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「義経さん、まだ起きているんですか?」


 草木も眠る夜、義経はロンドンの夜を眺めていた。どこか浮かない顔でメアリーに声をかけられるまで、そんな顔を浮かべていた。


「うん? どうしたんだい?」


 振り向いたときには何もなかったかのように笑顔を浮かべた。


「やっぱり、気にしているんですか?ジャンヌの母の事を」


「え? あ、あー。リズの事ね。彼女の母が『ジャンヌ』だから、リズのお婆さんの事かと思ったよ。無理に直せとは言わないけど、まだ少し混同しているみたいだから。ごめんね」


 いつものように笑顔を絶やそうとしなかったが、若干無理しているのは見ててわかる。


「無理しちゃダメですよ? 義経さんには近々本部への出頭がありますからね!」


「僕の心配よりもそれ? 全く、君と言うものは......」

 メアリーは意地悪に笑みを浮かべ、義経に紅茶を差し出し、口へ運んだ


「どうですか? 機密漏洩した後に飲む紅茶の味は」


 義経が紅茶を噴出し、噎せた。


「ゲホォッ! ブホォッ! 全く、君の情報収集能力はどうなっているんだい?」


 メアリーは何も言わず、二コリっと笑った。義経はため息をつき、紅茶を飲み直した。


「まあ、伯爵と沖田くんの件は僕に預けられている。だからと言って今回の件はやりすぎだってことは重々承知。『ホムンクルス』の追加情報も近々提出する予定だし、その時にでも始末書は出すさ。悪魔の召喚については言及できなかったけど」


 最後の言葉は細々としてメアリーの耳に届くことは無く、彼女は紅茶のおかわりをいれた。


「まあ、是非そうしてほしいではありますが、他にも......」


 部屋に義経とメアリー以外いないが、よほど他に聞かれたくないのか義経に耳打ちをした。


「えっ? それ本当なの!?」


 いつもの能天気な笑顔がどこかに消え、メアリーがあきれた様子で頷いた。



「ふうぅ」


 深呼吸とともに沖田は|清野・千里≪きよの・せんり≫は鞘に収めた。同時に息切れを起こし、再び刀身を出し、見つめ出した。


(まだ、まだ先が読めない......。あの辻斬り、リズといい、ここに来てから相手方のスピードが速く感じる......、いや実際速いのだろう......。|清野・千里≪きよの・せんり≫に頼らず、優位に戦うためにはどうすればいい......)


 鞘から刀身を出し、それに写る自身に問いかけるようにしばし睨み、柄を強く握った。

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