない。お嬢さんにも少し痛い目を見てもらうか」
また威圧感があがった。そして見た目がちょっと変わった反りのある剣を振りかぶる。
「水の結界!」
私は結界を張りつつ武器をうけられるようにステッキを構える。
ぱしゃん
結界はあっさりと破られ、威力をそがれることもなく振り下ろされた剣で私は吹き飛ばされた。
「きゃぁあああ!」
数回地面を転がって止まった。
痛い。痛くて立ち上がれない。
でもたたなきゃ。あの人が殺されちゃう!
「リジェネイト!」
体の痛みが引いていく。最上位の回復魔法はMPの消費が多いけど全力じゃないと危険だ!
「ひぃぃぃぃぃい!!」
商人さんが私のところまで下がってきて再び私の後ろに隠れる。
「どこまで下種だテメェ!」
男の一括で再び威圧感が上がる。さらなる恐怖が私を襲う。
だめだ、立てない。怖くて震えて足が言うことを聞かない!
後ろの男も腰を抜かしてうごけなくなったようだ。
「お嬢さん、あんたにこれ以上危害は加えねぇ。じっとしててくれ」
男が近づいてくる。私は気迫だけでキッと男を睨む。
・・・やっぱり私じゃユウナみたいにはなれないみたい。人一人助けることもできないんだから。
「そのへんにしておきなさい。その子怯えちゃってるじゃない。他にやり方はあったでしょうに」
突然声がした。これはユウナの声だ。でもユウナがこんなしゃべり方をするのを見たことがない。
男はゆっくりと声をしたほうを見る。
「おめぇさん、さっきの子じゃねぇな。いったいなにもんだ?」
「へぇ。わかるの?あなた相当修羅場くぐってきたんじゃない?」
「・・・」
男が構えた。私たち相手には構えすら見せなかったのに。
「さて、手加減は期待しないでね。人の体を借りてる上に、久々だから威力の調節はできないから!」
ユウナ?は嬉しそうにステッキをくるくる回す。そして男をさすようにして止めてポーズを切った。
「夢と希望の流星の魔法少女!ミラクル☆キナ!あなたの願い、叶えます!」




