表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦國鬼神伝  作者: 淡路
始ノ巻
35/64

安芸国

安芸国。

瀬戸内海を挟んで四国の隣にある一国だ。

俺達4人はその安芸国の町を歩いていた。

城は見えないけどここも城下町らしく、人がたくさんいた。


「長宗我部とは違って毛利は堅物の家系だからな……今度はどうなるか」


政宗が自分とすれ違った旅装束の女に手を振りながら言う。

女2人ははしゃぎながら政宗を見てた。

……愛姫が見たらどうなるか。

ちっ、平々凡々な俺に見せつけてんのか?


その時、政宗はよそ見をしていたせいでお婆さんとぶつかった。


とっさに、ぶつかった本人である政宗と江もそのお婆さんが倒れないように支えた。


「何してるのよ、あんた! お婆様、大丈夫?」

「あー分かった分かった。悪いな、婆さん」


江と政宗がお互いそう言った時。


「ひぃ……お許しを……!」


お婆さんの方から、嗄れた声で怯えたように謝ってきた。


「……謝らなくても大丈夫よ、お婆様。悪いのはこっちの方で……」


江が言いかけた時、お婆さんを呼んで駆け寄ってくる若い男女がいた。


「申し訳ありませぬ、母は弱視故にあまり目が見えておらぬのです」


「どうか、お許しを……!」


は?なんでここまで謝られるんだ?江が言った通り、悪いのは政宗で……



視線が痛い。



俺はちらりと目だけ動かして横を見た。


旅装束の人達は何ら変わらずに歩いているけど、町の人達が俺を見ている。

まるで怯えているように。


「おい、そこの男」


始終黙って見ていた信長がいきなりお婆さんの息子らしき男を呼んだ。

その人は少し肩を震わせて信長を見た。


「毛利輝元の居城はどこだ」


そこにいた町人達全員の顔が青ざめた気がした。

もしかして、この町の人らは毛利輝元に怯えてるのか?


「へへ蛇神様の……⁉︎」


「蛇神?」


男のか細い呟きに信長の整った眉がぴくりと動き、眉間にシワが寄る。


「なんだ、それは」


信長が一歩、男に近寄る。

その男は信長に気圧されたのか、一歩退く。


「そ、それは……」


ちょ、ちょっと信長さん脅迫になってきますよ、それ……


「俺は近江国安土から来た織田上総介信長だ。お前達を傷つける気はない、何故輝元が蛇神と呼ばれるのか詳しく聞かせろ」


「お、織田の……⁉︎」


「織田信長……⁉︎」


「信長公……⁉︎」


な、なんだ?さっきまで怯えてた町人達の様子がおかしい?


「織田の……織田のうつけ殿……‼︎」


その男の顔がなんか伸びたり縮んだりして、体もなんか伸びて……


「きっ……きゃあああっ‼︎」


江がその姿を見て叫ぶ。

政宗も気味悪そうに顔を歪めている。


だって、その姿は大蛇だったからだ。


回りを見ると、さっきまで確かに人間だった町人達が全員いろんな大きさの蛇になっていた。

その蛇達はこの町にいた旅人達を捕まえて絞め殺そうとしてる。


気色悪っ‼︎


「私に会いにわざわざ足を運んでくださるとは……歓迎しますよ、信長公」


どこからか声が聞こえる。辺りを見渡しても蛇だらけで、その声の主らしき奴はいない。


「この蛇の群れを抜けて私の城まで来れたなら、話を聞いてもいいよ。私の元まで来れたらね……」


どうやら城は山の上じゃなかったせいで見えなかっただけで、まっすぐ行った所にあるみたいだ。


ここを抜けなきゃ次に行けないってことか……


俺達はとりあえず目の前の大蛇を倒さなきゃならねぇ……


あの声が毛利輝元だとしたら……俺は……




何かできるのか?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ