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戦國鬼神伝  作者: 淡路
道ノ巻
46/64

覚悟と誇り


信長が豊臣軍に連れ去られてから2日後。取り残された俺達3人は家康さんの使いで走ってきた半蔵と、安土に帰る準備をしていた。


「江?」


「え、お前何してんの?」


「止めないで。もう決めた事なの」


短刀を構える江。え、何がしたいの?まさか切腹⁉︎


「これは私の覚悟。だから」


そう言って江は綺麗な銀髪を思いっきりバッサリ切った。

見ていた俺含む男3人は何が起こったのか分からなかった。


「……おいおい馬鹿野郎‼︎せっかく伸ばした綺麗な髪をそんなあっさり⁉︎髪は女の命だろ⁉︎」


この中で多分1番女心が分かってる政宗が最初に言った。


「いいのよ、前々から邪魔だからいつか切ろうと思ってたし。あーすっきりした」


江の銀髪はすっかりショートカットになっていて、江自身も気に入ったようだ。


「叔父上様が連れ去られたのも……私が動けなかったのも、私が無力だったからよ。でも必ず……必ずこの手で助けてみせるわ」


「……そうだな、俺も……奥州で待ってる愛のために頑張らねぇとな。あ、ついでに城で待ってる小十郎達も」


軽口叩いてるけどきっと政宗にも覚悟ってのがあるんだろうな。ついでとか言ってるけど安土出発する時もすげぇ心配されてたし、お互い信用してんだなぁ。


「俺は独眼竜の名にかけてお前らを生きて安土に帰さなきゃならねぇ。じゃなきゃ俺と奥州の名が廃る。これは俺の誇りを賭けた旅でもある」


「そう……私にも安土の地と仲間という誇りがあるわ。勿論、ここにいる皆……最初は叔父上様以外は嫌だったけど、今となっては大切な仲間よ」


照れ臭そうに笑う江にも誇りがある。やっぱ戦国時代に生きる奴は俺が生きる時代とは違うんだなぁ……


「じゃあ、半蔵にも誇りとか覚悟とかあるのか?」


「んぁ?え?あ、あー……まぁ、……」


半蔵は突然話を振られたせいでか素っ頓狂な声を出した後、何か考えながら言った。


「やっぱそういう考え持ってなきゃ戦う時に死んじまうかな?ずっと前にも幸村に言われてさ……俺、どうしたらいいか分かんねーんだ。その……もしよかったら俺に教えてくんねぇかなーなんて……」


「やめとけ」


「え?」


いつもの半蔵では予想できない、低くて重い声だった。



「俺の覚悟や誇りなんて……きっと聞いてて呆れるだろうから」



風が強くなり、木々がざわめき始める。


「……ん?な、何だよ、お前ら……何深刻そうな顔してんだ!ていうかそもそも俺は忍だし、覚悟もクソもねぇっつの!」


ヘラヘラと笑い飛ばす半蔵に一度はホッとした雰囲気になるが、俺は……なんか、やっぱ半蔵は何か隠してると思った。


するとちょうど俺と半蔵の目がばちりと合った。

なんかこの感じ……前にもあった気するな?

あ!あの時だ、政宗が安土城に来た時!

きっとあの時闇に隠れて政宗の背後にいたのは半蔵だったんだろう。

家康さんに言われて、もしもの時は……


「何ぼさっとしてんだ、さっさと帰るぞ」


政宗に言われて我に帰り、慌てて俺は3人の後を追った。




安土に、帰るんだ。


豊臣秀吉、幸村と真田十勇士、半蔵……信長。そして……


俺の覚悟と誇り。



たくさんの謎を残したまま。

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