翌朝
翌朝、目を覚ますと、いつも通りの変わり映えしない日常が広がっていた。
「ああ……結局、死ねなかったのか」
ぼんやりと天井を見上げる。
昨晩の熱はすっかり引いて、体も少し軽くなった気がする。
「念のため、今日も学校休んでおくか……。ぶり返したら面倒だし」
結城はリビングに向かい、TVを眺めながらうとうとしていた。
気づけば、もう14時を過ぎている。
「やば……もうこんな時間か。腹減ったし、なんか食うか」
冷蔵庫を開ける。
「……まあ、そりゃそうだよな」
中身はほとんど空っぽだった。
四日間も風邪で寝込んでいたのだから当然だ。
「仕方ない、買いに行くか……」
結城は部屋着から着替え、近くのスーパーへ向かった。
「野菜、高すぎるだろ……」
ぶつぶつ文句を言いながら、必要なものを買い物カゴに入れていく。
レジへ向かおうとした、その瞬間——
「……ッ!?」
突然、強烈な耳鳴りと頭痛が襲ってきた。
視界がぐらりと揺れ、結城はその場に倒れ込む。
「な……何だ、これ……」
割れるような痛みに、思わず呻いた。
発狂しそうなほどの頭痛だったが、なんとか耐える。
「我慢……できる……長男だから……
……まあ、兄弟どころか、親もいないけどな」
ふと、以前見たアニメの主人公のセリフを真似て、苦笑する。
——そのとき。
《……マス》
不意に、耳元で誰かの声がした。
《世界のシステムを変更します…》
《少々お待ちください……》
「またこの声だ」
遠くで、複数の奇声が響く。
頭の中で警報のように鳴り響く不気味な音。
次の瞬間、意識が闇に沈んだ。