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ある婚約者の嫉妬


嫉妬?していましたよ。

もちろん。



今も悲しみより喜びの方が勝っている。

なんて酷い女なんでしょうね。


……でもなにもなければ本当にそのうち私が彼女に手をかけていたでしょうね。




私が婚約者様と婚約が決まったのは中学卒業前でしたわ。その前から彼のことが好きで好きで仕方なかったのでとても嬉しく幸せでしたわ。




でも。知っていましたの。彼は付き人の娘が好きだということは。


中学の時から彼女にひどい嫌がらせをしていたのも私含む彼のファンでした。と、いうのはずるいですわね。

私、ファンクラブの会長をしていましたし。私が筆頭となっていたのよ。





高校入学したときにはすでに婚約者となりましたの。でも彼のすぐそばにはあの子がいました。


……付き人って、ずるいわね。理由なく一緒にいれて。

えぇ、そうよ。私は嫉妬していたの。どんなに思いあっても身分も違って絶対に一緒になれないあの子に。



よく考えれば同情しかわかないのに。勝手よね。

反省はしているわ。でもきっと時間が戻っても同じことをするのだと思うの。


私の恋情は嫉妬によって育ったといってもいいくらいですもの。


恋をして、嫉妬して。見た目ばかり綺麗にしても中身はひどい女なのよ。

女なんてそんなものではないの?私の周りはそんな人たちばかりだったわ。嫉妬して美しくなるの。その身に焼け焦がさんばかりの嫉妬を隠して、負けてなるものか、と。




彼と彼女に肉体関係があったということはなんとなくわかっていたわ。


だから放課後に彼女のあとをつけたことがあったの。

彼女は彼が好きじゃなさそうだったから。


あなたを私のうちで雇ってあげる。だから離れなさい。


そういうつもりだったの。



公園の奥。そこで品のある老婦人といて。そのときはじめて、あの子の表情が変わるのをみたの。



あぁ、なんて苦痛を合わせていたのだろう、と思ったわ。

私も女だから。わかるのよ。



彼女は彼を愛してなどいないのに。

愛されているだけなのに。



それでも、わかっても、嫉妬はとまることがなかったの。



だって彼は、婚約者様は、婚約者になったのにも関わらず私に興味もなかったのよ。

辛かったわ。



でも外では余裕よ、って顔をしないといけなかったのよ。

私ならっていつも思っていたわ。私なら彼の愛に応えるのに。彼の全てを受け止めるのに。

行き場のない気持ちが余計に嫉妬を駆り立てて。

私はいつか彼女を消してしまいそうだったの。ひどい女でしょう?



罵っていいわ。



それでも彼女はもういないし、私は彼と結婚するから。

彼女より長い間、彼といれるの。

彼の愛はすべて彼女にいっていても。

いつか情を向けてほしいのよ。ううん。違うわね。

いつか、私をみてほしいの。





彼女と話したことは、ないわ。


でも、そうね。彼女が話していた老婦人とはあるわ。

彼女の後を追ってたどり着いた老婦人。


こっそり帰ろうとしたら老婦人に声をかけられたの。もらった金平糖が美味しくて。あの人は、私が彼女を嫌っていることもわかっていたのに優しくしてくれたの。優しくされるたび涙がでたわ。


叱って、窘めてくれたわ。そして慰めてくれたの。




嫉妬が消えることはないわ。

多分今後もないのよ。彼の愛が消えない限り、それはしょうがないのよ。



今は、そうね。ありがとうとごめんなさいを。そして幸せになって欲しいわ。


え?えぇ、もちろん。彼女とあの老婦人に。

彼女には、彼女が生まれ変わったら、よ。

恨んでなんかいないの。ひどい事件だ、と報道しているでしょう?



でも本当にひどいのは誰なのかしら。あなたはどう思う?


ねぇ。すべてがわかったら私にも教えてくれる?きっとよ。


台風がやってきます。停電にならなかったら2日後にこうしんできると思います。停電になりませんように。


さて。全七話予定です。折り返しました。最後までよろしくお願いします!

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