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戦國鬼神伝  作者: 淡路
竜ノ巻
20/64

「はぁ……休みが欲しいぜ……」


俺は、市場で買うだけだと資金が無くなっしまうからと信長に言われて、安土城下をちょっと歩いた所にある田んぼの手伝いをしていた。


そこは、俺がタイムスリップして突っ立っていた所に近い。


「おい兄ちゃん!手を休めるなよ!雑草共を取ってくれねぇと稲が育たねぇからよ!」


「へーい……」


田んぼの主である30代ぐらいのおっさんに言われて、俺は力無く返事をする。


「殿様に渡す米も無くなっちまうぞ!」


おっさんが俺に喝を入れるかのような言葉を言って、俺は我に返る。


米が無いとか言ったら、あの鬼なんて言うか……!


「うぐぅぅぅあああ‼︎やってやるよぉぉぉっっ‼︎‼︎」


俺は雄叫びのような悲鳴のような声を自分でも驚くぐらい出して、腰の痛みを無視して雑草取りの為にもう一度田んぼの泥濘の中に裸足を突っ込んだ。





戦国時代の冬は、俺が17年間生きてきた平成の世よりかなり寒かった。


冷たい風は吹くわ、雪はいつものように降るわ、暖房なんて万能な物は無いから火鉢で仕方なく暖を取ろうにも寒いものは寒いわで、つくづく暖房器具がどれだけ有り難い物なのかを思い知らされる。


「今日は太助さん家の畑の手伝いか……」


俺はこの時代の蛇みてぇな字は読めねぇから自分で筆と墨を使って書いたメモを見て、はぁと溜め息をついて、布団から這い出て寝巻きの浴衣から外に干しておいた制服に着替えた。


俺はあの日、部活帰りはタンクトップと制服のシャツにセーターにブレザーと着込んでた。

あの日が4月のくせにかなり寒かった日でよかったぜ。


「樹。起きてる?」


襖越しに蘭丸の声が聞こえた。朝飯の時間を知らせに来てくれたみたいだ。


「ああ。いつも悪いな」


俺が襖を開けると蘭丸は笑顔で、


「いや、君の部屋が信長様の部屋の近くだから、ついでに丁度いいだけだよ」


と言った。

なんかあまり嬉しくないような……


「そういや、俺最近信長の姿見ねぇんだけど」


俺は廊下を歩きながら蘭丸に言う。

俺が信長を見たのは、信長が俺に近隣の村を手伝ってこいと言ってきた時で、確か現代で言う1月下旬頃……ここで言う睦月下旬頃だった。


ちなみに今は現代で言う2月中旬。

2、3週間は見てないって事になる。


「信長様は部屋におられるんだけど、最近体調が優れないようで」


「え?あの信長が?」


「……本来なら、信長様は既に故人だから病にかかる事は無いんだけど……」


蘭丸が顎に手を当てて唸る。


それを見る俺も、嫌な予感がしてならなかった。



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