鬼術の謎
鬼って……
「ああ……鬼は鬼でも、鬼術を使ってる人間は『違鬼』と言うんだ。僕が言ってるのは、本物の妖の鬼の事だから」
「たがおに?」
「そう。どうしてこういう名を付けたのかは僕も知らないけどね。鬼術を鬼から授かった人間が付けたんじゃない?」
へ、へぇ……
「まあ、その本物の鬼から鬼術を授かって最初に習得したのが、直江家の初代当主なんだけどね」
へぇ……直江家の初代当主が……って、
「は⁉︎」
「直江兼続殿は本物の鬼から授かった本家本元の鬼術を習得してるんだよ」
「えっ……と、」
「つまり?」
俺と江はきょとんとしながら毛利の話を聞いていた。
だって、よく分からねぇもん。
すると毛利輝元は溜め息をついた。
俺らの事バカにしただろ、今。
「つまり、直江兼続殿は純血の違鬼ってことだよ」
「それって……強いの?」
江もやっと分かったらしく、次は江から毛利輝元に向かって疑問をふっかける。
「さあ?他の遺鬼と同じで直江殿の実力によるんじゃない?僕もそこまで詳しくないよ……というか、これくらいの事しか知らない」
「え?」
「さっきもいったけど、鬼術は元々は本物の鬼しか知らない秘術。知っての通り鬼術があれば不老にもなれるし覇術という技だって習得できる。下手すれば不死になる事だって可能だ。もしかしたら他にもまだ何かあるかもしれないだろう?
そんな完全無欠な術の事なんて、人間に教えた鬼はかなり物好きだと思わないかい?」
……確かに。
俺だったらそんな術、教えたくないと思うかもしれない。
でも……何か理由でも……
そんな時、俺の頭に以前見たおかしな夢……友達を助けてくれとか言った、あの夢がよぎった。
いや、関係ないか。なんでだろ、なんか俺……なんだ?頭の中が気持ち悪い……
「どうした?」
信長が俺の横から声をかけてきた。
大丈夫って言おうとするのに、頭の中がおかしくて言葉を返せない。
「僕が知ってるのはこのくらいだから、詳しくは直江殿にでも聞いたら?僕、寝不足なんだよね……あ」
俺が頭を抱えてるのに気づいたのか、毛利輝元がこちらを見る。
「それとも……直接聞いた方がいいのかもね」
は?何言ってんだこいつ……兼続さんなら……
「太閤殿下……豊臣秀吉公にね」
その言葉を聞いた時、頭に何か打ちつけたような痛みが走った。
信長達の声が聞こえたけど、なんか、もう無理……
「おい!七星樹!」
あ……信長が……俺の名前呼んでる……
なんで、また……
豊臣秀吉が……?




