第4章 ~コトの精算~
週一更新目指してがんばるさ~
「か、和馬ってば何してくれてるんだかッ!」
カレン・ジ・アンケルノが赤髪を揺らして和馬の所に走る。和馬は戦争の意味を履き違えている。この戦争はそのようなモノではない。ただ殺し合いをすれば良いモノではなかったのだ。
「あ、カレンさーん!ここでーす!和馬でーす!」
和馬がカレンを見つけて大声で呼ぶ。カレンもそれに気付いて速度を上げた。残り300mその時、和馬の視界に入ったカレンの顔を見た。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー鬼が襲ってきた。
「え?ちょ、ちょっとカレンさん!?」
鬼は和馬に向かって時速約160kmで突っ込んでくる。
「(ちょっとちょっとどないしたのさ!?一体何があったっていうんだぁぁぁぁぁぁああああ!)」
「かずまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!よけいな事をぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお!」
「ちょと待てって!そのままきたら死」
ゴン!
時速160kmでの衝突。普通の人間ならただではすまないだろうが、龍騎士は普通よりも丈夫にできている。衝撃で城が崩れるような錯覚に襲われた。
「「ちょっと!何してくれるんだ!」」
同時に言葉を発した。和馬は目を開けられなかった。理由は
何だか少し重いモノが和馬の体の上にあったからだ。目を開けるのが怖かっただけなのだが。
「和馬は馬鹿なの?一体どうやったら後継ぎ争いで相手を殺すって発想に至るのかな!?」
ゆっくりと和馬が目を開く。その先にはカレンの顔があった。その距離なんと45cm。純粋な中学生の上に大人な女の人が上に乗ってることが異常。
中学生と言えば異性を少々意識し始めるころで、まず半径1m圏内に入られるだけで問題なのだ。しかも、上に馬乗りにされている。
「あ、あの・・・カレンさん?」
「なによ!?こっちが必死に喋ってるって言うのに!」
「あの・・・誠に言いにくいのですが」
「もったいぶってないでさっさと話しなさい!」
「そこ・・・退いてくれませんか?」
「・・・え?」
カレンは今の格好を確認した。中学生の男の子の上に馬乗りの状態。物事には意識して、確認して始めて分かる物がある。
「・・・・・・・・・・ッ!」
カレンがを突き飛ばし、急いで距離をとった。突き飛ばしたといっても、馬乗りからの状態でだ。つまり、
和馬は下に向かって吹っ飛ぶ事になる。
「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええ!」
和馬にはどれくらいの高さかは分からないが、5階のビルくらいから突き落とされるようなものだ。しかも、ただ落とされるよりたちが悪い。下に降りる度に床に叩きつけられ、その度に貫通する。
そして、何とか地面に辿り着いた。地面は少し温かく、和馬は母さんの腕の中のように思えた。
「かぁずぅまぁくぅん?」
カレンの悪意に満ちた声。本当の悪魔を見た気がした。
「忘れ物だよッ!」
アンケルノの剣。いままで自分で振り回していた大剣。それが、切っ先を向けて和馬に飛んでくる。落下物の破壊力は計り知れない。和馬は簡単に振り回していたが、実際はあれだけで軽く10kgはある。
とっさに和馬が右に転がり間一髪避けることが出来た。落ちたのは和馬の顔横3cm。
「(ちょっ死ぬ!絶対死ぬと思った!きゃー怖!わけわかんねぇ・・・あんな所から落とすか普通?しかも僕は何もしてないし!!)」
剣の落ちた衝撃で純一が気付き、和馬の所に走ってきた。横に刺さっている(上から落ちてきたことは知らない)剣を見て、
「和馬!一体何があったんだ!」
「邪魔すんじゃ・・・ねぇよ!」
カレンが上からのジャンプ。純一が驚いて3歩下がる。そして、和馬の顔を見た。
「和馬。まさかお前がカレンさんに手を出していたなんて・・・応援するぜ☆」
「やめろっ!そんな爽やか風に言っても変わらないからな!」
ドン!
というカレンの着地音と共に和馬の悲鳴が上がった。落下地点が和馬だったのではなく、落下した瞬間に和馬を思いっきり蹴り飛ばしたからだ。
「まぁまぁ、そんなに怒らなくてもいいじゃないのカレンさん。勝ったんだし」
「怒らずにいられると思う!?コイツは家族を殺したんだぞ!!」
「え・・・?だって、さっきシャナも龍の鎮魂歌を発動させて派手に殺してたじゃない」
「龍の鎮魂歌は龍騎士の魔力を一時的に無効化させる術式で殺してなんかいない!」
「ってか・・・家族?」
「話をシャナから聞いてなかったの?」
「何の事かさっぱり」
「アンケルノとシャクソンの関係だよ!」
和馬がうぅ・・・と言って起き上がったが、二人は構わず話を続ける。
「関係って・・・なんかあるもんなの?」
「元々アンケルノとシャクソンは元を辿ると血筋は同じってことは知ってる?」
「あ、それはシャナが言ってた」
「なら、家族を殺すことはどれだけ重い罪かは分かる?」
「あんまり日本でそんなのなかったけど・・・児童虐待とかは知ってる」
「じゃあ、それでいいわ。それでも大抵は3年はブタ箱の中ね」
「軽くて3年・・・」
「あ、あの~?僕忘れてませんか?」
「「アンタは黙ってて!今大切なとこ!!」」
和馬が二人の会話に入ろうとしたが、あっさり断られてしまった。二人の間に不穏な空気が流れた。
「僕はこれでも主人公なん」
「「黙ってろって言っただろうが!!!!」」
和馬はしょんぼりして外に出た。もう、あの二人の話には入れそうにない。
はぁ・・・とため息をつき、寝転がった。そよかぜが和馬を慰めるように吹いた。
「風・・・お前は僕を慰めてくれるんだね」
こんな状況で和馬の中二病が発動。きっと周りに人が居たらドン引きしていたであろう。そして
ジャリ
と砂を踏む音がした。まだ城の中から会話が聞こえている。純一とカレンではないだろう。
では、一体誰だ?そんな疑問が和馬の脳裏をよぎった。
「龍野和馬か?」
「え、えぇ」
「貴公を殺人容疑と器物破損でアンケルノ城へ召集命令が出ている。いますぐ出頭せよ」
堅苦しい男の声だった。よく見ると騎士服を着ているが、顔は見えない。身長は170cm程。手には映画で見た王からの招集状的な何かを持っている。
「あ、あの~僕ってどうなっちゃうんですかね?」
「貴公か?恐らく死刑だな。最低でも国外追放だ」
「最低で・・・国外追放・・・」
和馬はまだ死と言うモノの自覚がない。でも、国外追放というモノが重いことなのは分かった。今から逃げ出してやろうかとも思ったが、シャナに龍の鎮魂歌の術式を組まれている。逃げ出したとしても捕まるのは明らかだ。
「分かった。行くよ」
「ご協力感謝致します」
「あ、ちょっと待って」
和馬が二人のいる城を向き、魔力を注いだ。色は白の壁に合わせて、騎士に見えない様にした。龍騎士には魔力の流れが見える。それに期待して和馬は文字を刻む。刻んだ文字は
【捕まった。純。カレンさん。城に来て】
pc難しいし・・・うん。塾なかったときしか触りずらいお