始まりは誕生日
初投稿です。未熟者ですが、楽しく続けられたらいいなと思っています。
よろしくお願いします。
4/26、読みやすいように行間をあける訂正をしました。
5/25、カギカッコの最後の句読点を消しました。
僕の名前は佐々木 悠喜。昭和61年4月18日生まれの今日で30歳になる。
・・・うん。思考は正常だと思う。じゃあなぜこんな確認をしたのか。それは今僕が何もない真っ白な空間にいて、目の前の人が自称「神様」と名乗ったから。だからついこんな聞き返しをしてもおかしくはないって思う。
「・・・は?」
「まぁいきなりこんなこと言われても半信半疑だよね。でも、見知らぬ人がいきなり「オッス。オラ神様(笑)」とかいわれても信じないでしょ?」
軽いな神様!
っていうか今まさにそんな状況なんだけど・・・
でももし道や駅でそんなことを言われたら。
「どこかの病院を紹介しますね。きっと」
「だよね~。だからここにきてもらったんだけど、信じてもらえた?」
「まぁ・・・一応・・・」
とは口にしたものの、見た目が子供なせいかとても胡散臭い。でも奥行きの見えない空間とか非現実的な分、その可能性が高いと考えて、僕の中で「神様(仮)」ってした。
「で、僕がここに連れてこられた理由は何ですか?それとここに来る前の記憶が曖昧なんですが・・・」
「クロロホルムでこう・・・」
「ちょ!は?え?」
「なんってうっそ~(笑)」
軽くイラッとする。
「どうやってここに連れてきたかは企業秘密だね。ちょっと教えられないんだ。ごめんね。もうひとつ、ここに連れてきた理由っていうのは君に異世界にいってもらうからだよ」
「・・・は?」
本日2つめの「・・・は?」ってなった。
「最近僕たち神の間で、僕たちの管理する違う世界、君たちの言う異世界への転移、もしくは転生っていうのが流行っててね。僕も参加することにしたんだ。いろいろ考えたんだけど、適正でいっても、面白さでいっても君が適任なんだよ」
全力で迷惑な話だ。ちょっと涙がでてきた。
「嫌です!絶対に嫌です!だいたい面白さってなんなんですか!?」
「ぇぇ~?でももう君のいた世界のみんなの君の記憶けしちゃったんだよ。それに君、あの世界にあまり未練ってないでしょ?その辺も考えて適正なんだけどね」
確かに友達も少ないし、未練らしい未練って言われるとぱっと浮かばない。あれ?心の涙がとまらない。
とりあえず異世界行きはもうどうにもならなさそうなので、先のことを考えよう。
「あと面白さっていうのは、君には魔法使いの素質があるんだよ。それもこれからいく異世界の魔法とは別のね」
魔法使いの才能かぁ。そこにはちょっとわくわくした。
「よかったね!童貞で!」
神様めっちゃいい笑顔だよ!
「それが適正とかいうんですか!?」
僕のわくわくを返せ!
「あはは。半分は冗談だよ」
「半分は本気なんですね・・・」
「そう。残りの半分は君の親からの遺伝だね。君のお母さんは天才的な魔法使いだったんだよ。君はその才能を受け継いでいるんだ」
そうだったんだ。ちょっと安心した。さすがにその適正で魔法使いとかは嫌過ぎる。
「実はちょっとだけ君には悪いって感じてるんだ。だからいくつか特典も用意させてもらってる。そのうちのひとつがこの才能の開花、つまり魔法使いとしての覚醒だね。余談だけど、童貞で30歳を超えるっていう条件は能力の大幅な上昇になってるから期待していいよ」
「知りたくありませんでした・・・」
「あはは。じゃあこの宝石を渡しておくよ。これをもったら魔法の使い方もわかるからね」
そういって手渡されたのは親指大のダイヤモンドだった。宝石が豪華な分、適正のことを考えるとちょっと微妙な気分になる。そんなことを感じていると、ダイヤモンドから思考やよくわからない何かが流れ込んできた。これが魔力的な何かで、思考のほうは魔法の使い方だね。理解できた。
「無事に覚醒できたようだね。じゃあ次。特典その2。若返りと若さの長期化。老いてきたら気をつけてね」
これは素直に嬉しかった。
「はい。気をつけます」
「おっ。喜んでもらえたようだね。じゃあ続いて特典その3。取扱説明書付属。君をここに連れてくる間に君の頭の中に作っておいたよ。あぁ大丈夫、危険はないから。使い方は簡単。見たもの聞いたものに対して頭の中で説明書起動って念じれば答えをくれるから。あ、あと言語や文字の翻訳もこの説明書にデフォルトでついてるから安心してね」
あ、そっか。異世界だから言葉や文字も違うんだ。これはちゃんと対応してくれた神様に感謝。
「ありがとうございます」
「うんうん。やっとお礼を言ってもらえたね。特典は以上。じゃあ次にこれからいく世界について軽く説明するね。これから行く世界は君のいた世界で言うファンタジーの世界だ。この世界では科学は発展せずに、魔法が発達してる。王や貴族の治める人間の国々があり、勇者や魔王、ドラゴンも存在する。町の外ではモンスターが闊歩する治安が悪い場所だから気をつけてね」
一気に不安になったよ・・・
「その、大丈夫・・・ですよね?」
「君次第だよ。まぁ君の魔法使いの能力を考えればよっぽど大丈夫だとは思おうけどね。まぁ時折覗いてるから楽しく人生を謳歌してよ」
「わ、わかりました」
絶対に生きてやるんだ!
「話が長くなったね。最後に向こうの世界への道を作るよ。この道を進んでいけば大丈夫。よっぽど危険なところにはでないはずだから」
そう言って指を鉄砲の形にして「ばぁん」と言うと指の方向に赤いじゅうたんの道ができる。その先には光が見える。
「グッドラック」
「はい。じゃあ行ってきます・・・っていうのもおかしいですよね。失礼します」
そう言って僕は赤いじゅうたんの上を光に向かって歩き出す。
僕はまだ知らない。この先にある悲劇を・・・