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ホラーマニアの異世界散歩  作者: 名無しさん
第2章
23/28

大罪…

目の前には貼り付けにされた少女が町民にごみを投げられていた。おそらく処刑前の町民の怒りを和らげるための儀式的なものだろうか少し汚い…

どういった方法での処刑かは分からないがここまで尊厳を破壊できる方法もないだろう。

集団心理は恐ろしい。そんな事を考えていると唐突に禁忌の魔女と目が合った気がした。


「ん?」


「なんだ?」


「なんか目が合ったような気がしたけど気のせいかな?」


特段気にした様子でもなかったのでこれは気にしないことにした。それよりももっと重大なことがあった。


「シエル気づいてる?」


「ああ、ご主人の目的が思ったより早く達成できそうだな。」


「そうだね。でもとりあえずは処刑に集中しよう。」


「わかった。ご主人は案外のんきだな。」


「シエルを信頼してるからだよ。」


そんな軽口を挟みながらとうとう時刻は訪れた。


「これより!禁忌の魔女の処刑を行う!此奴は平和なこの国を混沌に陥れ我々を不安にさせた!それだけでも万死に値するが子供の誘拐や作物への影響、そして化け物の招待などきりがないほどの大罪を犯した!此奴は普通の処刑では足りない。神の業火での処刑とする!」


周りの兵士が動き出した。どうやら魔女の足元に火の魔石を大量に置いていく。どうやら火炙りらしい。先ほどのごみは燃料になるのだ。何とも合理的というか頭の良いやり方だな。見習おう。


その時強大な魔力が辺りを包んだ。辺りが静寂に包まれた。


「そこのお方あなたはなぜここに?」


「そういう君は何をしているの?」


目の前の罪人、もとい禁忌の魔女が話しかけてきた。


「私は人類の希望なのです。ここで終わるのも務めです。それを民が望むなら。」


「ばかばかしい君は冤罪で捕まり悪の象徴として処刑されるそれのどこに希望がある?君が今までやってきたことはすべて無に帰す。瘴気の封印も魔族の根絶も生贄の儀式の阻止もすべて君が元凶として処刑される。」


「やはり、あなたはすべてわかっているのですね。だけどそれでも、私の死で救われる命もあるのです。」


「そこまでいうなら俺は止めない。というよりもとより止める気もない。ただ一つ言っておこうかな。もう魔族は中にいる。君の死で結界を張れたとしても魔族に蹂躙されるだけ。それだけだ。」


「…。」


「感じる限りとても大きな魔法だと思う。むしろこれを作るために消耗したところで捕まったんだろ?じゃなきゃこの街の自警団数人ごときに君が捕まるわけがない。十倍もっとかな実力差は歴然だ。」


「…。」


「むしろ君は何がしたいの?目的を遂行したいならそのまま魔女として死ねばいい。俺に話しかけても意味がないことは分かっていたはずだ。君は処刑が怖くて助けてほしくてこんなに大きな魔法を使ってまで話しかけているんだろう?」


「そのようなことは…。」


「終わったならとっとと死んでくれないかな?俺もそろそろ君との話は飽きてきた。」


「…。」


「じゃあね。」


「わ…私は…。」


「ねぇ、君の人生を教えてくれないかな?話し次第では助けてあげてもいいよ。今も今後も」


「…。ですが、そろそろ時間です。私の魔力では時間の遅延はもう少しで解除されてしまう。どうやらここまでです。あなたにもう少し早く出会えていたらよかった。」


「それは大丈夫だよ。時間の遅延・停止は俺はできないけど別の方法で君と話すことができる。さあ、話してごらん?」


「てすが…。」


「【感覚遮断】(ガンツフェルト)これで周りの人間の時間感覚と五感を遮断した。さあ、話してよ」


「そのような力まで…。あなたは一体…?」


「どうでもいいじゃん。ねぇ、おしえて?」


「そうですね。どうせあなたにはすべて分かられているようですし絶対に勝てない隔絶した力の差も感じます。私は話すしかないのですね。私は名も無い街で生まれました。今は神の元に使える修道士といったところでしょうか。私は教会に拾われました最近まではそう思っていました。」


「最近までは?」


「私がいた教会には孤児院がありそこでは私と同世代の多くの子供がいました。裕福とはいえずとも笑顔が絶えず毎日楽しく暮らしていました。ですがある日一瞬で崩れました。私以外の子供がどんどん病気で倒れていったのです。昨日は一人今日は二人と行った感じです。私は怯えていました。今日か明日か私の死が近づいていました。ですがどういうわけか私は生き残りました。他は全滅で唯一孤児院の院長だけが生き残りそういう経験から私は大聖堂に迎え入れられて先代の聖女様に拾われたのです。死の経験と言いますかその時私は不思議な力に目覚めました。この【時間遅延】という能力です。この力で先代聖女様の力になろうと必死で魔力制御と魔法を覚えて日々の業務をこなしていました。ですが私は教会の資料室を掃除しているときに見てしまったのです。あなたは『命神水』という名に聞き覚えはありますか?」


「少し聞いたことがあるな。確か魔力を伸ばす水がそんな名前だったはずだ。しかし副作用があるはず…」


「やはりあなたは貴族の出ですね。その名前は貴族しか知らないはずです。『命神水』の副作用は活動の停滞です。飲めば飲むほど魔力は伸びますが体の臓器や脳の機能が少しずつ停滞していき最後には停止して母体は死に至る。」


「そういうことか…」


「私たちは知らない間に飲まされていたのでした。そうして話を知っていた院長は生き残り残りは死に至るはずだった」


「だが君が適合してしまった。」


「そうして哀れで無知な少女は何も知らず友達、いや、家族の仇に媚を売り生き永らえてしまった。そして、私のような適合者が出たことによりこの実験は成功と言える成果を出し今もまだ続いている。何の罪もない子供が大量に死んでいく。ここもそうでした。」


「だから子供を誘拐したというわけか。」


「ですがすべて無駄でした。私は生きてはいけない人間なのです。」


その少女の目にはもう何も映っていない。暗い闇が広がっていた。









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