報酬。
更新がおくれてすいません(;^^
それと評価くださったかた、ありがとうございます♪嬉しくてはしゃいでます。
今回ちょっとだけ長めです。嬉しかった影響かな?
4/26、読みやすくするため、行間をあける訂正をしました。
「じゃあギルドカードの確認をさせてくれ。」
僕は今、町の東よりにある冒険者ギルドにきていた。
ギルドマスターと鋼の牙が一緒にいたのは、彼らが僕と面識があったからだそうだ。
ここにつくまでは、まるでパレードだった。しかも僕が主役だし。恥ずかしさで死ぬかと思ったよ。
そしてここでも問題が一つ。僕は男のときのギルドカードしか持ってないんだ。
僕はさっき考えたいいわけをする。
「すいません。実は僕、臨時パーティに入ってましてその時に受けた依頼なんです。依頼はそれが初めてで、僕自身は実はまだギルドカードを作ってないんです。」
「なんだそうだったのか。じゃあ新しく発行してやるよ。」
よし。うまく騙せた。心でガッツポーズをする。
「じゃあ登録料は報酬から引いておくぜ。名前はなんだった?」
「ユウナです。えっと、ササキ ユウナ。」
苗字はめったに聞かれないから偽名じゃなくてもたぶん平気でしょ。
「おう。ちょっとまってろ。」
そう言うと奥にいた職員に話しかけていた。
「二階が応接室だ。ああ、鋼の牙はもういい。ご苦労だった。」
そう言って二階に上がっていくギルドマスターについていく。
鋼の牙は受付に向かっていた。依頼としてついてきてたんだ。
二階にあがった僕は案内された部屋入り、高級そうなソファに腰を下ろした。
「んじゃ改めて。俺はクレイ・マンジュ。このラフィンドの町のギルドのマスターをやっている。マスターといっても支部のマスターだ。かしこまる必要はねぇからな。」
見た目は怖いけど割りとフランクな感じは好感がもてる。
「冒険者時代はこれでもA級だったんだぜ。」
大丈夫。見た目どおりだから。でも口にはしない。大人だから。
「しかしよくやってくれた。やつの被害は尋常じゃなくてな。しかもどこに現れるかわからんから準備のしようもない。討伐依頼を出しても受けるやつがいなくてな。」
ふと疑問に思ったことを口にする。
「でも依頼をちゃんと受けてない僕が報酬をもらっちゃってもよかったんですか?」
「それについてなんだがな。このの依頼、最初から受けていたことにして欲しい。」
「それって違反なんじゃ・・・」
「誰も知らなきゃ問題ねぇよ。ギルドは名声を得る。各国に対する抑止力もあがる。特に俺はそんな無理難題な討伐依頼を成功させた支部のマスターとして上の覚えもいい。そしておめぇさんは報酬をもらえる。どっちも得だろ?」
「確かにそうですけど・・・」
いいんだろうか?なんだか悪い道にひっぱられてるような・・・
「この件に関しちゃだれも傷つかねぇ。それをそれでもルールとして破れないと言うなら今回の話はなしだ。俺も無理強いはしねぇ。だがよ、清濁併せ呑むことも時には大事だぜ?」
確かに。そんなに悪い話じゃないし。
「わかりました。じゃあ依頼をうけていたことにしましょう。」
「おう。おめぇが頭の柔らかいヤツで助かったぜ。」
話も一息ついたタイミングで扉がノックされた。
お城のときもそうだったけどタイミングよすぎない?聞き耳立ててたりしないよね?
「おう。はいれ。」
「失礼します。」
「こちらがギルドカード、こちらが報酬でございます。」
そう言うと彼女はカードと袋をおいて退出していった。
机の上に置かれたカードは金色だった。そしてAの文字。
「え?いきなりランクAからですか!?」
「おう。かなりの特例だ。口裏あわせもあるがおめぇさんの実力なら問題ねぇよ。あぁそれとユウナさん、あんたをSランクに推薦するからな。かなり高い確率で受理されると思っといてくれ。」
寝耳に水だ。
「は!?ええええSランク!?ってあれですよね?ミスリルクラスの?僕が?でもあれってたしか条件が厳しいって聞きましたよ!?」
「条件な。あんた全部クリアしてるんだよ。一つ目は資金。白銀金金貨並みの貨幣10枚以上所持。二つ目はドラゴンの退治、もしくは大災害の阻止。これは黒い暴風がその対象になる。そして三つ目は品行方正で人々に称えられること。まぁギルド本部から確認するやつが派遣されて、その報告の後に偉いさんが確認。そこで認められると晴れてSランクだ。」
「え?黒い暴風ってあのワイバーンが?対象になるんですか?それに僕白銀金金貨なんてもってませんよ?」
「みんな言ってるだろ?あれは厄介だとか災害だとか。ヤツの強さもあったしな。たぶん通るだろ。あと白銀金金貨は今回の報酬と懸賞金で超える。」
「でも」
「そう卑屈になるな。謙遜は美徳だが、結果以上の過度の否定は嫌味になるぜ。」
「・・・はい。」
「で、報酬のほうが白銀金金貨10枚。ギルドカードの作成に金貨1枚もらったから白銀金金貨9枚と金貨99枚だ。確認してくれ。」
カードを受け取ったあと、袋を持ってみる。
・・・重い。当然か。袋を開いてみた。うわぁ。金貨がいっぱい。ちょっとどきどきしながら確認のために数える。うん。大丈夫だ。僕はそれを空間創造で作った新しい空間、お財布空間に大切にしまった。
「あとは懸賞金だな。こいつは各国が負担しててな。クラレイト、ジオーネ、カーネリアのどれかの王都で受けとれる。いちおう冒険者ギルドも証明するが、証拠となるものがあるのが望ましい。もし素材を売るならどこかの部位はとっておくといいぞ。」
「なるほど。いろいろありがとうございます。」
「おう。他に何か質問あるか?」
「いいえ。特には。」
最悪説明書があるし。
「んじゃ祝勝会を楽しんでこい。せっかく金も手に入ったんだ。ぱーっとつかってまた稼ぎに来い。」
「あはは。じゃあ失礼します。」
最後は曖昧に笑ってごまかして部屋を後にした。だってこの金額使い切るとかどんな浪費家だよって思うし。
僕が階段を下りていくと、僕は冒険者から注目された。というか一斉に群がってくる。
「魔法少女様、うちのパーティにはいりませんか!?」
「おい、抜け駆けすんな!あ、ぜひうちのパーティーに。」
「こらこら、お譲ちゃんがこまってるだろう?うちなんてどうだい?メンバーはみんな女だから気楽だよ。」
「う、うちだったら名前もそこそこ売れてるし、悪い思いはさせないよ?聞いたことない?「疾風の刃」」
え?ちょっと?なにごと!?
「まてまてまてーい。」
その声にそこにいたほぼ全員が反応する。
「お前らちょっと落ち着け。ユウナちゃんがこまってるだろ!」
「ちっ。鋼の牙か。」
「別にパーティへの勧誘は問題ないだろ!」
「へぇ。ユウナちゃんって言うのか。」
た、助かった。ありがとう鋼の牙。みんなが聖人にみえるよ。若干ずれた声も聞こえるけどとりあえず今は放置で。
「相手を困らせるようなことをするなって言ってるんだよ。みろよ彼女。半泣きだぞ?」
「あぅ。」
図星でちょっと変な声が出た。確かに泣きそうになってる。
みんなちょっとばつの悪そうな顔になった。
「すまん、悪いことをした。」
「ちょっと無神経すぎたわね。ごめんなさい。」
「すす、すいません。」
「いや、あんなに強い彼女がこんなことで泣きそうになるなんて思わなくて・・・」
「泣きそうなユウナちゃんかわいい」
「あ、いえ、わかってもらえるならいいですよ。」
若干おかしな声があったが放置で。聞こえなかったということで。
しかしこれだけいるとあきらめの悪いやつもいた。
「でもよ、こんなチャンスめったにないんだぜ?優秀なパーティーメンバーはどこだって欲しいんだ!」
「まぁ、気持ちはわからないこともないけどな。俺たちも誘いたかったしな。だけど相手の気持ちや礼儀ってもんがあるだろ。それにそんなにがっついてるところに彼女が喜んで入ると思うか?」
鋼の牙って見た目怖いけど本当、中身いい人たちだよな。人間ができてるって言うか。
「じゃあどうしたらいいんだよ!?」
悪あがきしてたパーティーが騒ぐ。えーっと・・・
「ごめんなさい。僕、もうパーティーに加入してるんです。「ツバサ」っていうんですけど・・・」
とどめをさした。もちろんパーティー名は今考えた。だって勧誘されてもこまるもん。パーティーに入ってることになってるし。秘密も多いし。
「だ、そうだ。」
「じゃ、じゃあそのパーティーを抜けて」「おい!それ以上はマナー違反だ!ここにいる全員を敵に回したいか!?」
「くっ・・・」
最後の台詞は鋼の牙のリーダー、バゼットさんに止められた。悪あがきパーティーはすごすごと冒険者ギルドを出て行った。バゼットさんかっこいい!
他の人たちも「そっか。悪かったね。」とか「まぁ、気が向いたら声をかけてよ。」とか「いつでも歓迎だから。」とか言って離れていった。若干「ユウナちゃんかわいかった」っていう声が聞こえたけど放置で。
「バゼットさん、ありがとうございました。おかげで助かりました」
「いや、俺たちが受けた恩を考えたらこれくらいは、な。」
そういって苦笑い。この人もてるんじゃないだろうか。
ひと騒動あったけど、僕は冒険者ギルドを後にした。
・・・勧誘、まぢで怖かった・・・




