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リミットは四日

「終わりましたね。お見事でした。さすがはラン様です! 初戦闘お疲れ様でした」


「よく戦えていたんじゃない?」


「かっこよかったよ、ラン君」


「でも、なんで初めてなの?」


「そうそう。戦闘そのものは、初めてじゃないんでしょ?」


「あぁ、それはね? 今までは魔法も近接も、スキルを使っていたんだ。魔法は無詠唱だったし、スラッシュかクロススラッシュでしか攻撃してなかったんだ……」


「なるほどね……。ってことは、始まりの塔のボスは?」


「ボスは無効化をもってるはずだよ?」


「もしかして、ヒカリちゃんが倒したの?」


「それはちょっとかっこわるくない?」


「とんでもない! その場に私はいませんでしたっ! ラン様はお一人でボスを倒されたのです……」


「それは矛盾してない?」


「スキルしか使ったことないんでしょ?」


「えっとだな……。強すぎたんで、この目を使ったんだ」


「「「目……?」」」


「あぁ、この目だ。半神の目を使ったんだよ……」


「それ「「すっごいじゃないっ!!」」

……すごいのですか?」


「半神の目なんて、半神でも百人に一人持ってるかどうかって代物よ!?」


「そうだよっ! 半神が持って生まれる能力の中でも、とても強力なのよ!?」


「麻痺と即死と……後は忘れちゃったけど、対象を見て選択しただけで、それらの効果を相手にあたえられるの!」


「見ただけでだよっ!? 強力すぎるでしょ!?」


「そうなのですか……」


「「そうなのよっ!!」」


「あはは……。そんなにすごい反応をされるとは、思ってなかったよ……」


「やはりラン様はスゴいお方なのですね……」


「いやー、ラン君選んで良かったわ……」


「ほんとほんと。半神の目を持ってるなんて……」


「私たちの見る目も、捨てたものじゃないわね……」


「ほんとだよぉ。ラン君を選んで良かったぁ……」


「そういって貰えると、俺もとって良かったって思えるよ……」


「そうそう。神様から与えられる、貴重な力だからね」


「大事にしなよ? ラン君。……ってむしろ、私たちがラン君を大事にしなきゃなのかな?」


「それは当たり前ですよ……?」


「「それもそっか……。あははっ」」


「話を変えるぞ? 俺は部分破壊ってのは、初めてなんだが……。アレはどうやって持ち帰るんだ?」


「あぁ、あのキングスライムの残りね?」


「それなら簡単だよっ! アイテムボックスに選択して収納するだけの簡単なお仕事だよ?」


「それだけで良いのか?」


「「いいのです!」」


「わかった……」


 俺はキングスライムの残った部分に手を当てて、アイテムボックスに収納と命じる。


「ほんとにできた……」


「ね? できたでしょ?」


「簡単だよねぇ?」


「そうだな。…………気になったんだが、ボスはすべて、部分破壊ができるのか?」


「「それはねぇ……」」


「それは?」


「「わからないのさっ」」


「わかんないのかよっ!」


「だってねぇ?」


「そうそう」


「「私たちは神様じゃないものっ」」


「そりゃ当たり前だろっ!」


「だからねぇ? ラン君」


「色々試してみるしかないのだよっ!」


「それもそうか……。ヒカリは例のアレでわからないのか?」


「ボスと言っても、その種類は様々なので、すべての把握は不可能かと思われます……。その都度調べるしかないですね……」


「そうなのか……」


「それよりラン君っ」


「ドロップアイテムはどうだったの!?」


「あぁそっか。確認しとかなきゃだな……。えっと………………これだな。キングスライムの核が一つと、大魔結晶が一つにキングスライムジュースが五個だな。みんなは?」


「私は大魔結晶が一つです……」


「私はキングスライムジュースが五つだよっ」


「私はキングスライムの核が一つだけですね……」


「つまり合わせると、キングスライムの核が二つに、大魔結晶が二つ。キングスライムジュースが10個ってことだな!」


「「さっきの部分が入ってないよ?」」


「あぁ、そっか。………………えっと、あれ? キングスライムジュースはさっき言っただけしかないぞ?」


「そうなのですか?」


「「うっそだぁ」」


「ちょっと待ってくれ? ………………これがそうなのか? なんか、キングスライムの枕ってのがあるんだが……」


「「キングスライムの枕!?」」


「うぉっ! どうした? そんなに身を乗り出して?」


「それ、すっごいレアアイテムだよっ!!」


「たしか、オークションに出せば……1000万くらいはしたはずだよ!?」


「まじかっ!? そりゃすごいなっ!」


「「そのとおりっ!」」


「ですが、オークションが開催されるのはまだ先だったはずでは?」


「「そういえばっ!」」


「それに、参加するためには資格が必要だったはずですが……?」


「そうなのか?」


「「そうだったよぉ……」」


「資格をとるのは、ものすごく大変だったはずです。商会にも登録しなければならなかったと思いますし……」


「めんどくさいのか?」


「「「めんどくさいです……」」」


「じゃあやだな……。他に高く売る方法はないのか?」


「「うーんっとね…………」」


「…………仲買人に頼めばよろしいのではないでしょうか?」


「それは一番確実だけど……」


「買いたたかれるのがおちだと思うの……」


「そんなにひどいのか?」


「「うーんっとね?」」


「ちゃんとした商会に登録している仲買人なら、信用できるんだけど……」


「この街には商会じたいが無いから……」


「信用できる人がいない……ということですね?」


「そういうこと……」


「博打はあまり良くないでしょ?」


「たしかにそうだな……」


「次の世界に行けば、商会もあるんだけど……」


「後七つも塔は残ってるからね……。オークションの日がちょうど四日後だったはずだから……」


「最低でも、一日一つじゃたりないわ……」


「塔はそれじたいが巨大なダンジョンだから」


「とても間に合うとは思えないわ……」


「ふむ……」


「ラン様?」


「「ラン君?」」


「上等じゃないかっ! どうせ最前線に三ヶ月以内に行くと決めたんだ。そのくらいのペースじゃなきゃ無理ってもんだろう?」


「そういえば……。従姉妹の方にそんな事を言っておられましたね……」


「「そんな事言ってたの!?」」


「最前線って事は、30階以上は先よ!?」


「いくらラン君でも無理だと思うのだけど……」


「そうかもしれないな……。だけど、無理だと思うくらいが、目標にするならちょうど良いだろ?」


「さすがラン様です……」


「ラン君って意外と……」


「熱血君だったんだね?」


「そうか……? 目標は高く持てってのが、俺の家の家訓だからな。そうやって育てられたから、それが当たり前だと思ってたよ。まぁ……、そのせいで大学には落ちてるんだが……。さすがに東大は難しいぜ……(ぼそぼそっ」


「それは……えっと」


「すごい? 家族なんだね……」


「さすがはラン様のご家族ですっ!」


「だからさ……無理なことでも無理だとは思わないで、全力で突っ走るのが俺の当たり前なんだよ」


「そうだったのですか……」


「「やっぱり熱血君だね?」」


「そうなのかもしれないな……。まぁというわけでだ、今日はここを出たらもう一つ塔をクリアするぞ!」


「「えぇーーーーっ!!」」


「それはさすがに無理があるのではないでしょうか?」


「ちっちっち、さっきも言ったろ? 少し無理くらいが目標としては丁度いいんんだよ」


「たしかにおっしゃっておりましたが……」


「「はんた~い」」


「そんなに嫌か? 四日後ってことは、三日後には次の世界に着いてたほうが良いんだぜ? 明日からの予定がきつくなるぞ?」


「「それでもっ!」」


「今日はもう遅いよ……」


「宿に帰って休んだほうがいいよっ!」


「私もそう思います。確かにラン様ならば次の塔へ行っても無理ではないと思えますが、武器などを直さなければなりませんし、食事も必要です……」


「食事かぁ……。確かにそうだな……。わかったよ、今日は帰ろう」


「「よかったぁ……」」


「わかりました。それがよろしいかと存じます……」


「ってことで、帰ろうか? ……そういえば、どうやってここから出ればいいんだ?」


「「そこの魔法陣から出るんだよっ!」」


「その中にパーティーメンバーが全員入ると作動するのです……」


「なるほどな……。んじゃ行こうか?」


「「かしこまり~」」


「はい、ラン様」


 俺は三人の返事を聞き、魔法陣の中に入る。

三人も続いて入ってきて、俺たちは魔法陣で外へと向かった。

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