第十章~クローン~
自分の進歩を見るようだったんだが、気まぐれに更新しようと思う。もっとも、その頃の調子とは全く違うものだし、そのころに書いたシナリオを完全に無視した形を取る、言わば自慰行為か。まぁ、こう変わっていた事と、元々はそんな思想もできたと、そんな風に思ってもらえればうれしい。懐かしいな。この作品に触れるもの久方ぶりだ。いやしかし、どんな文章だ
人間は窓から飛び出すと、そのままシャナを背負って走り去った。和馬は唖然とし、その行動に対応出来ないでいる。純一がすかさず人間を追おうとしたがしかし、それは叶わず人間の小さな罠に掛かり撃退されていた。エレルはしゃがみこんで頭を抱えた。
「私のせいよ…私はこんなところに連れてこなければ…」
和馬はそれを思ってか、エレルの背中に手を回して、そっと言葉を紡いだ。自分でも臭い、と思っていたが、それで少しでもこの少女の感情が薄れるのであればと、和馬は自作小説から台詞を引用しつつ言い放つ。
「『お前は何も悪くないじゃないか。悪いのは人間だ。任せといて。僕がきっと助けてあげるから』」
自分で書いた言葉に、臭いなと再び赤面する。確かに戦闘において自作小説は絶大な効果を発揮していたものの、こうしたところでも、間接的な経験として積み重なっている事に、和馬は小さな違和感を感じる。この、『自作小説の内容を具現化する』という事は、何によって保証されたものなのかろうかと思考を巡らせた。
「……ばか。臭いわよ。それに、あんたなんかに慰められてたまるもんですか」
エレルはそういうと、和馬の手を払いのけて立ち上がった。ゆらりと体勢を崩しながら室内に設置されたPC端末を立ち上げると、カタカタと音を立てながら文字列を打ち込んでいく。画面に表示されるのは、各所に設置されたカメラの映像。これを和馬は直感的に監視カメラの映像だと認識する。
「いやどんな技術だよ。初めからそうしとけ」
「私も失念していたわ。そもそも、この都市において監視カメラなんてある程度のパスさえあれば一般公開されてるんだから」
「というか失敗してますけど」
「法改正されてたの忘れてたのよ!何か文句あるの!?」
純一が指摘した瞬間に、その映像はプツンと途切れた。一緒にPC端末もシャットダウンされてしまったせいで、対抗策は尽きる。
「……一先ず、寝るか。明日の朝考えよう」