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第40話 その推測

お待たせ致しましたー





 *・*・*







 気づいたら、恋花(れんか)林杏(りんしん)らと共に共同部屋の寝所で横になっていた。


 あの惨劇を見た後だからか、いくら恋花でも意識を保つのが必死だったのが、紅狼(こうろう)が来たことで安心したのだろう。任せろと言われ、役に立たない下女や料理人見習いでは居るだけ邪魔だから……離れて正解だった。


 蘭香らも起きないが、顔色はあまり良くなかった。無理もないが、見たくない光景を目の当たりにしてしまったのだから女の精神力では耐え切れるはずがない。恋花とてそう思ったが、ほんの少しの差だ。恋花とてひとりの人間だったのだなと理解して、少しほっと出来た。


 だが、あれだけ返り血を浴びたのに血は綺麗さっぱり消えていたのには、驚くしかない。可能とするならば。



「……(りょう)、綺麗にしてくれたの?」



 己の九十九(つくも)である梁以外いるわけがない。他の者には、それぞれの九十九が抱きつくように寄り添っていた。梁とて、恋花が非常に心配だから同じようにしていたのだ。



『是。あのような血は呪いの原因にもなりかねない』

「……呪い?」

『あれは、何者かに(しゅ)をかけられた事で起きたと思う』



 (まじな)い、お守りなどと可愛らしいものではない。


 恋花の祖母である玉蘭(ぎょくらん)を封じたように、意図的に何者かがかけた(のろ)い。


 こんな白昼から、煌びやかな後宮で。下女か女官だと言えど、一人の存在を九十九ごと殺したのだ。犯罪者は何をしたいのか、入りたての恋花にはわからないが……やはり、この建物は煌びやかや穏やかだけではなく、怨嗟が入り混じる場所なのか。


 紅狼自身も、返り血を浴びても冷静な判断をしていたのだから。



「……皆のも、九十九たちが?」

『是』



 梁が頷けば、(よう)を含める他の九十九も頷く。力は弱いかもしれないが、宿主を全力で護るのが九十九の役目だ。ならば、全力で対処しても不思議ではない。



「……あれは、なんのために」



 あの女性は、九十九ごと殺されたのだろう。梁は(のろ)いだと推測するが、その理由が恋花にはわからなかった。


 皇帝や妃を呪うのではなく、わざわざ位の低い宮仕えの女性を殺す意味がわからない。


 学の薄い恋花でも、ただ善悪のためだけに物事が成り立つなど思ってはいないが。今回の事件は、単純な恨みごとで起きたような気がしないのだ。


 意図的に、誰かが皇帝か妃らを貶めたいのか。


 だとしたら、と恋花は己の仕える皇妃候補の緑玲(りょくれい)妃が一番危険ではと思い立ち。恋花は梁にも告げ、急いで彼女のいる私室に向かって走った。

次回はまた明日〜

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