【幕間】分からないモノ
おかしな人間だ。
召喚者に初めて会った時そう感じた。
見た目は大人と大差ない。問題は中身だ。
どうしてあんなに幼い。
オレを喚べたということは力も素質もある。魔導書を持っていたところで喚べなかったあいつの親とはまるで違う。禍々しいまでの力を持っている。
人間は私利私欲の為になんだってやる。今までオレを喚んだ奴らはみんなそうだった。オレと契約を交わし、死後魂を売る代わりに、現世で欲の限りを尽くすのだ。
だがあいつは、いや、あいつの兄貴も含めこの家の奴らはどうだ。
やけに幼い召喚者は「友達になってくれ」以外の要求がない。いくら中身が幼いからといっても欲しいものの一つや二つあるだろう。地位、名声、財産……オレにしてみたらそれらを渡すことくらい雑作ない。しかし要求されない限りそれに応える義理もない。
では兄貴はどうだ。
京子と言う名の召使いはどうだ。
奴らは祥希のために生きている。
京子は兄貴のことも想っているが、兄貴に関してはただただ祥希のためだけに生きている。
オレが見てきた人間たちはもっとみんな愚かだった。
愚かで、救いようがなかった。死後の自らの魂を担保に望みを叶える、欲にまみれた汚いものだと認識していた。
なのに、どうしてだ。
分からない。分からないから近くで見ていたくなる。
分からないものにここまで興味を惹かれるなど知らなかった。こんなのは初めてだ。
アイツらには憐れみを感じるが、もっと他に言葉に表せない何かがある。
それに名前がついているのかどうかは知らないが。
見ているうちに理解できるんだろうか。
ま、アイツらがそれまで生きてるかにもよるな。
生きてたらオレに面白いモノを見せてくれ。