第46話 愉しみ
お待たせ致しましたー
*・*・*
大した被害を与えていない結果に終わった。
それは、九十九を介して術を行使したのだが……屠った相手を通じて呪いを広めようとしたのに、失敗してしまったのだった。
「……忌々しい。あの武官め。陛下を操る愚弄者よ」
それは憎んでいた、隻眼の武官のことを。
皇帝を引き込むだけでなく、その皇妃候補に従姉妹を取り入れる……憎き、存在でしかないのだ。依頼主の妃は美貌はともかく、相手を蹴落とそうというきらいが強いので皇帝からのお渡りが少ないのは仕様がない。
誰もが、緑玲妃が次期皇妃であると噂されている。たおやかな美貌に加え、他者を気遣い過ぎるほどの気性。さらには、美しい蝶の九十九。
すべてが完璧と言えよう。それも、武官の従姉妹と言うことで、依頼主の望み通りに壊したいとは考えているが。
(……いや、いっそ拐かすか?)
それもまた良き。
依頼主が皇妃になるのはどうでも良いが、あの緑玲を慰み者にするのもまた一興。その結果を思い浮かべると、思わず唾が喉の奥に溜まり……嚥下すれば心地いいものとなった。
だが待て、とひとつ思い出したことがあった。
かつての宮廷料理人の長だった女の孫のことだ。
嬲るのはむしろ、あの少女の方ではないだろうかと考え直した。あの女の孫だから、そこそこの美貌はあるように見えた。なら、慰み者のして壊してしまおうじゃないかと、考え直したことで。
呪への力の入れようをさらに強くしようと決めた。もともと、割りの合わない仕事しなのだから、それくらいの楽しみ、あってもいいだろうと決めて。
まずは、例の武官にかけた呪をさらに重ねようと……形代の式を掴み、強く握りしめていく。
次回はまた明日〜




