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戦國鬼神伝  作者: 淡路
竜ノ巻
27/64

試練

弥生。戦国時代だと旧暦で3月だけど、俺が生きてきた現代では4月。


桜の花がそろそろ満開を迎える頃だ。


1ヶ月程前、伊達政宗が安土城に来た日の夜を最後に、信長の姿を俺達は見ていない。


蘭丸と濃姫が飯を運んでるみたいだけど、あまり食べてねぇみたいだし。


「殿、大丈夫かな……」


犬千代がショボンとしてる。ご主人様にお預け食らった犬みてぇだ。


「そういや最近は家康さんの姿も見ねぇな……」


俺が呟くと、信長に貰ったとかいう黒い短筒を大事そうに磨いている江が言う。


「家康殿なら、最近は書庫に籠っているみたいよ」


「な、何のために?忠勝知ってるか?」


「……聞いて、ない……」


家康さんの側近の忠勝もこんな感じである。


どうしたもんかなぁ……


俺が溜め息をついた直後、蘭丸が膳を持って縁側の廊下を歩いてきた。


「蘭丸!」


「あ、樹。それに皆さんお揃いで」


「蘭丸‼︎今から殿の部屋行くのか⁉︎」


犬千代が蘭丸に駆け寄る。蘭丸はその尋常じゃない速さに驚いて顔が引きつってる。


「ま、まあ、そうですが……」


「俺も行く‼︎」


犬千代が目を潤ませて蘭丸にずい、と近づく。


「私も行く‼︎」


江もずい、と近づく。


「わ、わわ分かりました!」


女子(犬千代はどうかな……)2人に詰められて、蘭丸はちょっと退いて言った。


これは、俺も行かねぇとダメなパターンだな!


「「俺も行く!」」


俺と同じ顔をした忠勝とハモった。


「また同時に言った!」


「あんた達、本当は血を分けた兄弟か畜生腹の兄弟なんじゃないの?」


「「ちげーよ‼︎」」


またハモって、俺と忠勝は黙るけど、3人が笑うので恥ずかしくなった。


そんなやり取りもあったけど、信長の部屋に5人で向かった。


後で江に聞いたんだけど、畜生腹ってのは双子の事らしい。

なんでそんな風に言うのかは聞かなかったけど。







「信長様、蘭にございます」


場所は変わって、信長の部屋の前。

蘭丸が声をかけたが、返事は帰ってこない。


「おかしいな……いつもなら返事が一言返ってくるのに」


「まだ寝てるとか?」


「いや、それは無いかな。信長様朝早いし」


「ああ、中身は年寄「この無礼者‼︎」


俺の言葉を遮って江が俺に平手打ちしてきた。マジで痛ぇ。そんな怒らなくてもいいだろ。


「信長公、入りますよ」


俺達を差し置いて忠勝が襖を少し開いた。


「っ、うわぁぁぁああっ⁉︎」


忠勝が叫ぶ。


「ど、どうした⁉︎」


「と、殿ぉぉっっ‼︎」


犬千代が泣きそうな顔で襖を躊躇いなく開けるから、俺達は驚いて「あぁぁっ⁉︎」と叫ぶ。


「「「「えっ、えぇぇぇぇぇぇ‼︎⁉︎」」」」



俺達は全員、一斉に叫んだ。


だって、そこにいたのはいつもの銀髪の美青年じゃなかったからだ。


布団にいたのは、黒髪の癖っ毛を鎖骨ぐらいまで伸ばして、赤目に色白に細身。


って、ちょっと待て。赤目に色白に細身って……



「の、信長⁉︎」




その部屋にいたのは、前よりまた若返った信長だった。

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