第73話 宿主らの道
お待たせ致しましたー
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雷綺は不思議な気持ちでいた。
宿主である紅狼の目が元通りになっただけでなく、身体にかけられていた呪が解かれたのは素直に嬉しい。
しかしその紅狼が、以前から皇帝の斗亜に指摘されていた少女への想いをはっきりと自覚しているようだ。
顔立ちが良くて、そこいらの女どもに言い寄られているのを毛嫌いしていたのに、玉蘭の孫である恋花には全く態度が違った。
「お、おります!」
「いいから」
などと、心を通わせあった男女の接し方をしているのに、あれでお互いに気持ちを伝え合っていないというのだから、見ていてもこそばゆい。
お互いに、初心という言葉でくくりつけていいのか。全くそれ以上のやり取りが進まない。非常に焦ったいのだが、九十九である自分に宿主をここまで応援したい気持ちは初めてだ。寄り添う者としての共感かもしれないが、それだけではないかもしれない。
『……微笑ましいな』
恋花の九十九である梁は、落ち着いた表情でいた。宿主の心情がたくましくなっただけでなく、誰かを想う気持ちを得たことから……九十九として最上の感情を共有出来たのだろう。
その微笑みが、まるで親のようでいてとても美しく、雷綺の胸をときめかせた。皇帝の九十九とは違う朱色の輝かしい髪に、艶やかな白い肌。目鼻立ちも整っていて非常に美しい。
術か何かで玉蘭に化けて恋花を守っていたらしいが、何故変幻だったのだろうか。『無し』と周囲に蔑ませられることの方が、宿主にとっては一番苦痛のはずなのに。
『……梁よ』
『なんだ?』
ならば確かめたかった。これからの宿主らの道を考えても、少し前に白い靄として出てきた玉蘭は彼にとって無関係ではないだろうから。
『先程の玉蘭だが、誠にお前は知らないのか?』
『……ああ。我にはわからない。身体が熱くは感じたが、それだけだ』
『……であれば。お前の中で保護している玉蘭自身の意思で?』
『そうかもしれない。だが、下手に封印は解けない。死なせては、恋花が悲しむ』
『……そうだな』
変幻していた理由も思い出せないとなると、玉蘭が何か彼らに術を施したのかもしれない。宮廷料理人だけでなく、稀代の術士であった彼女ならそれくらい容易い事だ。
そこで、雷綺は思いついた。
術を行使出来るのなら、逆に自分自身に施してあの封印をしたのでは。
考えられないわけではないが、何のためにそれをする必要があったのか。孫の恋花のためにしても、酷な生活を虐げていたのでは、と雷綺は困惑するしか出来なかった。
次回は18時10分〜




