03:月の生活
建売の区画に同年代の子供がいる家庭が引っ越してくるのを期待したがムダに終わった。
結局、小学生がいる家庭は私の家とハルカの家だけだった。
車で30分も行けば規模は小さいけれど、水族館も動物園も美術館もある恵まれた環境だったと思う。
お父さんは引っ越しの片づけが終わったころから、近場で休日を過ごす方法を色々試してくれた。
休日も家にお父さんがいないハルカとお母さん(・・・名前はトウコさん)も一緒に出かけるようになる。家の車がミニバンで6人乗れるから、何の問題もなかったようだった。
トウコさんが仕事で忙しい時は私の家族とハルカだけというケースもあって、3人で行動することが当たり前になっていた、こんな日がいつまでも続けばいいと子供ながらに思っていた。
予定のない週末にハルカの家に遊びに行くようになる。
トウコさんの仕事の資料で色々な本があり、ヨーロッパの本、小説、童話、風景画、写真集、どれもとても魅力的で色々な本を見せてもらった。
トウコさんのはなしだとヨーロッパのにある国は昔のままの風景、建造物を大切にしていて、いつまでも昔のままの風景が残っているそうで。
若い時に旅行に行って何十年もの月日が経っても景色はほぼそのままらしい。
木が大きくなっているとかそういう変化があるそうだが、日本のように都市開発で街を作り直すとか、道を通すために人をどかすとか、村が水のそこに沈むとか、そんなさびしい話はほとんどないと教えてくれた。
確かにドイツの絵本や風景の写真を見たら、実際に自分の目で見たいという風景がそこにはあって、いつか行こうとなんとなく思った。




