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異世界でなった魔法使いが想像と違う!  作者: 桜華
第一章:異世界でなった魔法使いの波乱万丈
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祝勝会。

今回は話をまとめるのにちょっと時間がかかりました(;^^)

待ってた方ごめんなさい、おまたせしました。

 ベルちゃんに案内された扉の前にはティアさんが待っていた。黒を基調としたカクテルドレスはとても似合ってる。つい目が胸元にいってしまい、あわてて目を逸らした。


「お待ちしていました。町は楽しめましたか?」

「はい。楽しくすごさせていただきました。おかげでちょっと買いすぎたかもしれません。」

「それは何よりです。私も嬉しく思います。買いすぎもたまにならいい思い出になりますよ。」

「あはは。ティアさんにはかないませんね。」

「では参りましょう。」


そういって扉を開けて入っていく。僕もそれに続いた。


 祝勝会は僕の音頭で乾杯をして始まった。うん。この世界にも乾杯はあったよ。

ちなみに音頭の話は聞いてなかったのでティアさんに少し泣きそうな声で抗議をしたけど、華麗にスルーされた。

祝勝会中は、ぼろを出さないようにと、言質をとられないように気をつけて会話をした。僕こういうところで何かしゃべりそうで怖い。これに加えて勧誘なんかも多くて断るのに苦労した。なんで僕の祝勝会なのに気苦労が多いんだろう。


一通りの挨拶が終わって休憩してると、ティアさんが今回の事情について話てくれた。本来は簡素にする予定だった祝勝会は、思った以上に立場のある人たちからの希望が殺到。あまりの勢いに断りきれなかった。ある程度地位のあるものも多いのであまり簡素にもできなくなってしまい、今回のようになったそうだ。そのことについてティアさんに謝られた。そんな事情があれば彼女を責めることもできない。彼女は好意でしてくれたことだから責める気ぜんぜんないけど。


「お礼を言われることは嬉しく思いますよ。」


ティアさんが罪悪感をおぼえないようにそう答えた。まぁこれは本当の気持ち。お礼を言われることはね。

彼女はまだ思うところがあるみたいだけど、これで少しでも気持ちが楽になってくれたらって思う。


そんな恐縮ティアさんと話ているとシルヴェルトの兵の総大将のエルハルトさんに部隊全員の代表として改めてお礼を言われた。

この人もすごく礼儀正しい。ティアさんの周りはそういうところがしっかりしている人が多い。人徳かなぁ。教育かなぁ。


「今後何かあればわれわれは全力で協力させていただきます。」


なんておおげさすぎる言葉ももらった。そこでぼくはさっそくワイバーンの肉を配るのを手伝ってもらうことにした。ティアさんに広くて大きな場所を貸して欲しいっていったら庭を勧められた。




そして僕たちは今、庭にいる。


「それで、ここでなにをされるんですか?」


ティアさんの質問もごもっとも。

ちなみに今ここにいるのは僕、ティアさん、エルハルトさんの三人。


「実はワイバーンの肉を振舞おうと思いまして。」

「まぁ。それはすばらしいですね。」

「僕もみんなに何か提供できないかなぁと考えて決めました。尻尾を丸ごと提供しようかと思います。そこで、尻尾の先端の高級部位は僕たちでいただき、残った部分は市民に提供したいと考えています。」

「そこでわれわれの出番というわけですね。」

「はい。エルハルトさんがこの町のシルヴェルト兵の総隊長でしたら、自警団の方にも話が通せますよね。今回働いてくれてる人たちを優先で、配布と管理をお願いしたいのです。」

「わかりました。責任を持って配布と管理をさせていただきます。」


話がまとまったので早速尻尾だけ想像した空間からだす。うーん。やっぱり大きい。しっぽだけでもこの広い庭のかなりの部分を占めている。


「エルハルトさん、少し武器を借りていいですか?」


そう言って剣を借りた。受け取ったとたん、武器が変化する。柄の部分が羽のかわいいモチーフの剣になった。やっぱり。変身中の僕が物をもつと、今の性質にあったものに変化するみたいだ。

「・・・元にもどるんでしょうね?」っていう言葉を聴きながら僕は尻尾を切り落とした。

こうでもしないと切れないんだもん。

皮はひっぱって剥がす事ができた。次に高級部位の切り取りは説明書に聞きながら捌いた。もちろんドレスを汚すようなことはしない。

ちなみに剣は返したらちゃんと元に戻った。エルハルトさんもほっと安心していた。性能よくなるのに。

あとは一口サイズにきりわけたいんだけどどうしようかなぁ。


「ここまでできればあとはうちの料理人にまかせても大丈夫でしょう。」


おぉ。じゃあもうお願いしちゃおう。


「じゃあお願いします。それでですね。味付けは食べるときに塩かこれをつけて食べてもらいたいんですが。」


そういって僕は新しく空間創造で作った「調味料」のボックスから焼肉のたれを取り出した。


「これは?」

「僕が作った調味料です」


ってことにしておく。


「わかりました。エルハルト、あとの手配はお願いできますか?」

「畏まりました。では高級部位は調理室へ、残りはこちらで調理して配布と管理をさせていただきます。」


こうして準備は整った。会場に戻って数十分。使用人たちが料理を運んできた。

さっきまで運ばれてきた料理と雰囲気が違うので少し場がざわつく。


「みなさま、ユウナさまがみなさまに今回の勝利をより実感していただきたいということで、ワイバーンの肉を提供してくださいました。量に限りがありますがここにいる全員にはいきわたらせることができます。ユウナ様に感謝してわれわれも恩恵に与りましょう。」


ティアさんがうまくまとめてくれた。僕にはあんなにきれいにまとめられない。まかせてよかった。


「これは・・・見事ですね。」

「私もワイバーンは食したことがございますが、これはその上を行きます。」

「このソースも絶妙。初めて食べたが、かすかな甘みが肉のうまさをひきたてる。」

「今までにない調味料だな。売ってないのか?」

「このソースはユウナ様の提供らしいですよ。」

「少量しか食べられないのが辛い。」


どうやら好評のようだ。もちろん僕も食べてみる。

お、おいしい!コリコリとした食感だけど、肉を噛み切るたびにうまみが出てくる。前の世界で食べたどの味とも似てないから表現できない!

うん。ワイバーンの肉は売らない。この先も使い道がありそうだし、僕ももっと食べたい。僕が倒したんだし別にいいよね。




「ふぅ。気持ちいい。フロはいいねぇ。フロはリ○ンの生み出した文明の極みだよ。君もそう思わないかい?」


そんな独り言をいいながら僕は今お風呂に入っていた。

ワイバーンの肉を振舞った後、ユウナさんが「あのような偉業の後なのできっとお疲れのはず」といって祝勝会を途中で抜けさせてくれた。主役はいなくてもワイバーン退治の時の話や、さっきの肉のおいしさ、謎の調味料など話題はつきないであろうということで、パーティ自体はまだまだ続きそうということだ。


ちなみにお風呂に入る前、脱衣所にあった姿見で初めて自分の変身したあとの全身を見た。あまりうつりのいい鏡じゃなかったけどね。かお小っさ!それに黒い髪のロングストレート、少し大きめの瞳、胸は大きすぎず小さすぎず、でも細身の体。自己評価だけどかなりの美少女だった。

ちなみにステッキは今ブレスレット状にしてある。ブレスレットには例のダイヤモンドがついていて、これを肌身離さずもっていれば変身は解けない。


そんな感想をもって鏡をみてたら、なんだか恥ずかしくなってあわててお風呂に入ろうとして今度は体を洗うときにどぎまぎした。自分の体なのに。

しかし本当に気持ちいい。疲れがお湯の中に溶けていくようだ。お風呂があって本当によかった。中世ヨーロッパではお風呂って言う概念がなかったって聞くからもしなかったらなんて少し不安になってたんだよね。

そしてこれは油断じゃなかったと思う。予想外だ。


「失礼します。」


え?誰か入ってきた。この声は・・・


「ティアさん!?」

「はい。お背中をお流ししようかと思いまして。」


不意打ちだったせいでしっかり見てしまった。ティアさん着やせするタイプなんだね・・・


「だだだ大丈夫です!もう洗いましたから!」

「あらそれは残念です。でもせっかくですから少し一緒に浸かりましょう。」


そう言って体を洗ってから僕の近くで湯船に浸かった。

うれしいんだけど色々困る。特に目のやり場。

なにか話をしたけどそれどころじゃない僕は何を話したか憶えてなかった。

しゃべっちゃいけないことはしゃべってないと思う。・・・たぶん・・・


その後、湯に当てられた(?)僕は着替えも移動も上の空で、ベルちゃんに部屋に案内してもらいそのままベッドに倒れこんだ。きっと疲れてたんだよね。この一日で本当に色々あったし。


こうしてあまりにも濃い一日はようやく終わりを迎えられた。

あえて言おう。



「なんて日だ!!」




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