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戦國鬼神伝  作者: 淡路
道ノ巻
40/64

忍の頭領

「クッソ……何で何回も捕らえられなきゃならねぇんだよ!退け‼︎」


政宗がそう言うとゴパンと音を立てて忍達を吹き飛ばす。

政宗の手には小型の銃が握られていた。


「隠し銃か……やるね、独眼竜」


性別不明の忍の頭領がそういうと、忍達は一斉に呪文を唱える。

あ、もしかしてこれって九字ってやつ?


「伊賀流結界術『絲巡いとめぐらせ』!」


忍の頭領が言った途端、俺達の周辺全てを無数の糸がドーム型に張り巡らされた。


「逃がさないよ」


忍の頭領はまた素早く九字を切って俺達に攻撃する暇を与えてくれない。


「伊賀流雷術『降雷』!」


次の瞬間、俺達の上空から無数の針が凄い速さで落ちてきた。

それに対していつの間にか忍を退けていた江が右手を上に上げる。


「浅井三ノ型『雷門らいもん』‼︎」


江の手から電気を帯びた結界が音を立てて繰り出されて、忍の技から俺達を守ってくれた。


「へぇ……魔王の血筋ってところか」


「無礼者共!私達を捕らえたかったら名を名乗れ!」


江が叫ぶと、忍は溜息を一つ吐いてあっさり結界を解いた。


「君らも知ってると思うんだけどね、俺の主の事。会った事あるだろ?」


「はぁ⁉︎あのね、私はあんたの主の話をしてるんじゃなくて……‼︎」


「ここは信玄公の屋敷跡だという事は知ってるだろ」


江が言い終わらないうちに忍の頭領は低い声で言う。


「もし信玄公がここにいたら、本来なら主は喜んだだろうに」


え?ちょっと……

俺、そいつに会った事がある。信玄をすげぇ慕ってる奴って千代女と……




「お前の主って……真田幸村……?」




俺が驚きながら言うと、忍の頭領はニヤリと笑った。



「俺の名は霧隠才蔵。真田源二郎幸村殿の忍軍だよ」



霧隠才蔵て……えと、あ!



「まさか『真田十勇士』の⁉︎」


俺が言う前に江が言った。

猿飛佐助とか、そんな感じの人らだろ……?


「初めてそんな風に呼ばれたよ。佐助は喜ぶだろうね」


「お前は?」


「興味ないね」


うわぁ、きっぱり。


「っ……じゃなくて!幸村は⁉︎今、どこに……」


「もしかしてお前、源二郎の顔見知りなの?だったら早くここから退いた方がいい。今なら逃がしてやるよ」


「なんで‼︎俺は、幸村に言いたいことが……」


「他所者が今の源二郎に何を言っても聞かないと思うけどね」


はぁ?意味分かんねぇ事を……


「思い出せよ。真田は豊臣軍だぞ?」


あ……



そうだ、前会った時もそうだっただろ。バカだ、俺。



幸村は本物の敵なんだ。そんな簡単に話を聞いてくれるような立場じゃねぇんだ。



俺は、やっと戦う理由が自分で分かったのに。教えてやりたかったんだ。


「そっちは徳川……東軍だろ?今豊臣ーーー西軍と敵対してる奴に俺は主を会わせる事はできないね。源二郎には『取り逃がした』とでも言っておいてやる。さっさと失せな」




「『取り逃がした』か」



この声‼︎



「あーあ」


霧隠才蔵が長い睫毛がついた瞼を閉じ、失望したように呟いた。



「だから早く行けって言ったのに」





霧隠才蔵の背後には、数十名の兵を連れた赤備えの武士ーーー



真田幸村がいた。


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