考えた…
???
「ルーク待ちなさい!」
5歳になった俺は庭を走り回っていた。
叫んで俺を追いかけるのはシルヴァ・アイクホルスト俺の母親だ。
俺は車で事故を起こしたあとこのアイクホルスト家に次男として誕生した。つまりフルネームはルーク・アイクホルストになる。
すごく長い…
そして母親のシルヴァ・アイクホルスト、金髪碧眼の美少女である。
母親なのに美少女とはおかしいと思うだろうが事実なのだ。客観的に見ても20代下手すれば10代に見えてしまうくらい童顔なのだ。そしてまあ、何がとは言わないが大人びいた箇所もないので最初父親はロリコンなのかと絶望した。
年齢も30代に入ったが本人はとても気にしているらしく触れてはいけない。
そして冒頭に戻るがなぜこんなことになっているのかというと…
「勉強なんてしたくないんだよ!」
そう、現実からの逃避である。
だってさ、勉強好きな人っているの?
少なくとも俺の周りには一人もいなかった。
いたらゴメン…
一応家は苗字持ちのいわゆる貴族様らしい…
おっさんやおばさんの顔何十人も覚えるなんて不可能でしょ…。
そんなことは絶対にやりたくない。
というわけで現実からの逃避である。
「待ちなさい!」
その時コケた。
盛大にコケた!
「いてて…!」
足元が凍っていた。
「母さんずるい!」
「逃げるほうが悪いでしょ!」
そう、魔法で足元が凍らされていたのだ。
「ほら、勉強に戻るよ!」
首根っこを掴まれた猫のように屋敷に連れ戻らせそうになっている。
「離してよ!あんな人数の顔なんて覚えれるわけないでしょ!」
「そんな元気があるならまだまだ余裕そうね」
「鬼!悪魔!アラサー!」
「あ?」
「口が滑ったぁ!」
「鬼も悪魔も意味は分からないけど最後のは明らかに年齢よね?」
「そんなわけないじゃないっすか!」
「じゃあ何?」
「いつまでも美しい母様と…冷たい冷たい冷たい!」
「ふふふふふ…」
なんで褒めたのに体を凍らされているのだろう?
少し口が滑っただけじゃないか。
そうして首から下全てを凍った頃に屋敷に着いた。
「またルークがシルヴァを怒らせたのかい?」
穏やかな表情で紅茶?をすすっていたのは愛すべきダディのアルノ・アイクホルストである。
いつも母様から助けてくれる心優しきダディなのだ!
影は薄いか影響力も薄い母様の尻に敷かれている心優しきダディだ!今回も助けてほしい!
「なんかルークから憐れみを感じるんだが…」
「そんなことはないよ!」
「で、何をしてそこまで凍らされているんだい?」
今まであった経緯をすべて話した。すると
「ルーク今のうちにやっておかないと後で後悔するよ。いくら次男だからってパーティーの参加は逃れられないし礼儀作法も貴族にとっては必須だからね。そこはちゃんと考えないといけないよ。」
「はーい」
「でも詰め込み過ぎは良くないからね。
どのくらい覚えれたの?」
「半分くらいかな。」
「一日でそのくらい覚えれたのなら十分だね
明日も頑張れると約束できるなら今日のところは終わりにしよう。その代わり今日はこのあと僕も時間が空くから魔法の勉強でもしようか。」
「やったぜ!」
「じゃあ1時間後に中庭でしようかな。
その前に2人とも昼食にしようか。」
ぐぅ~
どこからかお腹の鳴る音が聞こえてきた。
音の方向を向くと目が合った母様から
「ルークもお腹すいてるみたいだし終わりにしてあげようかしらね。」
「え、僕じゃ…」
「ねぇ?」
「はい…」
圧倒的な権力には逆らえない。父様を見ても助けてくれない。
諦めて3人で食卓につくのだった。