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新たなる……
朝日が昇り、照らされる安土城下。
その安土山に以前まであった天守はもう既に無く、茂っている木々の影から木造の屋敷が一軒ちらりと見える。
安土城下は日が昇ったばかりだというのに既に店を開ける準備をするなど、ぽつぽつと人が出てくる。
そんな安土城下に2人の武将が馬に乗ってやってきた。
「見ろ!安土城下だ」
「……目立たない程度にお願いしますよ?」
「案ずるでない、小十郎。これも全て未だ目覚めぬ『あのお方』の為」
「……心得ております」
「俺は伊達藤次郎政宗。安土はすぐそこだ!行くぞ、小十郎!」
そう言った武将は眼帯と、兜には半月の前立があった。




