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破滅の中で  作者: ふてん
4/6

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「はぁ〜〜〜〜〜〜」

結城は大きくため息をついた。

ほぼ1週間ぶりの学校だ。

熱で寝込んでいたとはいえ、ずっと家に引きこもっていた身からすると、普段の学校よりも一層気が滅入る。

先日のひどい頭痛以降、特に異常はなく、普段通りの生活に戻っていた。

「この間の声はなんだったんだろう?」

そう呟きながら登校の準備をする。

病院から帰ったあと、友人たちのメッセージに返信していると、どうやら頭痛と謎の声を聞いたのは自分だけではないらしい。

ああいうのって、異世界転生の前触れかと思ったけど──どうやら当てが外れたな。

「スライムとか悪役令嬢になるチャンスだと思ったんだけどなぁ。

……別に今の人生に不満があるわけじゃないけど、かといって満足しているわけでもないし。

不幸自慢をするつもりはないけど、恵まれた人生とは言えないからなぁ……」

天井を見つめながら独りごち、再びため息をつく。

準備を終えると、仏壇に線香をあげ、学校へ向かった。


電車に揺られながらSNSを開くと、トレンドには

「#世界のバグ」「#システム変更って何?」といったタグが並んでいた。

「世界改変説」「異星人の介入説」「政府の陰謀説」──様々な憶測が飛び交っている。

最寄駅の改札を通った瞬間、ふっと空気が揺れた。

周囲の通行人も何かを感じたのか、戸惑いながら辺りを見回している。

その瞬間、またあの声が聞こえた。

《システムアップデートが完了しました。新しい世界を適用します。》


「また……あの声だ」

「気味が悪い……」

周囲の人々がざわつく。

声がやむと、再び空気が揺れた。

──駅のホームで突っ立っていても仕方ない。

とりあえず学校に向かうことにする。

スマホを開くと、トレンドには

「#世界の再起動」「#リアルアプデ完了」「#アプデ内容教えて」

──新たなワードが上位に浮上していた。

歩いていると、後ろから声がかかる。

「おーい! 千尋ー!」

振り向くと、友人の飯島恭弥が走ってきた。

「おはよう」

とりあえず挨拶を返す。

「なんか久しぶりな気がするなぁ。

なぁ、さっきの声、聞こえたか?」

「ああ、あの『アプデが完了した』ってやつ? 聞こえたよ」

「だよなぁ。なんか聞こえてないやつもいるっぽくてさ。

俺、おかしくなったのかと思って不安だったんだよ」

恭弥は少し不安げな表情を浮かべる。

そんな会話をしながら歩いていると、道にゴミが落ちていた。

「誰だよ、こんなとこにポイ捨てしたやつは」

結城は呆れながらゴミを拾い、近くのゴミ箱へと放る。

──その瞬間、またあの声が響いた。

《善行Lvが1上がりました。》

《最初のLvが上がったので、SKILL『詳細』を付与します。》

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