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2.サヤカ

第二話です!


死刑囚はついに女の子の体の中に入ります!

 ◆


 気づくと、俺はふかふかするベッドの上で眠っていた。

 最後だと思ってたのに、またもこの柔らかさを体感することができるとは。

 さて、状況を整理したい。

 俺は誰になったんだろうか?


 ベッドから飛び上がって、まず目の前にあった姿鏡に自分の全身を映す。

 うむ、短髪で髪色は黒。

 顔は可愛いじゃないか。

 体はかなりいい感じに実っている。

 見たところ、中学か高校生くらいか?

 ほう、なかなかいい感じに胸が突き出ている。

 揉み心地もなかなかなもんだ。

 うおっ、ち●こがねぇ!

 そういえば、女のアソコって男の感度の十倍らしいからな、あとで試してみるか。

 なんてことはどうでもいい!


 俺の名前はなんだ!


 とりあえず引き出しを開け、自分の名前がわかるものを探し出す!

 おっ、いいところにノートがあるな!


「俺の名前は……青木紗綾香あおきさやか。悪くねぇ名前だ」


 たまたま見つけたノートの表紙に名前が書いていた。

 とりあえずこいつについての情報は一つわかった。

 ……が、そのノートの表紙にはそれよりも大事なことが大きく書かれていた。


 自殺日記帳。


「おいおい、こいつガチでメンヘラかよ」


 確か、女神様は『殺して欲しい』って言われたとかなんとか言ってたな。

 こいつ、本当に死のうとしてるなんて、馬鹿げてやがるぞ!


 俺はそのノートを机に叩きつけ、怒る。

 命を粗末にしていいわけないだろ!

 って怒鳴ってやろうと思ったが、俺にそんなことを言う資格はないんだっけか。

 殺人を犯してんだこっちは。


 俺は頭を掻き、酸っぱい匂いのする部屋を見渡す。

 たくさんのぬいぐるみが飾られていて、漫画や本がたくさん置かれている。

 それよりも目についたのは、デジタル時計だ!

 今日が月曜日の朝七時だと表示されている!

 多分だけど、今日って学校がある日なんじゃないか?


「やっべ! とりあえず急がねぇと!」


 俺は机の横に置いてあった学校指定のバッグらしきものを手に取り、部屋のノブを回す!

 あれ、こっち側の鍵がかかってる!

 こっちは急いでんのによ!


 鍵を開け、すぐ目の前にあった階段をドタバタと降りていく!

 こいつの学校の距離と場所がわからん分、調べながら行くには遅刻になる危険性がある!

 とりあえず急ぐぜ!


 階段を降り、テレビの音がする部屋に向けて走って向かう!


 ウヒョォ!


 久々のシャバの空気はウメェな!


 おそらくだが俺の母さんがこっち見てる!

 しゃ、まずははじめての挨拶からだ!


「おっおはよう!」


 俺は、この女のふりをするために適当に振る舞った。

 この一言の返答次第で、こいつのテンションを設定することにしたからだ。


「……サヤカ?」


 母さんは俺の顔を見るなり、口を押さえる。

 あれ、おはようって返答は?


「お、おはようって! 何ぼけっとしてんの!」


「……サヤカ!」


 母さんは突然立ち上がると、俺をギュッと抱きしめてきやがった!

 な、な、なんだ!


「……どうしたの? 今日は学校に行くの?」


「え、当たり前でしょ! 俺……私は学生なんだよ!」


「そっか、本当に偉いねサヤカ……」


 母さんは、どうしてかプルプル震えて俺をずっと抱きしめる。

 まさかこのサヤカって女、ずっと学校に行ってなかったのか?


「母さん。私はどれくらい学校に行ってなかった?」


「そんなことも忘れたの? 半年前からよ。ずっと口を聞いてくれないから心配してたのよ?」


「そ、そうか。この女……!」


 俺は、自分で自分を責める。

 いや、この女ってのはサヤカのことだ。

 こいつ、母親を心配させやがって、許されることじゃねぇぞ!


「あ、そうだ! サヤカの分の朝ごはんも作らなきゃ! お父さんはもう仕事に行っちゃったから、あとで学校に行ったことを話しなさいね!」


「おう、わかったぜ!」


「ぜ?」


「あ、いや、なんでもないよ母さん! もうお腹ペコペコ! 早く朝ごはん作ってよ!」


 俺は、できるだけ母さんを心配させないために明るく振る舞った。

 これ以上、母さんを悲しませることはしたくないからな!


 ◆


 きゃんきゃん!


 俺の足元で、犬がグルグルと回る。

 サヤカの飼い犬か?


「あらあら、クーもサヤカが部屋から出てきたことを喜んでるみたいね。はい、味噌汁よ」


「ありがと母さん! そっか、お前クーって言うのか! よろしくな!」


「きゃん!」


 犬は俺の足をすりすりすると、「久しぶりにサヤカから餌ちょうだい!」と言わんばかりに舌をだす。

 なんだろうなこいつの犬種。

 長い胴体と麻呂眉みてぇな模様。

 ミニチュアドッグスなんとかだったけか。


「母さん、クーの餌はどこにあるの?」


「いつものところよ。シャケは塩と醤油どっちがいい?」


「塩!」


 いや、いつものところって言われても俺にはわからんから。

 まぁいい。

 とりあえずテンションはこんな感じでも通じるみたいだな。


 クーに餌をやって、朝飯を食って学校に行こうか!


 ◆


 クーの餌はどこにでもあるドッグフードだった。

 俺は興味本位で一口分くらい齧ったが、


「うわぁなんだこれ!」


 ムショの飯よりまずかった。

 こんなもん食って犬はうまいのかね。


 対し、サヤカの母さんの飯は泣けるくらい美味い!

 これから、こんな飯を毎日食えるなんて、俺はなんて幸せ者なんだ!


 そうそう、サヤカの情報は大体理解できた。


 まず、情報整理からだ。

 サヤカは犬丸高等学校でかなりハードなイジメを受けてたみたいだ。

 それは、学校指定のバッグがカッターナイフでボロボロに引き裂かれていることでわかる。

 また、バッグの中には絵の具と思しきカラフルな細工がされていた。

 さらに、小バッグからは唐揚げが腐ったみたいな異物をたくさん発見し、俺は見てられんとティッシュで摘んでゴミ箱に捨てた。

 カビだらけで、腐ってやがる。


 次に、サヤカは半年間ニート生活をしていた。

 もう片付けたが、サヤカの部屋にはたくさんの箸やスプーンが落ちていた。

 これを使って、母さんが持ってきてくれる飯を食べてたのか?

 汚すぎて忍びねぇよ。


 最後に、サヤカがいじめられた原因は本人にある可能性が高いことがわかった。

 この女、どうやら浮気をしたみたいだ。

 サヤカのケータイのラインを見た感じ、五人の女から集中的に叩かれてる。


「かかってこい」や「ブスのくせに生意気なんだよ!」的な文章が半年前に送られて、それっきりになってる。

 全てを読んだ感じ、サヤカはグループのボスの彼氏に手を出したようだ。

 うーん、これは酷い話だ。


 だが、物怖じしていては転生してサヤカになった意味がなくなる。

 こんなところで引きこもりを続けることは、ムショの臭い部屋にいるのと全く一緒だ。

 俺は、陽に当たりたいのだ!


 ボロボロのバックを担ぎ、セーラー服に着替えると、俺は元気に「行ってきます!」と玄関を飛び出した!


「いってらっしゃい!」


 こんな言葉、何年ぶりに聞いたことか。

 急にテンションが上がり、俺は眩しく照りつける太陽に向けて、


「しゃぁ、更生してやるゼェ!」


 と吠えるのであった。

読んでいただきありがとうございます!


今日はどんどん投稿するつもりなので、ぜひブックマークをよろしくお願いします!


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