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第1章 ~コトの始まり~


この話の主人公、龍野和馬はこの春、中学3年生になる。和馬はその時、学校の屋上にいた。

「ハァ・・・僕も受験生か・・・面倒くさいな」和馬は俗に言う厨二病と言うものに感染している。そして、重度の進行率と言える。

「なんか・・・こう手から火とか出ないかな」

和馬は右手を空に向け、自分で考えた呪を紡ぐ。

「シャイニング・ダーク・フレア!」

もちろん、そんな物が出るはずもなく、何も起こらない。春風が和馬の頬をなでた。

「うぅ・・・まだ肌寒いな。教室に戻るか」

屋上に繋がる階段は、たった一つ。その階段を使って、教室に戻ろうと階段の扉を開けた。

「貴公の願い。叶えてやるのも悪くない。」

突然後ろから声が聞こえた。若い声だったが、どこか包容力がある声だ。和馬はそのことに気がついたが、後ろを振り向かずに階段を降りる。

「貴公にその気があるのかと聞いているのが分からんのか」

声の主は同い年ぐらいの少女だった。なぜか緑のチャイナドレスに碧い目。金色の長髪。右手には、魔法使いが持つような杖を持っている。

「一体何を僕にするつもりなの?っていうか君誰?」

「自己紹介がまだだったな。私の名は、シャーナ・ジ・アンケルノ。イギリスのとある王国に所属している王家の者だ」

和馬は王家と言う言葉に少々の反応をしたが、言葉を発する前に

「呼び名は略称のシャナで良い」

「それなら、シャナ。僕に何をしてくれるんだい?」

「貴公には、我が国の兵士として戦ってもらいたい。そのために、我がアンケルノ家の術を使って力を覚醒させてやるというものだ」

「そのさ!力ってさ!もしかして、火とか出せたりすんの!?」

「個人差がある」

「でも、可能性はあるんでしょ?」

「もちろんだ」

「じゃぁ頼む」

「代償として、我が国の戦争に参加してもらうぞ」

「いいよ。でも、可能性はあるんでしょ?」

「もちろんだ」

「じゃぁ頼む」

「契約の条件は一つ。王家を巡る戦争を勝利というカタチで終わらせることだ」

「な、だから何でもしてやるって言ってるじゃん気が変わらないうちにさ」

「契約成立だ。主、名は?」

「和馬。龍野和馬だ!」

「では、和馬。左腕を出せ。」

和馬が袖を捲り、左手を突き出す。その左手にシャナがキズを付け、そのキズに杖の先を突っ込んだ。和馬の悲鳴が辺りに響いた。

「我慢しろ。こいつは直接体内に注がなければならないのだ」

和馬は痛みをこらえながら、うなずいた。

「我がアンケルノの名の元にこの者に力を与えよ。ブレイクスルー!」

杖の先から青いもやもやした光が放たれ、傷口に入っていく。そして、全部の光が入った所で

「主。我の罪を許して頂き、感謝します」

「あ、あのさ・・・杖、抜いてくれない?」

「あ、す、スマン。」

シャナが杖を抜いた瞬間。和馬の腕から血が吹き出した。驚愕。その一言で表せる。

「な、な、な、何これ」

「おう。龍の力ではないか。これまた珍しい」

吹き出した血の色は『緑』。人の血ではない。

「おいふざけんな!さっさと血を止めてくれ!」

「スマンスマン。そんなに叫ばなくても分かっておる」

今度は杖ではなく、手をかざす。

「回復の象徴、グリーンゴッドネスドラゴンの力を引用。主の力を貸し与えたまえ」

シャナが呪を紡ぐと傷口が塞がっていき、傷口の後が残っただけで綺麗に治った。その時。

和馬の皮膚が燃えるように熱くなった。和馬の叫び声がもう一度響く。

「コイツのメンタルはカステラ以下か?」

徐々に痛みが引いていく。和馬は自分の腕をもう一度見た。腕は緑の鱗に覆われている。

「こ、コイツは・・・一体?」

「龍の力。龍騎士だ。希少な力だな」

「どれぐらい希少なのさ?」

「一国家に1人いるかいないかぐらいだ」

「それってすごくね?めっちゃすごくね?」

「だから、希少だと言ったであろう言っておくが、私は貴公の対の力。龍殺しだ」

「ありゃま、なんかそっちの方が強そう・・・」

「それぞれには、魔力の強さがある。龍騎士は+龍殺しは-だ」

「ほう、つまり?」

「同じ系統の奴との協力術式っつーもんが作れる」

「融合魔法ってヤツ?カッコいいじゃん!」

「元々龍騎士の数は少ないと言っただろうが」

「可能なんでしょ?」

「龍殺しにはそう少なくない」

「最大出力ってどれぐらい?」

「指数にして人間には【5】が限界」

「それを超えると?」

「堕龍となり、人には戻れなくなる」

「なんか、楽しみになってきたー!」

シャナは和馬に呆れて、会話をやめて地面に魔方陣を書き始める。

「移動するぞ」

「どこに?」

「イギリス」

「ハァ!?いきなりすぎる!なにそれ!?」

「まぁ、言うと思った。一日だけ猶予をやる。友人と別れでも告げてこい」

「OK!」

和馬は急いで教室に戻る。階段を降りようとした時だった。

カラン

と金属音が響いた。

「あ、落としちゃった」

和馬は落とした金属板を拾う。その金属板には、

「し、シャクソンの・・・家紋・・・だと?貴公!何者だ!」

「家紋?あ、これ?おじいちゃんから貰ったもんなんだけど、カッコいいしなんか持ってると落ち着くんだ」

「なんてことを・・・私は・・・」

「一体コレが何なのさ?」

「今回の戦争の相手のシャクソン家の家紋だ。あぁ・・・主よ・・・哀れな私を許してください」

「???」

和馬がその場を離れようとした時。

「私の罪を流す方法はたった一つ」

ドッという音と共に和馬の懐にシャナが入りこみ、腹に刃物を突き刺そうとする。

「貴公を亡き者にすることっ!」

和馬は反射的に龍を呼び出し、堅い鱗は刃物を弾いた。

「クッ・・・さすが龍騎士と言ったところか」

和馬の背中から翼が生え、天井を突き破って空を飛んだ。

「飛竜系緑龍種か・・・ならば私の滅龍魔法で!」

シャナは地面に手を着けると、手を中心に魔方陣が展開され、魔方陣から槍が召喚された。

「滅龍槍術雷式放雷!」

シャナの持つ槍から放たれ、和馬に一直線に向かっていく。

「これが、滅龍魔法か。ぶった切ってやる」

和馬は自分の魔力を左手に集める。指数にして+5シャナのは-5よって、二人の魔力は打ち消された。

しかし、和馬の落下スピードは変わらず、そのままシャナに向かって突っ込んでいく。

「シャャャャャャナァァァァァァァァアアアアアアア!」

和馬のツメがしっかりとシャナの首を捉え、掴んだ。このまま力を加えれば死ぬ。

「なぜそこで止めるのだ?私をさっさと殺せ。それでコトはおしまいのはずだ」

和馬の目が元に戻っていき翼が消え、鱗がなくなっていく。

「馬鹿・・・僕が恩人を殺せるわけないじゃないか」

「なぜだ・・・なぜ私を辱める!私は・・・負けたのだぞ・・・」

「命を奪って喜ぶようなヤツは悪魔同然だよ。それに、君の家族が悲しむ」

「・・・・・・たとえ自分を殺そうとしたやつでもか?」

「うん。たとえ自分勝手な理由だったとしても、死に意味はない。だから」

首から手を離し、一歩下がって

「だから、君を許すよ」

「・・・借りがデキてしまったではないか」

「(うわぁ・・・僕カッコよすぎじゃね?なんかマジかっけー!」


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