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名も無き夜はわたしの財産

作者: 晴間あめ

ふと目が覚めたので。

名も無き夜はわたしの財産だ。


と、感じることができたのは、明け方に近い夜中に目が覚めた、たったさっきのことである。


わたしは夜に大それたことをしているわけではない。


むしろ最近は、仕事で疲れて帰ってきてご飯を食べてしばらくすると眠くなり自室へ行き、気づけばお風呂も入らず化粧も落とさずコンタクトも取らずに朝まで寝ているのだから、わたしの夜は特に何をするでもなく、短く薄いものとなりつつある。


今日も例外ではなく、いつもの如く、目とお肌に良くないことをしてしまった。


良くないと分かってはいるが、睡魔に抗えず寝てしまうのだから仕方がない。


わたしは生きるために寝ているのだ。


眠くなるのは疲れている証拠、今日も無事に生きている証拠なのだ。


そう思うことができたのは、何も無いような短い夜の中でも、当たり前だと錯覚してしまうほど傍にあった幸せに気づくことができたからである。


その幸せに気づいてからは、この時間の限られた夜に何か意味のあることをしなくたって、わたしにとって"わたしの人生"の中の大事な夜に変わりはないと思うようになった。それに、無理に何かをしなくたって、わたしは元から幸せだったのだ。


今まで帰ってきてから特に何もできずに寝てしまう自分を、目が覚めては悔やみ続けていたが、それは間違っていた。実際、夜に何か成し遂げていたとしても、この幸せに気づけないままではきっと気持ちは晴れぬままだった。


だから、もう無理に夜になにか意味のあることをしようとするのはやめた。そうすると、自分で無意識にかけていたプレッシャーが一気になくなった。心が緩やかになっていくのが分かる。


意味の無いような夜があっても良いのである。


「何も無い夜でも必ず意味がある」などとは言わない。この夜に意味などないのだ。それでいい。


意味が無くたって、特に何かが起きなくたって、わたしは今日も生きていた。幸せだった。


そんな夜も含め、わたしの大切な人生の財産なのである。


ふと目が覚めてから一時間経っていました。明日に備えてもう寝ることにします。読んでくれてありがとう。少し前のわたしのように、何もしない夜に意味を見出そうとしているひとがどうか穏やかな眠りにつけますように。

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