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初めてのお宿

「いらっしゃいませ」


道具屋に入ると、前に来たときとは違い、男の人が出てきた。


「あれ? ここって、お姉さんがやってなかった?」


「おぉ…妻にあったのですか。お客さんはラッキーですね」


「そうなんですか?」


「はい。妻は恥ずかしがりやでして、私が仕入れにいっている間しか接客しないのですよ」


「そうだったんですか」


「えぇ、そうなんです。……ところで、本日はどのようなご用件で?」


「まずは買い取りをお願いしたいんですが……」


そう言って俺は、アイテム画面をひらいて中からドロップアイテムを取り出す。


「まずはスライムジュースを百個頼む……」


「スライムジュースが百個ですね? 確認させていただきます……」


そう言うと、店主はモノクルのような物を取り出し、俺が机に出したスライムジュースを見始める。


「…………確かに。スライムジュースが百個ですね。一つ10円で買い取らせていただきます。百個なので1000円ですね……」


「わかりました、お願いします」


「かしこまりました。こちらが代金の1000円になります。お納めください……」


 そう言って店主は袋を渡してくる。

俺は店主から代金を受け取り、アイテム画面の所持金額が3200円に増えている事を確認する。


「確かに1000円いただきました。……それじゃあ次に、スライムの核を七十五個お願いします」


今度はスライムの核七十五個を机の上に出す。


「それでは、確認させていただきます」


店主は再びモノクルのような物を取り出し、スライムの核を見始める。


「…………スライムの核七十五個、確かに確認いたしました。代金は、一つあたり20円になります。七十五個なので、合計は1500円ですね。お受け取り下さい……」


 そう言って店主はまた袋を渡してくる。

俺はそれを受け取り、アイテム画面の所持金額が4700円になっているのを確認する。


「確かに1500円いただきました。ありがとうございます。…次はスライムの護符二十個の買い取りをお願いします」


そう言って、今度はスライムの護符二十個を机の上に出す。


「それでは、確認させていただきます……」


そう言って店主は、モノクルらしき物でスライムの護符を見始める。


「…………確かに、スライムの護符二十個ですね。一つあたり50円なので、二十個で1000円になります……」


そう言って店主は袋を渡してくる。


「ありがとうございます」


袋を受け取り、アイテム画面の所持金額が5700円になっていることを確認し、お礼を言う。


「ほかに買い取らせていただく物はこざいますか?」


「いえ、ありません」


「それでは、何かご入り用な物はございますか?」


「はい。MPポーションの十個セットをください」


「かしこまりました。少々お待ち下さい……」


そう言うと、店主は足下から箱を取り出してくる。


「こちらがMPポーションの十個セットになります。代金は1800円になります……」


「これでいいですか?」


俺はアイテム画面から1800円を出して、店主に渡す。


「はい、確かに。1800円いただきました……それではこちらが商品になります」


 そう言うと、店主は箱ごと渡してくる。

俺はアイテム画面で受け取る。


「ありがとうございました。ではまた」


「まいど、ありがとうございました……」


俺は店主の声を背中に店から出た。


「うぉっ、もう夕方なのか……」


俺が店から出ると、すでに外は夕暮れだった。


「宿屋に行って休むとするか。今からの狩りは危険だとおもうし、なにより腹がヘった……」


俺は宿屋に行くことにした。





◇◇◇◇◇◇◇◇◇





 宿屋では、食事と就寝ができる。

この街はこのゲーム最初の街なので、基本的なこの二つの機能しかないらしいが……上の階層に行くと、武器や防具の整備ができたりするらしい。

まぁ、このゲームでできた友人によればだが……


「とりあえず入るか……すみませーん」


俺は、この最初の街で一番安い宿屋に入る。


「いらっしゃい。うちに泊まるのかい?料金は、夕食と朝食がついて、3000円だよ」


「わかりました。これでお願いします……」


アイテム画面から3000円を取り出し、女将さん?に渡す。


「はいよ、確かに。……夕飯は18時30分から20時までだよ。朝食は6時から8時までだ。…それ以降は、別料金になるからね?そこんとこ気をつけな」


「わかりました」


「それじゃあこれが部屋の鍵だよ。部屋番号は202で、二階の部屋だよ。鍵は絶対になくさないでおくれよ?」


「はい」


「それじゃあ…何か用があったら声をかけておくれ」


「わかりました。それでは失礼します」


女将さん? に挨拶して、階段をのぼる。


「202…202は…っと」


一部屋ずつ番号を確認しながら二階の廊下を進む。


「あったあった。ここが202か。角部屋か……」


ドアを開け、中に入る。


「意外と広いな……風呂とトイレもあるし……ベッドが四つか、聞いていた通りだな。これなら3000円でも納得だぜ。むしろ安いんじゃないか?」


 このゲームの宿屋は、パーティーで利用するのが普通だ。

そのため、ベッドは推奨パーティー人数の四人分ある。

現実の宿屋の相場は知らないが、四人で3000円と考えれば、安い気と思う。


「現在時刻が19時だから、先に夕飯を食べよう」


そうと決まれば…さっそく階段をおりて、女将さん?に声をかける。


「すいませーん、夕食をいただきたいのですが……」


「夕食かい?適当な所に座って待ってな」


そう言うと女将さん?は奥の方に消えていく。


「誰もいないし、一人で丸テーブルを使わせてもらおう……」


俺は近くにある丸テーブルに座る。


・・・

・・


「待たせたね。これが今日のメニューだよ」


しばらく待っていると、女将さん?がプレートを持ってくる。


「ありがとうございます。……ところで、つかぬことをお聞きしますが、あなたはこの宿の女将さん……ですよね?」


「めずらしいことを聞くんだねぇ……そうだよ、私がこの宿の女将であっているよ」


「そうですか、ありがとうございます」


「いや、かまわないさ。…それじゃあ、食べ終わったら言っておくれ?片づけがあるからね」


そう言うと女将さん(確定)は定位置であるカウンターに座る。


「わかりました。……それじゃ、いただきますっと」


 夕食は洋食風だった。

何かのフライがメインで、サラダにパン、スープが付いている。


「うん、意外といけるな……」


 料理の味はおいしかった。

少し味がうすい気がしたが、十分許容範囲内だった。


・・・

・・


「ごちそうさまでした……女将さん、食べ終わりました」


食べ終わったので、女将さんを呼ぶ。


「はいよ、おそまつさま」


そう言って女将さんはプレートを持っていく。


「おいしかったです。ごちうそうさまでした……」


「あいよ、そりゃよかった」


「それでは、部屋で休ませてもらいますね」


「あいよ、おやすみね」


「はい、おやすみなさい」


俺は、挨拶をして部屋に戻った。


・・・

・・


「さて、寝る前にステータス画面を確認しておくか……」


風呂に入りすっきりした俺は、ステータス画面を開き今日の成果を確認する。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

ランワード・フリーダム:レベル5

HP:2800/2800

MP:0/2100

力 :435

魔力:435

体力:435

精神:435

運 :750


パッシブスキル

疾風迅雷(ON)

烈火怒涛(ON)

半神の目(ON)

隠密索敵(スカウトレンジャー)(ON)

覚醒(ON)


アクティブスキル

創造


職業

全闘士(オールラウンダー)


ボーナスポイント:10

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「まずは、このボーナスポイントを何に振るか……だな」


10までたまったボーナスポイントを何に振るか考える。


「あえてためておくのもありだな。というより、ためてからのほうが考えやすいかもな……」


 俺はRPGだと、ボーナスポイントをためておく癖がある。

なんかもったいない気がするし、ポイントは一気に振ったほうが気持ちいいと思うのだ。

幸いステータスは高いので、ステータスに振ることはしばらくしないでいいと思う。


「となると、アクティブスキルだな……」


 パッシブスキルはすでに最強と言えるのが五つそろっているので、しばらく必要ない気がする。

なので、アクティブスキルを見てみる。


「とりあえず、基本のファイアボールにするか?それとも風のウインドカッターにするか?」


 ファイアボールもウインドカッターも、魔法の基本スキルである。

必要ポイントは両方5ポイントで、両方取ることもできる。


「悩むなぁ…………どうしよう?」


アクティブスキルの一覧を眺めながら考える。


「…………よしっ!両方取ってしまおう!」


俺は結局、ファイアボールとウインドカッターの両方をとることにする。


「まずは、ファイアボール選択っと……」


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

魔法:ファイアボール

敵一体を対象に、炎の玉を発射する。

ごく稀に、対象をやけどにする。

威力100

必要MP10

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「続いてウインドカッターを選択……」


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

魔法:ウインドカッター

敵一体を対象に、風の刃を発射する。

ごく稀に、対象を気絶させる。

威力100

必要MP10

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■



「これでよしっと」


選択を終え、満足気にうなずく。


「さて、少し早いが寝るとしますか……」


 現在の時刻は20時30分。

昨日までは考えられない就寝時間だ。

というより、昨日まではあまり寝ている暇もなかった(一日に一回以上死んでいたためと、一回死ぬのに1時間ほどかかり、一回死ぬごとにゲーム内時間で12時間のペナルティがあったため)ので、何気に宿屋で寝るのは初めてである。


「今日から俺の冒険が始まるんだなぁ……一年遅れだけど」


この一年間を振り返る。


「すべてはあの時から始まったんだよなぁ……」


俺は…すべての始まりの日を思い出していた。

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