番外その一 幻想郷一番!
この話は番外編になります。
単体で読めなくはないですが、『8.0 宴会とオムライス』まで読むことを推奨します。
本編より緩い気持ちで読んでいただけたらと思います。
「今宵始まるは食の祭典……」
シャンデリアが照らすのは紅魔館の巨大エントランスホール。反響する靴音が妙に耳に残る。
「自らの威信を賭けた三つ巴の戦い」
小さな靴が階段を一段、また一段と降りていく音を鳴らす。それを奏でているのは……吸血鬼の羽を持つ幼い少女だ。彼女は階段を降りきるとそのままゆっくりとした歩調でホールの中心へと進んでいく。
「選ばれし三名よ、存分に手腕を振るうがいい」
そしておもむろにホール中央の台に置かれた食材の山からパプリカを一つ掴むと……
「そして幻想郷一の料理人だと証明するのだ」
天高く掲げてから……勢いよく齧り付いた。
「……うげぇ、まっずぅ。ちょっとパチェ! ちゃんと甘くしときなさいって言ったじゃない!」
「食材いじったら料理に影響出るじゃない……そもそも何故齧る必要があったのかしら?」
「いや、なんか形式美だと思って」
ああ、そうか……あの番組も幻想入りしたのか……あの時小学生ぐらいだったもんなぁ……
俺は半ば現実逃避目的で感傷に浸っていると、一際大きな声がホールに響き渡った。
「さあ、始まりました! 紅魔館プレゼンツ、ボーダー商事提供、第一回幻想郷料理チャンピオン決定戦! 司会はわたくし、小悪魔が担当させていただきます!」
え、小悪魔さん? どこ?
辺りを見回すが声はすれど姿は見えない。わざわざ隠れているのか……何の意味があるのだろう? まあ、ツッコミどこが多すぎるので基本的に追及はしないけど。もうどうにでもなれ、だ。
「まずは審査員のご紹介から参りましょー! 最初は勿論この方、我らが紅魔館の主、レミリアお嬢様! 本大会の主催者ですー!」
「けほ、けほ……まだ口の中が苦い……咲夜ー!お茶ー!苦くないやつー!」
ここ最近威厳がない方がデフォルトになってきてるレミリアさんは、バタバタと手を振りながらマイペースに喚いている。しかし、やっぱパプリカを生で齧り付くのはハードル高いよなぁ……
「お次は今回の食材及び厨房を提供していただいた、ボーダー商事社長、八雲紫様!」
「藍、八雲の式に恥じぬ戦いをしなさい……あ、出来るまで寝てるから出来上がったら起こして頂戴」
おい紹介から数秒経たないうちに早速審査員ひとりどっか行ったぞ!? ああ、藍さん頭抱えてる。あんな風に好き勝手やられて面倒事を押し付けられるんだろう。見た目通り苦労人だなぁ……
「そして今大会の発端になったお二人、フランお嬢様と八雲藍の式、橙!」
「咲夜ー! ホクトー! どっちも頑張れー!」
「藍様ー! 頑張って下さいー!」
フランちゃんと橙ちゃんはバタバタと手を振って応援してくれている。余談だが、あの二人大会の準備ですっかり仲良くなったらしい。子供は友達を作る達人だと思い知らされる心温まるエピソードだが、この大会の目的がほぼなくなったことには触れない方がいいか。
「後はパチュリー様と、暇だから来た霊夢と魔理沙の計7名でーす」
「おい、私達の説明適当すぎやしないか!? なあ、パチュリー! お前主人だろ、何か言ってやれ!」
「どうでもいい」
「お腹空いてるんだから無駄に尺を使わないでよ魔理沙」
「ま、また私だけ責められるのかよ……」
霊夢とパチュリーさんの魔理沙への反応も酷いが、俺はそれよりも当然の様に仲間外れにされている美鈴さんが不憫で仕方がなくて……! 一人分多く盛って後で持っていくことにしよう。などと思っていると内に司会はガンガン紹介を進めていく。
「そしてお待たせしました今回の主役である参加者三名をご紹介します! まず一人目は……紅魔館の台所を一人で切り盛りするメイド長、十六夜咲夜!」
「家事のプロとしてアマチュアに負けるわけにはいきませんわ」
随分真面目な顔でいっているけど、ノリノリだなぁ……咲夜さん。決めポーズまでとってるあたり一番モチベーションが高そうだ。その鋼のようなメンタルが羨ましい。
「続いてご紹介するのは……結界管理から家事全般何でもこなすスーパー天狐、八雲の式、八雲藍!」
「酔った勢いでやると言ってしまっただけなのに、本当にやることになるとは……しかも、大掛かりで止めるに止められない」
対して藍さんはモチベーションの低下が著しい。それもこれもレミリアさんと紫さんを焚きつけた自分を恨んでください。もしくはこの企画の言い出しっぺをな。
「そして最後になりました、今大会の発案者! 外の世界から迷い込んだのは偶然か必然か、その料理で幻想郷に影響を与え続ける居候、輝星北斗!」
「どうもー! 諸悪の根源でーす!」
開口一番に自虐ネタを忍ばせてみたが、なんかみんな気まずそうに暗い顔をしていた。あ、あれ? 笑うところだよここ!?
「……えっと、会場ではなんとも言い難い空気が漂っていますが、気を取り直してルール説明参りましょー!」
結局俺へのフォローはまったくないようだ。悲しい。完全無視の状態で、小悪魔さんが説明を始める。
「ルールは簡単! 何か一品作ってもらって審査員に一番美味しかったものを選んでもらいます! そして選ばれた審査員が一番多かった人の優勝です!」
随分大雑把なルールだなぁ。しかも、そもそも料理のお題もない時点で比べようがないと思うんだが……企画の時点でのやる気のなさが伝わってくるようだ。司会もそれは分かっていそうなものなんだが、それでも小悪魔さんは強引に喋り続けていた。
「能力の使用も調理に関してならオッケー! 前準備の制限も時間制も特にないですが、早くしないと審査員が帰ってしまうかもしれないです」
確かに既に審査員一人脱落しているし、早く作らなければ……残った料理を一人で処理しなければいけなくなる! まぁ……その時は美鈴さんに頼もう。
「というわけで審査員の皆様が早く始めろという顔で急かしてきてますので、早速始めましょー! それじゃあ、開戦!」
小悪魔さんの号令でヌルッと料理対決が始まった。ドラは用意できなかったようだ。代わりにホール内に小悪魔さんの実況が木霊する。司会じゃなかったのかよ。
「さあまずは各参加者一斉に食材を取りに……行かない! 誰も取りに行きゃしねぇ! おい、これはどういうことだ~!?」
「どういうことと言われても、手間のかかる下処理は全て事前に済ましてるから他の食材は使わないぞ」
「えっ?」
藍さんが当然と言わんがばかりの言葉に、小悪魔さんが惚けた声を上げる。それに咲夜さんも便乗して手を挙げた。
「私なら1フレームで料理を作ることも出来るのに、愚問じゃない」
「そ、そうですけど……」
咲夜さんの追撃の一言で小悪魔さんがしどろもどろになる。ああ、可哀想に……
「ほ、北斗さん!何か、何か一つでもいいんで食材を!」
「あ、ごめん。あとごはん炊くだけだから何も使わないかな」
「………………」
姿は見えないが、小悪魔さんが絶句している様子が目に浮かぶようだ。許せ、これも全て適当にルールを決めた紫さんとレミリアさんのせいだ。
……それにしても、さすが勝負に乗ってくるだけあって咲夜さんと藍さんの手際は惚れ惚れするほど華麗だった。咲夜さんはさすが家事のプロと自称するだけはあり、包丁捌き一つ取ってもさながらショーのような華やかさがある。
対して藍さんは完全に計算尽くされた調理工程で、一切の無駄がない。なおかつ精密機械のように洗練された動きは職人の域だ。流石幻想郷の住人だ……この二人と比べられるなんて拷問じゃないかなこれ。
「……あの、北斗さん。本当に何も調理しないんですか?」
絶望感に浸っていると、天の声こと小悪魔さんが恐る恐る聞いてくる。確かにこれ、テレビ番組だと放送事故状態だよな。俺もキャベツの千切りとかすればよかったかな……?
「あー、うん。そうだね。最初から作ってもよかったんだけど、数日寝かしておくと味が変わってくるから事前に作らせてもらったよ」
「な、なるほど……私にはどんな料理か皆目見当がつきませんが、同居人の霊夢さんなら何か知って……って、霊夢さん!?」
天の声さんが悲鳴を上げる。何事かと審査員席を見ると、霊夢が俺の名前の書かれた札を掲げていた。
「ちょ、おま……それ出すの早いです! それ審査後に使うやつです!」
「しかも、既に北斗を出しているあたり……霊夢、完璧に胃袋を捕まれたな。この時間の内に結婚式の準備でもしたほうがいいんじゃねぇの?」
「黙りなさい魔理沙……貴女にはわからないのよ。あの料理の偉大さが! さんざんつまみ食いを禁止されてもう我慢の限界なのよ! アレを食べれるなら何を言われようと構わない! 魔理沙は後でシメるけど!」
霊夢が至極真剣な表情で力説する。ああ、この三日は料理との戦いというより盗み食いしようとする霊夢との戦いの方だったもんなぁ。しかし、死守したおかげで一票確定だ。紛れもなく身内票だがな!
「……お、おーっと、まさかの事態です! 霊夢さんの持つ一票が北斗さんに入ったー! 北斗さん一歩リード!」
天の声さんがヤケクソ気味に叫ぶ。もはやプロ意識を感じるほどの勢いだ。藍さんも、咲夜さんもあからさまに悔しそうな視線を向けてくる。
「くっ……しかし、私の狙いはあくまで橙と紫様! 一票を確保された程度で覆らない!」
「ええそうね……お嬢様、妹様、パチュリー様の三票で勝ちを狙っている私にとって、何ら問題はないわ」
全員身内票狙いって、もう審査が破綻してるんじゃ……てか、咲夜さんセコくね!?
大会としての破綻が露呈したが……なあなあのうちに大会は進行していき、料理も完成、残すところ審査のみとなった。
「さあ、各料理人の品が出来上がりました! こういう大会では調理過程を見るのが重要な気がしますが、この人たちはその点何もわかってないんであっという間の完成です。特に北斗さん、覚えててくださいね」
なんか名指しで天の声さんに根に持たれてしまった。ルールの範囲内のことをしただけなんだが。そんな天の声さんを他所に審査員はガヤガヤと楽しそうに食事準備を始める。
……今気づいたがこれ、大会と格好つけて旨いもの食べたかっただけなんじゃないだろうか? まぁ、さらし者にされるのは癪といえばそうだが、みんな……特にフランちゃんと橙ちゃんが楽しそうだからいいんだけどね。
「それではまず最初は……咲夜さんの料理からです!」
「鮭とあさりのカルトッチョです」
「か、かるとっちょ? なんじゃそりゃ?」
魔理沙が訝しげに首を傾げる。オシャレな料理に疎いため俺も聞いたことがなかった。カルパッチョの親戚だろうか?
「肉や魚、野菜を紙で包んで蒸し焼きにした料理ね」
パチュリーさんが律儀に解説してくれる。片手には『世界の料理辞典』という本を持っていた。教えてくれるのは嬉しいですけど食事中ぐらいは本を閉じましょうよ……
「北斗もよかったらどうぞ」
咲夜さんに勧められて、俺もフォークを取る。クッキングシートのようなものに鮭とあさり、プリカやマッシュルームなどの野菜が並べられていた。
実際に食べてみると、素材の味を十二分に生かしているのがわかる。僅かに掛けられたオリーブオイルのお陰だろうか、野菜と魚の味が良くなじんでいる。見た目も色鮮やかで、味にも一体感がある。料理全体がハイレベルに纏められていた。まさに上流階級の食事って感じだ。
魔理沙もあまりの味にテンションが上がり切ってしまっていた。
「こりゃうめぇなぁ! レミリア達は毎日こんな旨いもん食ってんのかよ」
「当然よ。私のうるさい舌を満足させてくれるのはこの従者だけよ」
「レミィの子供舌はともかく、毎日のように違う料理を出してくれるから飽きなくていいわ」
当然ながら審査員の評判もいい。これは身内票云々関係なく強敵だ。小悪魔さんの実況も熱が入っていく。
「おーっと、一番手からかなりの高評価です! さてさて次は、藍さんです」
「うむ、相手にとって不足はない。こうなったら勝ちを狙うまで。私の得意料理だ、食べてみてくれ」
そう言いながら並べられたのは……豚肉を何かで巻いたものを輪切りにしたものだろうか? フレンチ料理のような盛り合わせで高級感が漂っている。藍さんの見た目の雰囲気から和風か中華が得意だと勝手にイメージしていたのだが……意外だな。
口に入れてみると、不思議な触感と味が広がる。甘辛なソースに絡めているこの肉を包んでいるのは……
「これ油揚げかしら?」
霊夢のポツリと呟いた言葉に、橙ちゃんと紫さん以外の全員があー、っと納得の声が上げる。なるほど、所謂油揚げを使った創作料理になるか。まさかフレンチ料理に油揚げを使うとは……斬新だ。
「藍は本当に油揚げが好きなのよねぇ……料理の腕は信頼しているけれど、毎回油揚げを料理が最低一品出るのは止めてほしいわ」
いつの間にか戻っていた紫さんが辟易とした溜息を洩らす。だが、アイディアは面白い。調理法味付けも完璧。敵ながらあっぱれと言わざるおえない。
「意外なアイディア料理で見た目、味、食感のすべてを楽しませてくれました!それでは、トリを務めますのは北斗さんです!」
「ほい、それじゃあ召し上がれ、っと」
満を持して審査員席に皿を並べていく。すると俺の出した料理に霊夢以外の全員が目を丸くした。
「これは……カレーね」
「ええ、ごく普通のカレーですよね……」
紫さんと藍さんが戸惑いながら顔を見合わせる。外の世界の大人ならこんな反応だろう。だが……
「わぁ! 美味しそうな匂い……初めて見る料理だわ!」
「これはカレーって言うのよ! 藍様もよく作ってくれて、とっても美味しいのよ!」
フランちゃんと橙ちゃんが目の前のカレーに目を輝かす。前の二人の料理も美味しそうに食べていたが、どちらかと言うと子供向けの料理とはいえない。だからこそ俺は繊細な味よりわかりやすい美味しさを求めてカレーを作ったのだ。
「……そうか! 北斗殿は霊夢だけじゃなく、子供枠の票を狙っていたのか!?」
藍さんがようやく気付いたようで、厨房に手を突いて声を上げる。俺はその反応につい顔がにやけてしまう。そもそもこの企画はフランちゃんと橙ちゃんのためのものだ。そして二人に受けがよさそうなものを考えた結果……カレーに行き着いたのだ。しかし、他の人の意見を蔑ろにしたわけじゃない。
「へー、カレーかぁ……私はカレーにうるさいぜ?」
「さながら凝り固まった血のようね……外の世界にはこんな料理があるのか」
魔理沙もレミリアさんも興味深そうにカレーを見ている。そうだ、意外なことに幻想郷にカレーは普及していなかった。そもそもここではスパイスの殆どが入手できないからな。俺みたいに外の世界からルーの元を手に入れられないと作れないレア料理だ。
博麗神社では二週間に一度くらいで作っているが、俺の作る料理の中で一番霊夢のに受けがよかったのがこの料理だった。
「あぁもう! 三日も寝かすと味が凝縮されてるわね! 北斗、今度から作るときはそうしなさいよ」
「いいけど盗み食いはやめてくれよな」
なんて話していると気付けば霊夢が完食していた。フランちゃんも橙ちゃんもあっという間に食べ終えて満足げな顔を浮かべている。こんな食べっぷりがいいと三日かけて作った甲斐があった。料理人冥利に尽きるな。
「さーて三者とも料理が出そろいました! それでは早いですが審査に移りましょう! 皆様、一番美味しかった料理を作った者の名札を上げてください! せーの!」
天の声の掛け声と共に全員が札を掲げる。その内訳は……
咲夜さんの札を上げたのはパチュリーさんと紫さん。藍さんを上げたのは橙ちゃんと魔理沙。そして、俺に上げてくれたのは霊夢とレミリアさんだった。
「お、お嬢様!?どうして……」
「あ、いや、えーっと……お、美味しかったからつい」
「紫様!? どうして私に入れてれないのですか!?」
「だって貴方毎回油揚げじゃない! たまには普通の料理が食べたいのよ!」
従者二人がその主に裏切られて悲痛な声を上げていた。身内票とは何だったのか……
しかし、綺麗に数が分かれた。勝負は最後の一票に託された形だ。それを持っているのは……
「………………」
フランちゃんが三人の札を握りしめて俯いている。不思議に思った俺はその顔を覗き込む。するとフランちゃんは目に涙を溜めて震えていた。
「ど、どうしたのフランちゃん!?」
「ほ、ホクト……わた……私……一人に選べないよ……」
フランちゃんはびっこを引きながら言う。どうやら悩みに悩んだ末に決められなかったようだ。
「ホクトのかれーも美味しかったよ……けど、ランの料理も食べたことない味だったし、咲夜の料理も大好きだよ……だから、だから……」
その言葉に、俺と咲夜さん、そして藍さんは顔を見合わせて、微笑んだ。審査員の方へも目配せすると、みんな頷いてくれる。俺はそっとフランちゃんの頭を撫でる。
「そっか、選べないなら仕方ないね。それじゃあ、みんな同数票だし、引き分けだね」
「うん……」
フランちゃんは袖でグシグシと顔を拭って、頷いた。それを合図にホール内に小悪魔さんの声が響いた。
「……というわけで、第一回幻想郷料理王争奪戦は引き分けに終わりましたー! はい、ナレーション終わりです! 私もうお腹空きました! お皿をください!」
そんな訳で第一回料理対決……だっけ?は大団円で幕を閉じるかと思われたが……唐突にその空気が変わる。
「ふっふっふっ……いい話だ、感動的だ。確かにお前らの料理は上手かったぜ」
不敵の声を追って特設ステージの上空を見上げると、そこには不敵に笑う魔理沙の姿があった。小脇にタッパーを抱えている。持って帰るつもりか?
「だが、お前はまだまだ井戸の中の蛙だぜ……」
「何だと!?」
藍さんはわかりやすい反応しながら魔理沙を睨んでいる。見た目凄くしっかりしてるのに、案外乗せられやすいなー!
「ふ、幻想郷一の料理人はお前らの誰でもない……」
「言ってくれるじゃない……それはちゃんと証明してくれるんでしょうね?」
咲夜さんがビシッと指を突きつける。この人は本当に楽しそうで何よりだ。
「ああ、教えてやるさ……アリスが一番ってことをな!」
魔理沙が高らかに宣言するが……え、魔理沙じゃないの? アリスって誰さ!?
一人混乱していると、最後までフォークとスプーンを握っていた天の声こと小悪魔さんが水をあおってから立ち上がる。
「んん……おーっと! まさかの意外な人物が宣戦布告! というわけで次回第二回幻想郷料理サバイバル対決開催決定! 新たな参加者の名はアリス・マーガトロイド!にご期待ください!」
えっ!? 天の声さん何で二回目やるって勝手に決めていいの!? 俺ヤダよ面倒臭い! そしてアリスって本当に誰さー!?