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第1話 幼馴染は気を揉む

番外編更新できてなかったのでー

 唐亜(とうあ)国現皇帝、斗亜(とあ)は今大変悩んでいた。


 政務や、先日の事件などの事後処理ではない。一個人としては、皇妃に決定した寵姫の緑玲(りょくれい)が懐妊したことで幸せ絶頂と言ってもいい。占師でもある趙彗(ちょうけい)の見立てによれば、次代皇帝となる皇子の兆しとも言われた。それは大変喜ばしいのだが。


 それとは関係がないところで、気を揉んでいた。今は寝所で休んでいるが隣に愛しい緑玲がいるのに、彼女も事情を知っているから苦笑いしてくれている。可愛らしい彼女にそんな表情をさせるのは非常によろしくないが、事情が事情だ。何故なら、斗亜が悩んでいるのは彼女の従兄弟と直属の料理人との恋事情。


 斗亜にとっても、幼馴染で親友。相手の方は最近記憶が戻ったが、大事な妹分だ。国の大恩人にもなってくれた才女と言っても過言でない存在。そんな二人が、晴れて恋仲になり……実質、婚約もしている。そこはまだいい。問題はその先だ。


 お互い想い合っているのに、進展が無さ過ぎだと斗亜が何気なく紅狼(こうろう)の方を突いただけだ。最初はそれだけだった。いつものことだから、奴も適当に受け流すことも同じことである。


 問題は、彼の方ではない。


 恋花(れんか)が、そのことについて極度の羞恥心を爆発させてしまったのだ。祖母の術式や異能などのこともあり、彼女は人生のほとんどを苦痛ばかりの生活で過ごしていた。本来人間に憑く九十九(つくも)が実質的に『無い』生活という異例の生活が約十年。そのせいで他者との関わり合いも、必要最低限でしかなかった。


 つまり、恋情以上に他人との会話も時折うまくいかないことが多い。祖母に変幻(へんげ)していた九十九のお陰で、行儀作法は文句がないのだが。誰かと想い合うこと自体が初めての少女に変わりはない。相手の紅狼も、見目や本人の性格のせいで彼女以外の女を想うことがなかった。あの事件がなければ、ぐっと距離は縮まってお互いの気持ちも確かめ合えても……その先が、斗亜の突き具合を見て恋花はとうとう皇帝であろうが言ってきたのだ。



『主上はお気になさらないでください!』



 妹分に、そこまで言われてしまい、正直言って斗亜は撃沈していた。嫌われてはいないだろうが、必要以上に避けられてしまう事態になってしまったのだ。妻の緑玲にもやり過ぎだと注意されたため、斗亜もようやく他人の恋情に突き過ぎたと自覚出来たのだが。



「斗亜様? 彼らをご心配のお気持ちはわかります。しかし、紅狼もですが恋花は特に恥ずかしがり屋なのですよ?」

「……わかってっけど。じれった過ぎてな」

「あらあら。紅狼はあれでも積極的ですわよ? むしろ、わたくしは喜んでいたのですが」

「それは俺でもわかる。紅は恋花に対しては別格だ! 俺が緑を大事にするくらい、愛おしい存在なのはよく伝わっている。……それなのに、口吸いが一度きりなのはおかしいだろう? 記憶が戻って、可愛い妹分が嫁になるんだから……もっといちゃつかないか?」

「人それぞれとは申しますが……紅狼に関しては」

「恋花もなあ……」



 落ち着くのに妻を抱き寄せても、緑玲はくすくす笑ってくれる。彼女が身重なので必要以上に愛せないが、皇妃に決定したので心置きなく傍に置けるのが斗亜も嬉しい。しかし、親友の恋路が必要以上に進まないのはやきもきしてしまうのは仕様がないと言えよう。それほど、部下としても親友としても斗亜は紅狼を特別に信頼していた。その妻となる恋花の方も、初心過ぎて愛らしいのだが気持ちが追いつかないのはこれまでの環境のせいもある。


 無理強いしたくないが、斗亜の性格上見ていてむずがゆく感じるのだ。これ以上ないくらいに。けれど、突き過ぎたのは自覚がある。さらに、恋花がもっと感情を爆発させたのが数刻前なのだから。



「けれど。恋花が紅狼と喧嘩とは、穏やかではありませんわね……」

「……俺も深く、反省した」



 斗亜の突き過ぎがきっかけで、紅狼自身も動いたらしいが。あれもなかなかに恋事情については不器用過ぎで、どうやら恋花の羞恥心をさらに爆発させてしまったそうだ。怒らせてしまい、そこから口喧嘩に発展したとか。その報告を聞いたときは、さすがの斗亜も紅狼に対して平謝りしたほどだ。



「ふふ。わたくしにお任せくださいな」

「緑玲?」



 落ち込んでいる斗亜の頭を撫でてくれた妻は、出会った頃の可愛らしい少女の微笑みを浮かべ、斗亜にそう提案してくれたのだった。


もうちょっと更新します

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