答え…
一抹の不安を抱えたまま夜を迎えた。
俺たちは今日のご飯のことを考えていなかった。
「シエルは冒険者のときごはんどうしてたの?」
「魔法袋があるから町中で食料を買ってから任務に向かっていたぞ」
「そうだよね、シエルは食料持ってたりする?」
「ギルドカードができてからすぐ向かったし思いつきでついていくことにしたから何も準備はしてなかったな。まあ、冒険者時代の道具はあるが…」
「その道具って何があるの?」
「そうだな。テントとナイフ、火の魔石くらいかな」
「火の魔石?」
「そうだ、食料を焼いたり温めたりするための道具だ」
「じゃあ今回は何も食べれないってことはないか。さっきGETした塊肉もあるしね。」
「そうだな」
「でも調味料がないから味なしにはなるけどね。」
「そこはしょうがないな」
なんとか食べるものはあるらしいがあまり食べたくはないな。まあ、一日くらい腹に入れなくても人間は死ぬことはないから大丈夫だが…人間…?
「俺は今回は晩ごはんはいいかな。シエルはどうする?」
「私は食べなくても大丈夫だ。この体になってからどうやら食欲がなくなったらしい」
「それは初めて聞いたね」
「うむ。もう死んでるからなのか生命維持に必要なものに重点を置いてないらしい。」
「そこら辺の実験はしてなかったからね。貴重な意見だ。」
「役に立てて何よりだ。」
「とりあえず火を起こそうかな」
「だったら魔石を使うといい。すぐ炎が立つぞ。」
「わかった。ありがとう。」
「うむ。」
火の魔石をシエルからもらった俺は火をつけようと魔石に触れた。
「…」
何も起きなかった。もしかして…
「シエル火の魔石ってどうやって使うの?」
「火の魔石に魔力を通すんだ。っとご主人は魔力がないと言っていたな。私がつけよう。」
「そうしてくれ」
俺はシエルに魔石を軽く投げた。
その魔石をシエルが難なくキャッチして火をつけてくれた。
てか、この暗い中よく見えるな…
「ついたぞ。」
「ありがと。」
辺りが炎のおかげでかなり明るくなった。
特に話したわけでもないがシエルも俺も火の直ぐ側で腰を落とした。
「ちょうどいい機会だ。シエル何か質問とかは無いのか?」
「答えてくれるのか?」
「すべてではないけどね」
「じゃあご主人のスキルについて教えてほしい。」
「何が知りたいの?」
「すべてだな」
「じゃあ断ろうかな」
「冗談だ。まずは詳しく聞いていなかったが私が生きている理由を教えてほしい。」
「そうだね。それは僕のスキルだよ。【降霊】
このスキルは簡単に言うと魂を身体の中にいれるこうして死んだ身体を魂が乗っ取りその本人の身体の持ち主になるんだ。このスキルでシエルの身体に魂を入れた」
「つまり私は殺されたあとに魂を入れられた存在というわけか」
「そうだよ。」
「じゃあ次に私はどうやって殺されたんだ?私はご主人には会ってもない。」
「それは簡単だよ。今シエルも持ってるけど魂の感知これで存在を確認した。殺したスキルは【呪音】音を聞いたら死ぬスキルさ。まあ、シエルは耐性がなさすぎて聞いた瞬間に死んだ。だから何も覚えてないとは思うけど。」
「なるほど。それは恥ずかしいな。」
「まあ、ここまでは少し話したよね?」
「ここまで詳しくはなかったけどな。」
「次はなにかあるかい?」
「そうだな。ご主人は何を望むんだ?」
「とりあえず今は仲間集めかな。仲間と言えるかは微妙だけどね」
「違う。ご主人の野望というべきか大義を聞きたい。」
「大義か。そんなものはないよ。だけど…」
シエルは驚愕した目でこちらを見てきた。
だが、その表情は一瞬で期待に満ちた表情に変わっていた。
「ところでシエルはどうしてついてくるの?」
「私は元冒険者だ。冒険者時代には剣で私に敵うものは数えるほどしかいなくなっていたんだ。だがな私には致命的な弱点があった。それは魔法耐性が全くないことだった。そのせいで私はsランク止まり。だが、それ以上上に行った奴らは皆魔法が使えた。そのせいで少しグレたんだ。そうしているうちに剣に限界が来てギルド長に勧誘されたんだ。」
「そういう経緯だったんだね。」
「さっきご主人がついてきた理由といったがこれは勘でしかないがご主人は何か大きいことをしでかすそんな気がするんだ。」
「なるほどね。」
「それを見たくなったんだ。」
「嘘だね。」
シエルはこちらを見てきた。何かを期待している目といった感じかな。
「それは最初はじゃないかな。俺が見た感じだと君は今最盛期以上の力を得ている。その力を振るう場所、その力で命がけの戦闘死に場所を求めている。」
「嘘はつけないか。そのとおりだ。私はこの力で最強と戦いたい。借り物とは言えこの力でまた命のやりとりを行いたいんだ。それで死ぬなら本望と言える。」
「まあ、そういうことにしておこうかな。俺もシエルのそれ以上は聞く気もない。まあ、一つ言えるなら君の中の狂気は解放していくべきだよ。そのほうが面白い。どうせその戦う相手の中に俺も入っているんでしょ?」
「もちろんだ。殺したくなったか?」
「まさか。これから俺はこの世界、もしくは神も敵になるだろう。そのくらいのことは起こしてしまうと思っている。だから俺の隣が君の狂気解消の一番席となるだろう。」
「なんだご主人、プロポーズか?」
「違うよ。でもね、君の狂気を見せてくれることを楽しみにしてるよ。そして俺が相応しくない、今なら殺せると思ったらそうすればいい。それを俺は止めはしない。」
「そうか。当分先になりそうだがな。」
「質問はそのくらいかな。そろそろ寝よう。あ、寝るのも必要ないのか。」
「必要ないが夜は長くて退屈だ。私も寝よう」
「そうしたほうがいいよ。そういえばシエル」
「なんだ?」
「シエルは自分のことを本物だと思う?」
「その質問は分からんとしか言えんな。身体、記憶は私だが逆に言えば根拠はそのくらいしかない。だが、もう正直どちらでもいい。」
なんでもないようにシエルは答えた。ああ、やっぱり…
「そうか。変なことを聞いてごめんね。それじゃあおやすみ。」
「うむ。おやすみ」
こうしてなんともいえない不吉な夜を二人で過ごしたのだった。あたりは静寂に包まれている、




