第57話 暴かれたか
お待たせ致しましたー
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皇帝陛下の九十九の能力が解放された。
その者は、密室に居ながらもその力を感知出来た。間違えるはずがない、霊鳥とも言われる鳳凰に等しい能力を宿した特殊な九十九。
癒しを得意とするが、反転すれば他者を引きずり出す程の強い呪いまでも可能とする存在。宿主である皇帝陛下が解放したとなれば、つまるところ、己を引きずり出そうと言うこと。
おそらくは、例の貴妃越しにかけた呪詛が露見したのか。しかし、その呪詛は緑玲に関係する箇所にかけ始めたばかり。己が憎む武官の紅狼の方はばれていないはずだ。
何者かが感知して、皇帝陛下に告げ口したとしか思えない。だが、己に匹敵する能力者などこの宮城内には存在しないはずだ。皇帝陛下を除けば。
矛盾点が多く出るが、可能性を他に考えるのであればひとつ思い出すことが出来た。
「……玉蘭の孫か」
かつての伝説級の宮廷料理人だった女。
だが実際はそれだけでなく、己以上の霊能力の使い手。加えて様々な九十九に好かれていた存在。娘息子などについては、己が手を下して殺したのだが……娘孫がひとり残っていた。あれが今後宮にいると言うことは己の九十九と組んで、己を邪魔する何かをしたのだろう。
その上で、皇帝陛下に告げ口したかもしれない。あの娘を連れてきたのも、たしか憎き紅狼だったはず。
「……出世は渡さん。紅狼!」
近しい存在を殺すのは造作もない。すぐに、式神を錬成させて羽の渦巻く後宮から向かわせたのだった。
外でざわめきがすぐに聞こえたが、娘以外の人間が死のうと関係ない。
唐亜の先の世を見越した制裁は、己が手をかけてやるしかないのだ。
「……私が。藹然が成すまでよ」
狂っているかもしれないが、これが藹然なりの粛正なのだから。すべてを洗い流す、国の大掃除と思えばかわいいものだと。
それを阻む者は、九十九であろうとなんであろと潰すまで。そう念を込めた式神らのまとう空気はすべて黒に染まっていくのだった。
次回はまた明日〜




